どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2013年5月27日月曜日

2002年11月13日 「ヨークより」


現在11月12日、午後1時半。
自室にて紅茶を飲みつつこれをしたためています。

当初の予定では日曜日の13:00に成田を発つ予定でしたが、急遽搭乗予定の飛行機が「キャンセル」になり成田に一泊し、昨晩ヨークに戻りました。(成田発ルフトハンザ、ミュンヘン経由マンチェスター行き)

13時の飛行機に乗るために日曜日は8時に自宅を出発し、チェックイン後は「最後の寿司&ビール」にて有終の美をキメ、あとは帰るのみという段で「機体整備のために出発が遅れます」というアナウンスが入り、まもなく「本日の便は欠航いたします」とアッサリとキャンセルになってしまいました。

イギリスの電車などではよくあることで、慣れてしまったためか「フーン」という程度でしたが、乗客のなかには「どないしてくれるんやっ!」と大騒ぎする輩も。

いくらわめいたからって飛行機は飛びませんですヨ。

それでもどうしても、という人がいて、耳をそばだてていると
「一旦シンガポールに飛んでもらいます」(フムフム)
「そしてフランクフルト行きに乗ってもらいます」(ナルホド)
「さらにフランクフルトでミュンヘン行きに乗り換える方法が考えられますが」(ホホー)
「総飛行時間は約27時間となります」(シェーッ!!)

飛ばない理由は「オイル漏れ」だそうで、部品は日本に無く、香港から取り寄せるケース、フランクフルトから取り寄せるケースで、いずれにしても日曜日出発は絶望的となり空港で事態収拾となるまでの約7時間足止めをくったのでした。

まあ、オイル漏れが整備中に見つかってヨカッタと。

これが北極圏を飛んでる最中でしたらちょっとタイヘンなことになります。

特に急ぐ理由も見当たらないので、配られた「1000円のミール券」でカレーを食べボーっとしておりました。

音楽でも聴いて暇をつぶそうにも、仮眠して体力を温存しようにも「重大アナウンス」を聞き逃してはなりませんので、ボーっとするしかありません。

アッ、ここぞとばかり売店の雑誌を片っ端から立ち読みしまくりましたね。

そして、ようやく手配されたホテルに移動するにも、出国手続きを済ませ、ビル君あてのタバコのお土産を免税で買っていた僕は、「出国取消し手続き」「免税品の一時預かり」などをし、ホテルについたのは18時近かったです。

この時のパスポートのスタンプは良い記念になるのでは。

だってなかなかあることじゃあないでしょうから。

翌朝8時発というフライトスケジュールのようで、朝6時にホテル発との連絡があり、最後の夜を夕食券で刺身・天ぷらの和食を食べ(ご飯も3杯おかわり)、ちびまるこちゃん、サザエさんなどの日曜日の番組を堪能し(今回帰国期間中はあまりの忙しさでTVはほとんど見ていませんでしたので)、浴槽にバッチリとお湯をはり、湯船に漬かり、湯上りに「サッポロビール」を飲み気分よく寝たのでした。

帰りの飛行機では食事と食事の間にお腹が減った人のために、ギャレーには「おむすび」などの軽食があるのですが、これを3つほどガメてきて、ヨークの自宅についたのが20時過ぎで疲れ果てていたので、このおにぎりとインスタント味噌汁で今回の帰国プロジェクトを締めくくったのでした。

成田~ミュンヘンが11時間40分、ミュンヘン~マンチェスターが2時間、マンチェスター~ヨーク(電車)が1時間50分、ミュンヘンでの乗り換え待ち時間が2時間半。

成田を飛び立ったのが日本時間の08:00.ヨークの家に着いたのが20:00.現在日本と英国の時差が9時間ですので、総所要時間21時間ですか・・・。

もうしばらくイイです。

今朝のヨークは小雨がまじり相変わらず肌寒い感じです。

パンも牛乳もタマゴも切らしていたので、買い物に出ると2週間前にはあった筈の落葉樹の葉がほとんど落ちてしまっていて、とんでもなく長い期間日本にいたのでは?と錯覚するほどです。

サマータイムも不在期間中に終わり、一時間進んだ時計を戻したりして現実へと戻っていきます。

今回の帰国は当初計画以上にやることが多くなり、結果皆さんにお会いする時間すら捻出できない不本意な帰国となってしまいました・・・。

申し訳ありませんでした。

今回の帰国は以前お知らせしたかと思いますが、
①祖父の三回忌
②世田谷の自宅、退去の為の荷造り
③ジョンの世話
がメインで、特に予想以上に②が最後の最後まで難航し、二進も三進もいかなくなってしまいました。

③も詳細は追ってお知らせしますが、タイミング的には「ズラして欲しかった・・・」というのが偽らざるところです。

もうちょっと「くつろぎ帰国」がしたいと切に思っており、また近々そういう機会を作って帰ろうと思っていますので、そのときにはまたよろしくお願いします。


2013年5月16日木曜日

2002年10月12日 「日本」


今週あたりからかなり寒くなってきました。

もはや暖房なくしてはツライ感じです。

日照時間もグングンと短くなり、長くて鬱陶しい冬はもうすぐそこといった風情です。

日本はこれからしばらくは1年で一番過ごしやすい季節でしょうか。

紅葉が美しく、食べ物も美味しい・・・・。

そんな良い季節を遠くから羨ましがるもなんなので、チョット帰ることにしました。

具体的には10月27日から11月10日までの2週間です。

とはいっても「祖父の三回忌」「家庭の事情」が主な目的で、2週間完全休暇というよりは忙しい毎日になりそうですが、それでも久し振りの日本、今からコーフンしています。

しかも植物園のジョンが「お前が帰るなら、その機会を何故見逃せようか!」と彼も日本行きを決心した模様で、日程は多少違うのですが、それでも来日するようで、彼の面倒も少し見なければなりません。



都合があえば皆様にもお会いできればと思っています。

帰る前に締め切りの近いレポートを片付けて、と学生らしい態度で準備を進めております。

それでは、また。



2013年5月9日木曜日

2002年09月26日 「新生活のことなど」


気が付けば9月も残り少々。

引っ越してきてから3週間です。
3週間で良いこと、悪いこと、色々見えてきました。

まず新居については、満足度70%でしょうか。

ほぼ大筋では気に入っているものの(既にセントラル・ヒーティングが稼動し、とても良いカンジです)若干の不満があります。

大きくは2つで、まず第一は「気を遣うこと」です。

他に3人の英国人と同居しているのですが、自分の部屋以外でかなり気を遣うことがあります。

ケンブリッジでは狭く限られていながらもシャワー、トイレ以外はほぼ全ての設備が自分の部屋にあったので、何時、何を料理して、TVを見ながら食べようが、それは全く自由だったのですが、今度はキッチン、ダイニングが共同なので、他の3人と鉢合わせないように気を遣ったりする訳です。

TVがダイニングにあるので、誰かが大ボリュームでTVを見ている横で、黙々と食べなくてはならなかったり。

同居人は
①化学の博士課程(20代後半)
②史学の博士課程(50代半ば)
③法学の