どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

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2012年5月31日木曜日

2001年08月19日 「2年」


「日本国民である本旅券の所持人を通路支障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えれるよう、関係の諸官に要請する」と外務大臣の名前でパスポートの見開きに謳ってあります。

そうかぁ、オレは田中真紀子に守られてるのかぁと安心のような不安のような今日この頃です。

そんなパスポートを見ておりますと「出国」のスタンプが押してあるのは1999年8月20日です。
自分にとってこの日は記念日のような感覚です。

暑い夏真っ盛りに、この先どうなるのか、一年で帰ってくるのか、それとも・・・。さして深く考えずに日本を離れて丸2年です。

現在は申し上げておりますようにケンブリッジ大学植物園に在籍しており、毎日が新しいことの発見で楽しく充実した毎日です。
あと一年はケンブリッジにいることになり、その後はヨークに戻るつもりですので日本に帰るのは早くて2003年の夏ころでしょうか。

庭や植物のことで今後生計をたてていこうという場合、「この道××年」という表現はよく使われますが、現時点ではまだたった「この道2年半」ですので説得力がありません。
そういう意味においては年月が経つのは楽しみですね。
当然中味も伴わないとマズイですが。

銀行員の時は「勘定が合わない!」という夢をよく見ていましたが、最近は「あそこの鉢に水を遣り忘れた!」という夢を見るようになりました。
思考の中心が確実に変わってきていると実感します。

本来は「あそこの鉢に水を遣っていない!」と英語で夢を見て「Oh my god!!」くらいのことは英語でうなされないといけないのでしょうが、まだそこまでいっていません。

生活にもリズムがでてきて、食事は健康面、節約面から自炊です。

最近は植物園内のスペースを個人的に貸してもらってダイコン、ニラ、ネギなどの日本野菜を育てています。

実際に育てることで勉強になるのと、懐かしい日本の味を味わえるので一石二鳥です。

ダイコンは現在収穫期で最近は毎日煮物、おろし、と大活躍です。

しかし八百屋でみかけるスラッとしたダイコンではなくてひねくれたへそ曲がりダイコンが出来上がってしまい、初めて堀り上げたときはショックでした。

何故・・・、これも勉強です。

この先いかなる展開があるのか自分でもよく分かっていないのですが、焦らずマイペースでやっていくつもりです。

海外で独りで暮らしているとこうやってメールをやりとりさせて頂くことは心の支えです。

暑い毎日がまだ続くのでしょうが、どうぞお元気で。



2012年5月20日日曜日

2001年08月13日 「キューのことなど」




残暑お見舞い申し上げます。


先週キューガーデンにての交換研修に行ってきました。


英国最高峰の王立植物園とは、かくも地方のちっぽけな植物園と違うのかとオドロキの連続でした。


初日の午前中にゲスト扱いをしてくれて担当者が植物園内を案内してくれましたが、とても午前中で全てまわれる規模ではないのでかなり端折ってまわりました。


主な温室だけでも3つあり、そのコレクションたるや開いた口が塞がらないというか、塞がった口が開かないという位にスゴイものでした。


この植物園には地上で花を咲かせる植物種の10分の1以上が集められているって、そんなに欲張っちゃぁイカンでしょう、という気になります。


その広さは300エーカー(=121万㎡=37万坪)だそうで、我がケンブリッジ大学植物園は40エーカーですのでその広大さがしれます。
まぁこの場合ヘンな単位は置いておいて、ウチが40でアッチが300だってことで充分です。


交換研修中は温室の中の養苗セクションでベゴニアの部屋を任されましたが、15×25メートルほどの部屋一杯にベゴニアがあり、掃除をして水を遣って摘み芽をするだけで午前中一杯かかるほどのスケールです。


それぞれ異なるベゴニアで中には希少な種類もあり、よくぞこんなに集めたなっと腹が立つくらい沢山あり、ややウンザリしてしまいました。


午後は日替わりでサボテン、多肉植物、食虫植物などの世話をしたのですが、これは面白かったです。


特にサボテンはとても個性的で可愛気があって「もっと知りたい!」という欲望が沸いてきました。


サボテンの責任者が「これ良かったら持って帰っていいよ。どうせ処分するやつだから。ナイショだからコッソリ目立たないように持っていってね。」と、可愛いサボテンを2つ貰ってきました。
食虫植物とはウツボカズラ、ハエトリソウ、モウセンゴケなど昔小学生のころ興奮して図鑑をみていたもの達です。


これだけの数を世話するということはスタッフの数も相当なものだと思われます。


ケンブリッジは20人前後ですが、恐らくキューでは100~150位はいるのではないでしょうか。
園内ですれ違って挨拶をしたとしても、「ハテ誰かしらん」ということは往々にしてありそうです。


色々と教えてくれるスタッフに「キューの良いところ」「キューの悪いところ」を聞いてみると、良いところはやはり「最高の設備、品揃え」「スタッフ全員のレベルが高い」悪いところは「官僚的」「保守的」「融通がきかない」といったところでした。
しかし、一度キューで働いたとなるとその後はヘッドハントがあったり、転職の際に有利になるといったメリットもあるようでした。


宿泊は植物園裏に隣接するコテッジに泊まりました。


若手スタッフ計8人が住んでいるのですが、夜にコテッジのラウンジで情報交換をしたりしてなかなか良いものです。


そのコテッジは表通りに面しているのですが、さすがにロンドンだけあって交通量はかなりなもので寝る段になって車の音がうるさくて参りました。
数日間珍しく暑い日があって窓を開けないと寝苦しかったのですが、窓を開ければうるさく、閉めれば暑く、とやや寝不足になりました。


キューはヒースロー空港から近いこともあって飛行機がひっきりなしに低空で飛んでいきます。
毎日飛行機を見て、音を聞いているうちに旅心に火がつき「どこかに行かねば!!」と妙に興奮してしまいました。


短い期間でしたので植物のことで学んだことは僅かばかりでしたが、普段とは違う目線でものを見るきっかけになったことや、今後の自分の見の振り方にもヒントが沢山あった気がして有難いチャンスに恵まれたと感謝しています。


そんな王立植物園での夏の一週間でした。

2012年5月13日日曜日

2001年07月09日 「近況」




連日の猛暑と聞いておりますがお元気でしょうか?


年々その暑さの異常ぶりが増幅されているような気がして今後の地球の行く先が不安になったりもします。


日本のテレビでウインブルドンテニスの中継を見ていただければ分かるかと思いますが、こちらもようやく暑くなってきました。
とはいっても37度などと体温並みの暑さになることはまずないですが。


冷房は普段必要を感じることがないので、設備としてないというところがほとんどです。
とはいってもスーパーマーケットや気の利いたレストランなどには冷房があります。


じーっと冷気のそそぎだす元を見てみると「MITSUBISHI」「DAIKIN」といった名前がほとんどであって、この分野もメイド・イン・ジャパン強しという印象です。


わたしの最近の植物園でのいでたちとしては短パン、ティーシャツ、ブーツ(安全靴)といったところで足元だけは規定によって守られています。
これは足首まであるいわゆるハイカットのブーツで、それに合わせて靴下をくるぶしギリギリまで靴下を折って履いているのですが、そこにクッキリハッキリと日焼けラインが出来てしまいました。


ブーツをぬいで裸足にサンダルを履いてみるとあたかも靴下を履いているかのようです。
これでラケットでも持ってウロウロしたら「あの人テニスボーイね・・・」と熱い視線を集めること必至です。


さて植物園生活もあと少々で丸1年になります。
最近ちょっと良い知らせがありました。


ロンドンにキューガーデンという植物園があるのを御存知でしょうか?
正式にはRoyal Botanic Gardens Kew(英王立植物園キューガーデン)という世界で一番大きな植物園です。


植物コレクションの数、規模、どれをとっても世界一ではないでしょうか。
王立という仰々しい名前があらわすようにここが英国園芸の総本山と言えましょう。


個人的にこれまで2回見にいったことがありますが、丁寧にまわると一日では到底足りないスケールに圧倒されました。


そんな憧れの植物園ですが、来る8月に僅かな期間ですが研修をさせてくれることになりました。


当ケンブリッジ大学植物園とキューガーデンの間で研修生を交換しあおうという制度を構築しようとして上層部がいろいろ話し合った結果「では試しにちょっとやってみますか。」となったようで、当植物園からは有難いことに私が行くことになりました。


私にとってはちょっと信じ難い「イイ話」なので大興奮しております。


例えるなら「バレエを志して英国にきてロイヤルバレエ団でちょっと躍らせてもらえる」ようなものでしょうか。
当然「その他大勢役」で。


ある意味ではケンブリッジ大学植物園を代表して行くわけですので少々プレッシャーも感じます。


「エッ?!こんなことも知らないの?」などと言われないようにせねばと思いますが、今更どうなるものでもありません。
まぁ折角の機会ですので一人でも多くの人と知り合ってネットワークを広げることを目標に楽しめればと思っています。


それで楽しい報告が出来ればなによりです。


そんなわけで相変わらず元気に楽しくやっております。


暑い折、どうぞお身体をお大事に。

2012年5月6日日曜日

2001年07月02日 「7月」



早いもので2001年も半分が過ぎてしまいました。本当に時の経つのは早いものです。

この週末は行動範囲を広げて活動的な週末を過ごしました。

土曜日はイギリスの南部、フランスへの定期船で有名なドーバーという港町に行きました。

ここはホワイトクリフといってよくテレビコマーシャルにでてくる白い切り立った岸壁が続く景勝地があります。
日本でも好きで千葉の九十九里の屏風ヶ浦に繰り出していましたが、それをスケールアップさせたようなところです。

ケンブリッジの家を4:30に車で出ましたのでドーバーには7:30には着いていました。

丘の上に立って海を見下ろすとフランス、ベルギーあたりを行き来するフェリーが沢山見え、水平線にはフランスがちょこっと見えます。
潮の香りを嗅いでそんな景色を見ていると旅心が無性にくすぐられるのでした。

本当の目的は海ではなく、そこから車で1時間ほど行ったところにシシングハーストキャッスルガーデンという超有名庭園があり、どうしてもこの夏の花盛りのころに見てみたいとかねがね思っていたのです。

ここはナショナルトラストという保護団体が管理しており、数ある英国の庭園の中で最も知られた庭だといえます。

案内書によると来園者が一定数を超えると入場制限をするという、ノンビリした英国らしからぬ、いわば人気ラーメン店のようなことが書いてあります。

10時開店、いえ、開園ですので15分前には到着し余裕で入場できました。

入園後に車の中に忘れものをしたことを思い出して駐車場に戻ると、僅か30分くらいの間に駐車場は大混雑で、さらに大型バスも乗りつけてドサーッと人の波が次々に押し寄せてきます。

大型観光バスの一台は日本人観光客を満載しており、お姉さま、おばさま、おばあさまたちがプラダ、ルイビトン、グッチといったブランドバッグもしくはリュックを背負ってあたりを闊歩しています。
不思議なもので日本人男性の姿はほとんど見かけませんでした。

話を庭に戻すとさすがに超有名庭園だけあって造り、デザイン、植栽どれをとってもニクイほど気の利いたものでタメ息がでました。

色んな庭を見てまわっていますが、英国庭園と言ってもなかには「えっ、こんな?」とちょっとヒドい庭もあります。

そして今日日曜日は7:30に家を出てオックスフォードのさらに先にあるコッツウォルズ地方に繰り出しました。

目的はやはり庭です。

ここにもシシングハーストと並び称されるヒドコートマナーガーデンがあります。

ここも大盛況で、またまた大型観光バスが次々と乗りつけます。

さらにここは英国観光の人気スポットであるコッツウォルズにあるため、日本からのツアー客も大挙しておしかけてきます。

庭にて「ほほー」などと感心してバラを眺めていると「ちょっとー、これちょーキレイっ」という会話が聞こえてきて少々興ざめではあります。

ラベンダーの人気品種でここから名前を付けたと思われるヒドコートというのがあるので、さぞやラベンダーで溢れていることかと思いきや今の季節はバラが中心でラベンダーはオマケ程度でした。

コッツウォルズはとても風情のある田舎地方で、そんな有名庭園に行かずともそこらじゅうの民家が立派に手入れをされた庭を持っていて、それがこの地方の特産であるライムストーンという黄色味をおびた石で出来た家屋と絶妙のコンビネーションを醸しています。

車でドライブしているだけでも充分楽しめます。

そんなわけで南へ西へと大移動の週末で2日間の走行距離は1000キロを越えました。

一方シメるところはシメませんといけません。

なので昼食はサンドイッチの弁当を作って持参し、ポットに入れたお湯で紅茶を作って飲むといった節約を。

マナーハウスでスコーンと紅茶をいただきながら・・・なんてのは夢のまた夢でしょうか。



2012年4月25日水曜日

2001年06月18日 「ちょっと感動デス」



先週は例の押花ウイークでした。


通訳を頼まれ安請負をしたものの、JAPAN2001という国をあげての大きなイベントの一環であること、宣伝の凄さ、日本大使館なども絡んだりしてそのオフィシャル振りを知るにつれ「これはマズいことを引き受けちゃったゾ」と後悔することしきりでしたが、無情にも日は刻々と迫りついにその日を迎えたのでした。


日本から押花チームが月曜日に植物園にやってきました。


押花教室に合わせて展覧会も開催するのですが、その会場設営に駆り出され本業そっちのけの毎日でした。


僕は押花チームと植物園の間をとりもつ仕事をいつの間にか任されてまさに板ばさみでした。


「釘と金槌がいる」と言われては植物園側に理由を説明し道具を手配したり、「ディスプレイはこうしたい」と言われては植物園側に要望を伝えその許可に至るまでの交渉をしたりと植物園トレーニーとして想定していた仕事の域を越えて身を粉にして働いていました。


夜は夜で押花の大先生が食事をするのに良い場所を教えてくれと言われ接待さながらに夜のケンブリッジに繰り出しドップリと気疲れしてしまいました。
気が張っていたのと、気疲れしたこともあって普段は滅多にない頭痛におそわれ2日間ほどクタクタでした。


そして水曜日。
午前と午後それぞれ2時間づつのワークショップの本番で、これが疲れのピークでした。


それぞれのワークショップには20人づつの熱心な押花ファンのイギリス人が集まって先生と一緒に押花シール、ハガキ、色紙を作ります。


僕は「接着剤」「脱酸素剤」「乾燥剤」「静電気」といった普段あまり使わないが押花では必須の英単語を事前に準備して本番に臨みました。


フォーマルな場と聞かされていたので1年振りのネクタイ姿です。


いざ始まって舌が滑らかになるまで少々掛かりましたが全体的にまぁ上手くいったのではないかと思います。


でもタイミングやニュアンスを伝えるのが難しい場面もあって、先生がつまらない冗談を言ったときにそれをどう扱うか悩んでしまいました。


例えば押花の鮮度、色を保つために真空状態にするわけですが、そのためのポンプがない場合はストローを使って空気を吸いだしてくださいという説明のあとに「どうやってこれでよしというタイミングをはかるのですか?」と参加者が質問したところ大先生は「アナタの顔が赤くなったらです」と大真面目な顔で言うので内心「これっておじさんギャグ??」と思ってもこれをどう訳すかちょっと躊躇してしまいました。


「では皆さん席に戻って御自分でやってみてください」とうながされて皆真剣な表情で作業をします。


これまでの経験として英国では先生は生徒のところを回って「いいねぇ」「スバラシイ!」と褒めたりしてコミュニケーションをはかるものなのですが、大先生は不動の姿勢をつらぬいておりましたので、一介の通訳としてはいささか出しゃばり過ぎかとは思いましたが参加者のところを回っては「質問はありませんか?」と聞いて回り、ついでに「fantastic!」「lovely!」などと大袈裟に褒めてまわりました。


そんなわけで2回のワークショップは無事終了し、参加者を教室の出口で見送っていると「アナタの英語、分かりやすかったわよ。」と声を掛けてくれるおばさんが数人いました。


お世辞でもそう言っていただけると、これまで準備に充ててきた苦労も報われたような気がして、ちょっと味わったことのない感動がありました。


主はあくまでも大先生で、皆食い入るように先生の手先に注目していたのですが、説明をするのは僕なので、僕も押花アーティストだと勘違いしたフシもあります。


僕が「では席に戻って説明した順番どおりにやってみてください。」と言うと皆指示通りにマジメな表情で取り組んでいる様子を見て、僕のナンチャッテ英語でも一応通じるのネ、とホッとしたものです。


木曜日の夜にはレセプションがあって、日本大使館からも秘書官が来ていましたし、大学側からも著名な教授が来ていてオフィシャルな雰囲気のなか、ここでも押花の先生の横につけという指示で金魚のフンのようにウロウロしていました。


最後に先生が皆の前で英語でスピーチをしました。
これは予め準備した原稿を読み上げるので問題はないのですが、急遽追加で言いたいことがあるので頼むと土壇場でいわれ、格式高いゲスト50名が固唾を呑んで見守るなか「言い切ったモン勝ち」の精神でどうにか乗り切ったのでした。


そんな押花ウイークでしたが、不思議な達成感がありました。


面倒臭いとうっちゃってしまうことも可能でしたが、やったことが自分のためになった気がします。


また、押花がかくもビジネスになりうるという実態を目の当たりにして今後の自分の行く道にまたひとつの光が差した気がしたのでした。

2012年4月24日火曜日

2001年06月11日 「寒いです」



6月だってのにどうなっているんでしょうか。

お天気オタクのジョンが先週の木曜日に嬉しそうな顔をして「昨日の夜の最低気温が何度だったか当ててごらん。」と言ってきましたが、正解はナント!マイナス1.1℃でした。

なにも6月に氷点下はないだろうと思うのですが、それが現実ですし実際に寒いです。

そんな訳で天気はサッパリなのですが、それでも植物たちは夏本番に向けて日々成長しています。
花の盛りが一週間程度でめまぐるしく入れ替わるので週ごとに景色が違って見えます。

ここ2週間は外でひたすら植栽を続けて行っていました。

冬から早春まで温室で育ててきた苗を外にだしてやるのですが、簡単にいえば花壇の花を季節に合わせて植え替えるということです。
広い植物園の花壇から花壇へと次から次へと植えて2週間でざっと5000株以上は一人で植えたと思います。


植栽のようにかがんでする仕事を長時間行うと問題なのは腰です。

もともと腰痛持ちだったので以前の僕であれば2週間も朝から晩までかがみ仕事をしていたら数日間は寝込んでいたと思うのですが、最近は強くなってきたのでしょうか。

腰にちょっと疲れを感じるものの寝込むほどの痛みはありません。
あたかも田植機のように黙々と植えまくりました。

36になってもまだ進化し続けているゾォ!と太陽に向かって叫びたい気持ちです。

アパートの隣室のビル君は一週間休暇をとって地中海のマヨルカ島に行っていたようですが、そこで食中毒にあったのか原因不明の腹痛で帰ってきました。

本当に具合が悪そうでしたのでヨーグルト、くだもの、薬などを差し入れてあげました。

今日はいくらか回復したようでしたが、ここ数日間まともなものを食べていないと言うのでお腹にやさしい食べ物はなにかと考えてトリ雑炊を作ってあげました。
消化がよく、栄養があって、身体も暖まると3拍子揃ってはいましたが、果たしてそんなものが英国人の舌にあうのかは全くの未知数。

とりあえず「ジャパニーズリゾットね」といって差し出すと「ベリーグッド」と言ってフーフーしながら完食していました。

昨年の夏にヨークの学校で腰痛のために一人で全く身動きがとれず3日間飲まず食わずで心細かったところに、運よく発見され救出されたことがあるのですが、そのときに差し入れてもらったサンドイッチと果物がどれだけ有難かったことか。

今回は相手が違うもののイギリスへの恩返しといった気持ちでビル君に接していました。




2012年4月18日水曜日

2001年05月15日 「押し花」



先週は当地も気温25度という初夏を思わせる陽気が数日続き、ようやくこれで薄着で歩けると思ったのも束の間、今日からまた気温がグッと下がりぬか喜びに終りました。

さて今年は英国でJAPAN2001と称して各地で日本に因んだイベントが開かれています。

例えば来週はロンドンで日本から運んできた御神輿が出て「祭」が行われるのだそうで、これは是非アパートの隣人ビル君を連れて見に行こうかと思っています。

ケンブリッジの植物園でも6月に「The Art of OSHIBANA」と銘打って押し花教室が開かれることになっています。

講師を務めるのは日本で押し花の第一人者だという杉野さんという方。
彼とそのスタッフは準備と下見を兼ねて3月に一度ケンブリッジに来ていたので興味がありました。

植物園の最高責任者である教授からは押し花教室の通訳を頼まれたのですが、その時は出たところ勝負でいいや程度にタカをくくっていました。

ところが植物園に限らず街のいたるところにとても立派な押し花教室のチラシが置いてあって大々的に宣伝しているのを発見。
更に王立園芸協会の会報誌にも大きくその押し花教室のことを取り上げられているのを発見。

事の大きさを認識するにいたりました。
そして通訳など安請負してしまったことを後悔したのですがもはや後の祭。

大慌てで日本の担当者に連絡をとって、一体どんなことをするのか、どういう流れなのかといった資料を送ってもらい準備に取りかかりました。

送ってきた資料を見てビックリ。

ナント先方は「世界押花芸術協会」ですよ。
せめて日本押花協会とか、あるいは青梅市押花協会くらいにしておいてくれれば、などとその団体名の凄さに恐れ入ってしまったのでした。

そもそもワタクシは押花なんてこれぽっちも興味がないのになんでまた、というカンジです。

俄然被害者意識が盛り上がってきました。
まぁ愚痴っても始まらないので押花教室が開かれるその日までは「押花英会話」の習得に全力をあげて取り組む所存でございます。

どうなることやら、楽しみな気持ちが半分と、トホホという不安な気持ちが半分でしょうか。

恐らく爽やかなる笑える御報告ができるのではないかと思っていますがどうでしょう。



2012年4月10日火曜日

2001年05月09日 「買物ゲーム」


連休はいかがでしたか?

最近耳にしたニュースですが、英国で列車強盗をしたオジサンが南米で逃亡生活を送っていたらしいのですが「パブでビールが飲みたい」という望郷の念に駆られて逮捕覚悟で帰国して捕まったというのがありました。
パブでビールを飲むという行為が英国人にとってどういう深い意味があるのか、何となく分かる気がします。

さてこちらは5月だというのに相変わらず肌寒い毎日が続いています。
昨年の今頃は明らかにもっと暖かかったと記憶しているのですが、やはり異常気象なのでしょうか。

土曜日にアパートの隣室のビル君がスーパーマーケットに車で買物に行くけど一緒にどう?と誘ってくれました。

ところが彼の車に乗り込んで出発という段でエンジンが掛かりません。
どうやらバッテリーがあがってしまっているようで、日本のJAFに相当するRAC(Royal Automobile Club)に連絡をしてエンジンが掛かったのはそれから1時間後のことでした。

時刻は21:35。

スーパーは22:00で閉店します。

エンジンは掛かったもののエンジンを切ることなく少なくとも30分ほど走って充電する必要があったためスーパーの駐車場で一人が買物に走り一人が車で待機し、買物を終えたほうが今度は車の番をして・・・と超効率買物作戦を余儀なくされました。

まさかエンジンを掛けっぱなしで二人して買物に行ったら車は跡形もなくなっているでしょうし。

まさに苦渋の作戦です。

ビルは「オマエが先発で行け。時間は気にしなくていいから。まぁオレは明日でもゆっくり行けるし。」と言いますが額面通りに「アッそう」とも言えず、アパートからスーパーに向かう車の中で「野菜コーナーでアレを買って、肉売り場でコレを買って、あとはパンとミルク・・・」とイメージトレーニングをしてスーパーの駐車場に到着と同時にスーパーの入り口に向けて猛ダッシュです。

入り口ですかさず買物かごを手にして、イメージトレーニングで予行した通りに寸分の無駄もないしなやかな動きで買物を済ませました。

その所要時間はナント7分。

画期的スピードと申せましょう。
よくテレビ番組で制限時間以内に予算内の買物をするというのがありますが、まさにそれを地でいくカンジでした。

息を切らせて車に戻ると、今度はビルが血相を変えてスーパーに駆け込みます。

普段悠然とした男なので、あたふたするビルを見ていて可笑しかったです。

どうにか二人して無事に週末の食糧買出大作戦を遂行しホッとしました。

やっている本人としてはその時は無我夢中で必死でしたが、今こうやって振り返るとなんとも間抜けな買物ゲームでしたね。

何を土曜日の夜に大のオトナふたりが息を切らせてやっているのだか・・・。



2012年4月4日水曜日

2001年04月28日 「ビール祭り」



昨日ビール祭(Beer Festival)なるものに繰り出し、これが結構面白かったので謹んで御報告申し上げます。

アパートの隣室のビル君と近所のパブで飲んでいたときに、ビール祭というのがあってこれが絶対オモシロくてオススメなので今度ベリーセントエドモンズ(Bury St.Edmunds)であるビール祭に行こうよ、という誘いをいただきました。

このベリーセントエドモンズというのはケンブリッジから電車で40分ほど西に行ったところにある雰囲気の良い田舎町で、夕方仕事が終ってからビル君と出掛けました。

駅に降り立ってビール祭会場への行き方を駅員に尋ねると「ビール祭会場へはこの道を真っ直ぐ。そうね、20分も歩けば着くよ。でも帰りは倍の40分は掛かるだろうけどね。ガッハハハ。」と豪快に笑いながら教えてくれました。
どうやら帰りは酔っ払って千鳥足になるので倍以上時間が掛かると言いたかったらしく、これがイングリッシュ・ジョークというやつでしょうか。

教えに従って真っ直ぐ歩くと街の中心地の広場に出て、それに面した公民館が会場でした。

これからイヤってほどビールを飲むというのに、ビルはその会場の横にあるパブを指して「あれって英国で一番小さいパブらしいんだけど、せっかくだからあそこで一杯どう?」と言うので、ハーフパイントをウォーミングアップ代わりに飲み干し気合を入れていざ会場へ。

会場に入るには既に小さな列ができていて、入場料2ポンドを払い階段を上がって会場へ。
会場の入り口では更に1シートあたり4ポンドのビール回数券と、1パイントグラスのマイグラスを購入します。

このマイグラスはこのビール祭オリジナルでお土産に持って帰ることもできるし、返却すればデポジット2ポンドを返してくれます。

1パイントのこのグラスには丁度半分のあたりにハーフパイントの線が入っていて、自分の好きなビールの銘柄の樽まで行ってハーフパイントかワンパイントなのかを告げてその分のチケットを差し出すというシンプルな方式です。

どういったビールがあるのかというリストを握りしめ記念すべきビール祭第一歩がスタートです。

会場には31醸造所からそれぞれ3銘柄ほど出品されているのですが、それら全てを味わうのは肉体的に不可能なので、リストにある各ビールの説明を読んでだいたいの見当をつけてハーフパイントづつ頼みます。

幸いビルと二人で出掛けましたのでふたりで別の銘柄を頼んで回し飲みをすれば2倍の効率で色んなビールが味わえることになります。

味も色もアルコール度もマチマチで色んなビールで溢れています。

アルコール度数は3.4~9.6%と幅が広く、ホップの効いたもの、モルトの味が強いもの、フルーティーな味わいのものなどバラエティに富んでいます。
値段は一般的にアルコール度に比例しているようでした。

会場で知り合った酔っ払いのオジサンが飲んでいた9.6%のビールをちょっと分けてもらいましたが、ビールの概念を覆す味でした。

会場はおおむね酔っ払いが席巻しているのですが、それでも普段パブで見かけるように会話に熱中するひともいれば、ビールリストに何やら書き込みつつ真剣な面持ちでグラスを傾けるひとがいたりして観察していると飽きることがありません。

皆共通しているのはビール好きだということでしょうか。


会場の隅にはお土産コーナーがあって、コースター、ティーシャツ、傘、バッジ、タオルなどのビール関連ノベルティがところ狭しと並べてあり、僕はコースターのセットとティーシャツをついつい買ってしまいました。

自家製ビール醸造キットなるものもおいてあって、会場はまさにビール天国。

会場に到着して飲み始めたのが19:30で会場を出たのが21:50。
終バスを逃さないように時計を気にしつつ2時間20分で6パイントを飲み、ビルと回し飲みした結果24銘柄を味わうことができました。

しかし短時間でピッチをあげて飲んだため「ウーン、これはホップが効いている割にはまろやかで、どことなく硫黄っぽいが、しかしそれでいて・・・」と御託を並べていたのは最初の数杯で、あとはもう惰性で味は分からなくなっていました。

ビールを飲むだけのために時間とカネをかけてわざわざ繰り出したわけですが、それだけの価値は十分あったと満足して千鳥足で帰ってきました。

5月には地元ケンブリッジでビール祭があるとのことで今からかなり楽しみです。

ビール祭で言うところのビールとはエールビールを指しており、冬は重たく濃厚、夏は軽くてフルーティーといった具合に季節を反映させたり、地元のそれぞれの小さな醸造所が季節感を出しながら地域限定で出しているもので行った先々でその土地のビールを飲むというのは何よりの楽しみでもあります。

日本はゴールデンウイークでしょうか。
本当に良い季節になりました。
どうぞゴールドな1週間をお過ごしください。




2012年3月31日土曜日

2001年04月13日 「シロ」


シロといっても犬の名前ではありません。

実はこのまえ口元に小さなイボがポツッとできたので近所のかかりつけの医者に取ってもらいました。

この国はとても社会福祉が充実している国で、私もこの国で少ないながらも社会保険料を納めているものとして基礎的な医療を無料でうけることができるのです。

無料、ただ、フリー・・・、なんと響きの良い言葉でしょうか。

これまでラグビーで耳がチョン切れて破傷風の注射をうったときも、腰痛で動けなくなり往診してもらったときもすべてタダでした。

これはスゴイことだと思います。

さすがタバコ一箱800円するだけのことはあります(べつにタバコ税が社会保険に回っているとは思いませんが)。

病院に行っていつも困惑するのが言葉です。

「破傷風」「イボ」などその単語で説明しないと伝わらないものが医学専門用語としてヤマのようにあります。
こうなると自分の持ち合わせの語彙を超えていて辞書に頼らざるを得ません。
事故などで緊急に病院に担ぎ込まれたりしたらば当然辞書などはないわけで本当に困ります。

今回イボの件では普段つかっている植物英単語が役にたちました。

イボを取るのに液体窒素で患部を処置するのですが、この液体窒素を辞書を見ずに会話に盛り込むことに成功しました。

液体は御存知のように「liquid」で、窒素は植物3大栄養素のうちのひとつなので「nitrogen」とすぐに出てきます。
これを組み合わせて「liquid nitrogen」。
これを医者との問診時にちりばめてみますと、流れるように会話が成立するではありませんか。

なせばなる。

医者と会話が弾んだのとタダなのをいいことに「血液検査もお願いできませんでしょうか?」とおねだりしてみました。

実は昔インドに住んでいたときに肝炎を患ったことがあり、その後は完治したものの最近の酒の飲み過ぎが少々気になっていてできれば健康であるお墨付きをいただきたいという目論見です。

会社を辞めた後は定期的に血液検査を受ける機会を失っていたのでチャンスをうかがっていたのです。

医者は頷いて血液検査の手配を看護婦に指示しました。

さすがにこういった類の検査は金が掛かるのだろうと思い、恐る恐る聞いてみると「タダです」という心強い返事が。

この際英国滞在中にからだの悪いところを全部治してもらっちゃおうかなと思いますね。
でも残念ながらこれといって特に悪いところが思いつかないあたりはシアワセ者と申せましょう。

そして先日血液検査の結果を聞きにドクター・グリフィスを訪ねると、「ネガティブ(シロ)」と告げられホッとして帰ってきました。
さぁ、これで安心してまたビールを飲めるというものです。

この医者と会話をしていて気付いたことがあります。

「キミは何をしているんだい?」と聞かれ「ケンブリッジ大学の植物園でガーデナーをしています。」と答えると先方の態度が明らかに好意的に変わったことです。

その医者もケンブリッジ大学の関係者ということもありましたが、どうやらガーデナーというのはチョット良い職業のようです。

これまでも別の場面で「そうなのかも?」と思えることが何度かあったのですが。
これは「けっ、ガーデナーかよ。」と見下されるよりは遥かにグッドニュースです。

肩書きと中味が釣り合うように尊敬されるガーデナーを目指してさらに精進せねばと誓った一件でした。



2012年3月14日水曜日

2001年03月31日 「春通信」


今日で3月も終わりです。


2001年も4分の1が終了し時の経つのは早いものだと思います。
日本ではサクラ満開のころではないでしょうか。


ケンブリッジの植物園にもサクラはありますが、一本だけポツンと寂しくしていて盛り上がりに欠けます。


サクラ並木、サクラの頃の春風、夜ザクラを飾るちょうちんの灯、屋台から漂うヤキソバや焼イカなどのニオイ・・・とそれらが相まって春を感じさせてくれるものですが、当然ながらコチラではそういったものはありません。


春といえば先週末に時計を1時間進めてサマータイムに突入しました。


最近は日の出6:38日の入19:32とイッキに日が延びて気温も日中は15度くらいまであがる陽気で春めいてきました。
これまでずっと腹筋に力を込めて寒さを凌いでいたのですがようやく腹の力も緩められそうです。


植物園ではスイセンがピークで、レンギョウが黄色い花を咲かせ、コブシ、モクレンも満開です。外で庭仕事が楽しい季節になりつつあります。


暗くて寒い英国の冬はかなり滅入るものですが、これからまた半年間は緯度の高い英国ならではの長い1日が楽しめます。


仕事のあと家に帰って食事をしてから近所のパブに出掛けて、付設のビアガーデンで裸足になって芝生のチクチクした感触を味わいながら日没まで夕陽を浴びながらノンビリとビールを飲むというのはなんともシアワセな贅沢です。


サクラ満開、春爛漫、どうぞ楽しい週末を。


2012年3月10日土曜日

2001年03月03日 「最近のニュースのことなど」


最近こちらにいて気になるニュースがふたつあります。

ひとつは口蹄疫、もうひとつは列車事故です。

口蹄疫は「foot and mouth diseases」と言うなんてことはこちらに来るまで知るはずもありませんでしたが、お蔭様でボキャブラリーも増えていきます。

で、この疫病が流行りはじめて以来ニュースはもっぱらコレばかりですが、酪農は英国ではとても重要な産業のひとつですので重大ニュースなのも頷けます。

スーパーから肉が消えるという事態には至っていませんが、状況が長引けば品薄、価格高騰を招き狂牛病の後遺症も手伝ってよろしからぬ影響があると思われます。

インターネットで日本の新聞を読んでいると、「英国に6ヶ月以上滞在した人の献血は受けつけない」という記事を目にして祖国から「オマエは感染している可能性があるので切り捨てる」と言われているようで、「冷てぇなぁ、日本はよぉ」と悲しくなりました。

狂牛病は脳ミソがスポンジ状態になって死に至るらしいですが、もともと僕の脳ミソはスポンジ状態にありますので影響はあまりないと思われます。

列車事故は1999年の秋にロンドンのパディントン近辺で大きな列車事故があって以来、大小おりまぜて事故続きの英国鉄道ですがまたしてもやってくれました。

今回は電車側には過失はなく、車が陸橋から落ちてきたために起きた事故ですが、以前ヨークに住んでいたときによく乗っていた路線だったのでちょっとゾッとしました。

電車は本来信頼できる安全な乗り物というイメージですが、最近の連続事故を見ているとそうでもないのかなと思わざるを得ません。

いずれにしましてもこのふたつのニュースは自分の生活にも大いに関係があるので、とても気になっています。



2012年2月27日月曜日

2001年03月03日 「おいはぎテレビ」




ここ数日は積もるほどでもないながら毎日小雪が舞って底冷えのする日々です。


さて先日「TVライセンス」なるものを104ポンド払いました。


ここ英国ではテレビを所有するとテレビライセンス料を払わなければならず、払わないでいて摘発を受けると罰金1000ポンドが課せられるといわれています。


いわばNHKの聴視料のようなものですが、罰則をみるとそれよりももっと厳しいようです。


払わなくてもなんら問題なくテレビは見れるのですが、強力電波探知機を備えた摘発部隊に踏み込まれてしっぽをつかまれるという話も聞きます。


昨年9月にテレビを買ってから、およそ半年粘ってきたのですが、「今日にでも踏み込まれるのでは?」とか「テレビを売った店が摘発部隊と結託して顧客情報を流しているのでは?」などとハラハラ疑心暗鬼な日々を過ごしていました。
そして104ポンドのライセンス料を払うか、1000ポンドの罰金かと葛藤した挙句、ついに年貢を納めたというわけです。


TVライセンスの会社からは「払わないと違法です」「罰金は1000ポンドです」「月々たった9ポンドのことです」とやいのやいのと手紙がしつこく来て腰を上げざるをえなくなったという経緯もありますが。


郵便局で104ポンドを払ったときの気持ちというのはなんともやり切れないものがありました。
学割とかはないのですね。


自信を持っていえるのは104ポンドの元は取れないということです。


ライセンス料に元もなにもないですが、とにかくあまり面白い番組があるわけでもないのでテレビのスイッチを入れない日も多いのです。
もっぱらラジオ派でして、家事をしながらなど「ながら」にはやはりラジオです。


テレビはBBC1、BBC2、ITV、チャンネル4、チャンネル5の計5チャンネルのみ。


しいてよく見るのは金曜日にあるガーデニング番組と映画くらいでしょうか。


映画も結構不便な時間にあることが多いので鑑賞を断念することもしばしばです。


サッカーはうんざりするほど中継がありますが、僕にとって肝心なラグビーはそれほどでもありません。
現在行われている6カ国対抗ラグビーはイングランドがホームグラウンドであるトイッケナムで行うゲームは地上波では中継しないという決まりがあるらしく、SKYという衛生放送でのみ中継されます。
その場合は大型のスクリーンがあるパブに出向いて観戦するしか方法がありません。


サッカーにはほとんど興味がないのですが、それでも先日行われたローマ対リバプールにはかの中田選手がフル出場したのでテレビの前に鎮座して観戦しました。
こういったヨーロッパの大舞台で一流の活躍をするというのは「お若いのに素晴らしい!!」と感動しました。
特に後半キャプテンが退場したあとには中田がローマのキャプテンを努めたわけで彼の活躍に大いに興奮しました。


サッカーは日本のプロ野球ニュースのように試合があった夜にはダイジェスト解説番組があるのですが、その司会はかのゲーリー・リネカーです。
名古屋グランパスにも在籍していたこともある彼ですが、英国では国民的英雄です。
そんなスゴイ人が名古屋にいたとは・・・。


因みにゲーリーは日本的な発音であってこちらでは「ガリー」に近い発音をします。
最初ガリー、ガリーというので誰のことかと思っていました。


「ハンニバル」公開直前にはテレビで「羊たちの沈黙」を放送したりと抜かりのない部分もあります。


でも104ポンドも絶対に見ていないよなぁとちょっとムッとしながらテレビのスイッチを入れる今日この頃です。

2012年2月20日月曜日

2001年02月19日 「おいしい生活」



最近ちょっと良いものを購入しました。


トースターです。


パンを食べる機会が多いながらトースターというものを持っておらず、これまでずっと生パンでした。
去年は学校の食堂にトースターがあったのですが、アパート暮らしを始めてからは「たまにはカリッとサクッといきたいねぇ」と思いながら半年間過ごしてきました。


そんなおり、近所の中古品「なんでも屋」に行ったときに目に飛び込んできたのがこのトースターでした。


お値段4ポンド也。


トースターの底には焦げたパンくずがまだへばりついていたりして、誰が使っていたのかも分からず不気味な部分もあったのですが、熱を発する機械だけに問題なかろう、キレイだ、と言い聞かせながらレジへと向かいました。


レジにてちゃんと動くかこの場でデモンストレーションしてくれと頼んでちゃんとふたつあるスロットの中が赤く熱くなるのを確認して4ポンドを払ってスキップしながら家路につきました。


故障品をつかまされてはなるまい、とデモを目の前で依頼するあたり随分とこちらの生活に染まってきた気がします。


そんなわけで最近はほんのり香ばしく温かいトーストにたっぷりとバターをぬって美味しく頂戴しています。


トースターを買ってから僕の食生活に変化がでてきました。


これまでの朝食は野菜が多く、手軽で腹持ちがするという観点から毎週日曜日の夕方にチキンクリームシチューを1週間分仕込んで、これを毎朝お椀に取り分けて温めてクロワッサンと食べていました。


シチューは良いとして、毎朝クロワッサンというのはやや健康面で不安があり、これに換えて美味しいシチューのお供にトーストを抜擢したわけであります。


シチューもさすがに毎日同じものを食べていると飽きてきてしまい、最近すっかり定着してきたのが伝統的英国風朝食です。


これはベーコン、ソーセージ、目玉焼き、焼きトマト、焼きマッシュルームなどを大きな皿に盛り付けトーストを添え、さらにその上からベイクドビーンズという大豆のトマトソースのようなものをかけて食べるものです。
ボリューム満点でウマイです。
恐らく2年前であればそれほど美味いと思わなかったでしょうが、最近はどうやら味覚もこちら風に染まってきたようです。


突然開眼した理由はローストティンというオーブンを使ってロースト料理をつくるときに使う金属の専用皿を買ってからオーブンを活用するようになったからです。


この皿にあとで洗うのが楽なようにアルミフォイルを敷いて、その上にソーセージ、ベーコン、トマト、マッシュルームをのせて15~20分オーブンに入れれば出来上がりです。


その間に目玉焼きとトーストを作り、ベークドビーンズを電子レンジで温めて絶妙のタイミングでそれらすべてをひとつの皿にのせれば完成です。


肉体労働だけに身体が資本。
朝からモリモリ食べています。


これにとどまらずオーブンはその活躍の場を広げ、キッパーとローストラムといった純英国料理にも食卓に登場するようになりました。


キッパーというのはアパートの隣人であるビル君に勧められて食べてみたのがきっかけですが、その美味さに脱帽し、最近はちょっとやみつきです。


辞書を引いてみると燻製のニシンであるとのことですが、とても怪しげな黄色をしており、そのままオーブンに入れれば出来上がりです。


これの上にバターをのせてトーストと食べるのですが魚とパンがこれほど合うとは意外です。


本来は朝食に供されるべき食材らしいのですが、僕は週末のお昼などによく食べます。


さらにウレシイのはお値段がお手頃だということで一腹がざっと70円ほどでしょうか。


早い、安い、美味いとなにやら牛丼のようなやつです。


スーパーマーケットに買物に行くと牛、豚、ラムなどの肉の塊がドドーンと売られていて、見かけるたびに「うー、かぶりつきたい」という衝動に駆られていたのですが、このローストティンを買ったことによって夢が現実のものとなりました。


パブにおいてはサンデーローストといって日曜日のお昼にこの特別料理を食べるのが伝統的な風習のようで、僕も何回かビーフ、ポーク、ターキー、ラムといったローストを試したのですが、個人的に一番美味いと思ったのがラムでした。


ラムは子羊の肉でちょっとクセがあるのでミントソース、マスタードなどを使って食べるのですが、程よい歯ごたえ、独特の風味、ミントソースとの相性などがとても好きで、いつか自分で作ってお腹を満たしたいと思っていました。


スーパーで堂々850グラムの塊を買ってきて、ローストティンに据えて周りにタマネギ、ニンニク、マッシュルーム、ローズマリーを添えて80分間190度でじっくりとローストします。


出来上がるとこれを切り分けて、マッシュドポテト、ニンジン、グリーンピースといった温野菜を添えてグレービーソースをかけて完成。


これまた感動的な美味さで、一人で唸りながら肉をほおばりました。


パブで食べるローストよりも美味しい気がしたのは手前ミソってやつでしょうか。
850グラムもありますので、2食分楽しめます。


飽きないかという心配は御無用。
なんのなんのです。


白いゴハンを炊いて日本的な食事もしています。
自炊が美味しくかつ安上がりで楽しいので最近はよっぽどのことがないと外では食べようとは思わなくなりました。


自分でもここまで自炊が苦にならないとは意外でしたが文句は言いますまい。
しばし今ここでしか食べられないものをトコトン食べておこうと考えております。


こんなことを書いておきながら最後の晩餐で何が食べたいかと問われれば寿司になっちゃうのですが。


今月は28日までですから、今月も残り10日ですね。


早いものです。


どうぞお風邪などひかれませんようお元気でお過ごしください。

2012年2月15日水曜日

2001年02月03日 「2月」



早いもので2001年も1ヶ月が経ちました。


私にとっては会社を辞めて丸2年という節目の月でした。


あれから2年というのが長いような短いような、とても不思議な感覚です。


東京で植木屋を手伝っていたのは遠い昔のような気もすれば英国に来たのはついこの前という感じもします。


昨日は高木潅木セクションのリーダーだったアンディが一身上の都合ということで植物園を辞めていきました。


彼は30代後半で細長い顔に突き出た尖ったあごのアメリカンコミックから抜け出してきたような風貌の良いオトコで、まさに樹のスペシャリストでした。
日本でも最近は樹木医という職業を耳にしますが彼は植物園内の樹木の健康状態を把握して的確にさまざまな処置をほどこしていました。


Tree Surgeryといって文字通りチェーンソーをもって病気の部分、怪我をしている部分をバッサバッサと切ったりします。


ここ英国ではチェーンソーを扱うのには免許が必要で彼は植物園内で数少ない免許保有者で知識、経験も豊富で皆からの信頼も厚かったわけです。


彼がチェーンソーを扱うのはカッコが良くて、見とれることもしばしばでした。


服装も免許にしたがって定められていて、足元は安全靴よりも丈夫なチェーンソーブーツ、ズボンも特殊繊維入り、特殊な手袋、フェイスガード、耳当てつきのヘルメットなど。


ちょっと待てよ、と思ったのが日本で植木屋にいたときのこと。


とあるお宅の庭に枕木を置くことになり、親方に言われて安全面で注意すべきことなどの説明も装備もなくチェーンソーを使っていたのです。
飛んでくるおがくずを目に入らぬように目を細めたりしていましたが、まさに無防備でした。
「ウオッ、右足がちょんぎれたぁ」ってなことがあってもおかしくなかった状況で、今思えば恐ろしいことをしていたものです。


植木屋の足元は地下足袋で、これはこれで木登りの際に足先に木の枝の感覚が伝わってきたり、グリップが良かったりとメリットはあるのですが安全面ではちょっと疑問も残ります。
そしてはしごを使い、あとは木にするすると登ります。


英国での木登りは登山のようにハーネスとロープで安全を確保しながら徐々に登りつめます。
最初は見ていてまどろっこしいと思っていましたが、とても合理的で落下の危険もなく、最近はこうでないと危ないと思うようになりました。


仕事に無理がないというのが基本的な考え方のようです。


話を戻すと、昨日は15時で皆仕事を切り上げてホールで彼の送別会がありました。
ザッと30人ほどのスタッフが集まり、紅茶にビスケットをかじりながら立ち話をしたあとに植物園の最高責任者であるプロフェッサーがはなむけの言葉を述べ、最後にアンディが挨拶をしました。


「ケンブリッジを本当は去りたくない。皆と仕事ができてとても楽しかった。とても感謝している・・・」と簡単に挨拶しましたが彼の目は赤く腫れていました。


よく卒業式で泣くのは日本だけなどと聞きますが、植物園を愛し、皆から慕われたアンディの目に涙が溢れたのはとてもよく理解できましたし、どこでも溢れる感情を表現するのは一緒だなぁと思ってみていました。


一身上の都合というのは聞くと彼はそもそもイングランド北東部のスコットランドに程近いニューカッスルの出身で、彼の奥さんがケンブリッジにどうしても馴染めなくて帰りたいという彼女の希望に沿った決断だったようでした。


自然に溢れた人情味ある北の出身であれば、どこかよそ行き顔のケンブリッジに馴染めないというのは理解できる気がしました。


今日から6カ国対抗ラグビーが始まります。
テレビでの中継もあるので、この週末は自宅にてビールを飲みながら観戦して過ごすつもりです。


寒い毎日かと思いますがどうぞお元気で。

2012年2月12日日曜日

2001年01月28日 「勤労学生より」



東京も3年振りの大雪だとのことで相当混乱しているようですね。


こちらも相変わらず寒いです。
雪こそ降っていませんが0℃を挟んでの毎日です。


植物園では各セクションを定期的に移るのですが、来週から外働きから温室の担当に変わるのでなんともグッドタイミングだと喜んでいます。
温室は気温が常に15度前後に保たれているので寒いということはありません。
湿度も意図的に上げられているので、さながら南国にいるかのようでもあります。


寒いとことのほか体力を消耗すると気付かされます。
1日を通して首をすぼめたりして寒さに抵抗するため全身に力が入っているようで、常に腹筋あたりに緊張感があります。


お茶の休憩時間などに室内に戻ると全身が弛緩されますが、それでも温泉につかるような暖かさではありません。


寒いです。


アパートにはシャワーのみで湯船につかることはなく、自室の電気ヒーターは電力だけイッチョ前に消費する割りにさっぱり暖まりませんので、靴下、靴を履いて、フリースジャケットを2枚重ねし、膝には湯たんぽを置いて暖をとっています。


それにしても安普請で窓からかすかに吹き込む隙間風に耐えながら生活しています。


寒いのは仕方がないとしても、1日のなかのどこかで暖かい体験をしないとかなり辛いというか、ネガティブな気持ちになります。


最近はアルコールを飲んで湯たんぽを抱えて寝るというのが寒さを忘れる手段になってきています。


一方、春は確実に近づいているようすで球根がここそこに芽を出し、落葉樹は硬い蕾をつけていますし、日の出7:45日の入り16:43と日照時間も徐々に延びていっています。
冬至のころピーク時には16時前には太陽が姿を消していましたので大進歩です。


そういえば土曜日に電話代の振込みに銀行へ行ってきました。
もと銀行員なので英国の銀行がどうなっているのかは結構興味のあるところです。


銀行は全ての支店で土曜営業しているわけではなく、市街地、繁華街の一部に限って時間を短縮して営業しているので平日は仕事がある僕としては大変助かります。


通帳というものはなくて月1回送られてくるステートメントという明細書のみ。


科目も普通預金ではなく当座預金でキャッシュカード以外にも小切手帳をくれます。
初めて自分の小切手を切ったときにはとてもエラくなった気分だったのを覚えています。


ときどき自分の口座から誤って引き落とされていることがあるので、買物のときのレシートとステートメントを突合させて消し込んでいくという作業は自分の責任です。


先月のスーパーで買物をしたといわれるもので手元にレシートが無く腑に落ちない41ポンドの買物があったので、請求書に自分のサインがあるのか現在調査を依頼していますが、請求書のコピーを取り寄せるのに6~8週間掛かるというので気長に待っています。


あれ?と思ったら主張しないといけません。


口座を開設するのは結構大変で、僕はヨークで学校にいろいろ書類など揃えてもらってやっとのことで開設できたのですが、ケンブリッジで植物園に一番近い銀行に口座を開こうと思ったら、あれこれとフクザツな書類を揃えろと言われ、「ウチではお断り」ってことだなと察して諦めました。


現在取引のある銀行に一旦口座を持った後は、どういうわけか優良顧客と思われたのかいろんなセールスを受けました。


この前はISAという高金利、非課税の商品を勧められました。


一年での非課税受け入れ上限額が3000ポンドで年利6.75%とのことで、一年で利息が200ポンドもつくので即申し込みました。
利息でちょっとはマシなものでも食べられそうだったので有難い申し出です。


あるときは僕のキャッシュカードを一瞥して「これは新規のお客様に発行しているもので、今日はこれをVISA付きのカードに切り換えておきます。」と言われて怪しい一見の東洋人客から優良顧客様にたちまち大変身です。


その担当者と話していて、僕の口座には当座貸し越し枠が1500ポンド、キャッシュローン15000ポンドも設定されていることが判明し、「オイオイ、大丈夫かよぉ」とこちらが心配になりました。


年収以上のキャッシュローン枠ですよ。


諸手続きのなかで色んな質問をされるのですが、いつも戸惑うのが職業を訊かれたとき。


学生でもあり、勤労者でもあり、何なんだろうオレは?と難しいところです。


学生証も持っていれば、定期収入も僅かながらある。


まぁ勤労学生ってことです、と説明します。


何かしら罪を犯して新聞沙汰になったらどういう風に自分の肩書きが載るのかなどと想像した土曜日の昼下がりでした。

2012年2月2日木曜日

2001年01月14日 「ジョン」


ジョンというのは何も犬の名前ではございません。

植物園に勤めるスタッフでなんと16歳からこの植物園に勤めているという、植物分類花壇セクションのリーダーで僕と同じ年の独身英国人です。

彼の天性のユニークでオープンな性格と歳が同じだということで仲良くなりました。

彼のユニークなことは、他の人の趣味や主張に迎合することなく、我が趣味、主張を貫くことです。

しかもそれがお人柄なのでしょう、まったくイヤミがないというかむしろ僕は好感を持ってみています。
オモシロイやつだな、と。

彼の趣味の代表は「天気」でしょうか。
それはもう趣味の域を超えライフワークといえるかもしれません。

一旦天気の話になると止まりません。

雲のこと、気温のこと、降水量のことなど、特に大雨、豪雨、雷、雪、最低・最高気温など何かに特化した異常気象に尋常ならぬ興味を示します。
もともとは植物園内に百葉箱があり日々温度や知湿度などの基本的な気象要素を記録する係になったことに端を発しているようです。

地声がとても大きくて、それだけで裏表のないストレートな性格だと想像できるのですが、その大声で延々と天気の話を聞かされるとドッと疲れてしまいます。

他にも彼の趣味は、旅行、ワイン、チーズ、買物、株などで、買物といってもブランド品を買い漁るのではなく、近所のスーパーのポイントを貯めてそれを使って旅行をしたりするのです。

それはコツコツと貯めるといった感じではなく、車のない若手トレーニーを相手に「車でスーパーまで買物に付き合うからポイントはオレに頂戴ね。」という交渉をして一度に3人くらいの引き連れてスーパーに行くという貪欲さです。
この発想がすでにユニークというか笑っちゃうわけです。

それ以外は質素なもので着るものなどにも頓着しません。

この前ジョンが「あのサ、スエーデンのカルーナというところに氷で出来たホテルがあって、それがスゴク良いらしいんだけど興味ある?」と聞くので「あるある」と答えたところ、彼の家でパンフレットを見ながら一緒に検討しようということになりました。

その日の夕方植物園で仕事を終えると「何時頃来る?」と聞くので「そうねぇ、19:30頃かなぁ。」というと「分かった、食事も用意するから。遅れても良いけど19:30より早く来ないでね。」と不思議なことを言われました。

この辺もジョンらしいところです。

僕は約束の19:30よりも早まることなく手土産の定番であるワインを持って彼の家に到着しました。

飼い犬のBodo(ボードー)が狂ったように大歓迎してくれました。

家には彼の母親と妹がいてしばし雑談を交わしたのですが、二人ともジョン同様に声が大きいので笑ってしまいました。

1時間もしたでしょうか、そろそろお腹が減ったなぁと思った矢先にタイミングよくジョンが「マサヤ、ハギス食べたことある?」といいます。

ハギスはスコットランド料理ですがクセがあるので嫌いだという人も多いのです。
僕は結構好きだと伝えると、おもむろに袋に書いてある調理法を読み始めました。
それは単にお湯で茹でるだけのはず。

「ナニナニ、あーナルホド、お湯に入れて60分茹でるのかぁ。」ってこれから更に1時間ってことか?と空腹感がつのっていたのでちょっとカチンときました。

ことはそれで終らずさらに続きます。

付け合せのポテトを茹でているときにも会話に熱中して時間を忘れたためマッシュドポテトでもないのにマッシュしたかのようにイモの原型をとどめていません。

なんかマズそうなのです。

途中で旅番組でアイスホテルについてやっていたのでビデオに撮ってあるのでそれを見ようということになったのですが、そもそも整理整頓とは無縁の性格のようでビデオのどの部分にそれが録画されているのか自分でも分からなくなっていました。

大笑いしたのは、その旅番組を探すためにビデオを早送りしたのですが、そこに映っていたのはほとんどが「天気予報」だったことです。

天気予報を録画してみるっていうその天気オタク度に頭が下がりました。

早回ししながらも、最近の英国の異常気象を伝える場面になるたびに早送りを止めて「ホラ、これがこの前大風がふいた時サ。分かるだろ、この低気圧がさ・・・」と延々と解説を加えるのです。

お母さんも妹さんも頷きながら聞いています。
どうやらとてもユニークなお宅にお邪魔したみたいです。
お腹減ってないのかなぁ。

アイスホテルはその名のとおりホテルそのものが氷で出来ていて、マイナス××度というなか氷でできたベッドにトナカイの毛皮をひいて寝袋でねるというもので、追加オプションで空港からは犬ぞりでホテルまで行けるのだとか。

普段節約家で好きな言葉が「バーゲン」というジョンが選ぶ旅なので本格的な安上がりな旅を想像していたのですが、そのツアーは1週間で総額1000ポンドもします。

「ウエッ、高い!」とおよび腰になっていたら「どうよ、マサヤ。いいだろ?」とウインクします。

「思ったより高いんじゃない、コレ」「そう、ちょっと高いんだ。でもサ全て氷でできたホテルに泊まって、今の時期昼でも薄暗いっていう極地の体験ができるんだからサ。オーロラも見れるかもしれないし、人生何度もある旅じゃないヨ」なんて会話があってどこかスッキリしないながらも話をすすめることにしたのでした。

そんなやり取りの末、ようやく待ちに待った夕食にありつきました。

時間はなんと22時15分。

家にきてからおよそ3時間たって食事になると分かっていれば何か軽く食べてきたのに。
呆れるよりはむしろジョンらしくて笑ってしまいましたが。

彼はいつか日本にも来たいと言っています。

ここにも彼の壮大な計画がありました。

それはスーパーのポイントを貯めてくるというもの。
僕も何度か一緒に行ったことがありますが、彼はスーパーに到着するとまずエントランス脇にある専用マシーンで「今日のお買い得」「今日のボーナスポイント商品」といった情報を取り出して、どうやったら効率的にポイントを稼げるか目処をつけます。

笑ってしまうのはこれをスーパーの店員よろしく僕らに売り込んでくることです。

「ハムいらない?ハムは今日だけ200ポイントボーナスがつくんだけど。」とすり寄ってきますので、必要のあるものであれば協力しますがそうでなければ無視です。



彼も一緒に買物をするのですが、その買い方も徹底していて笑ってしまいます。

夜のスーパーは賞味期限切れが迫っているものに赤札が付けられて安くなります。
彼の買物用の押し車(トローリー)には赤札商品が満載です。

嬉しそうに僕に見せたのはタラのすり身ペーストでなんと10ペンス(18円)で、本日賞味期限の赤札商品でした。

よくこんなもの探してくるなぁと感心してしまいます。

こちらのスーパーでよくあるのが「buy 1 get 1 free」というもので「ひとつ買えば次のひとつはオマケ」みないなもので、これと赤札商品をうまく組み合わせると節約効果は高く、彼はそのあたりも抜け目がありません。

彼に今日までの成果を尋ねると「パリ往復分くらいはある」と胸を張って言っていましたが、彼がマイレージを使って来日するのはいつの日でしょうか・・・。

そんなユニーク英国人ジョンのお話でした。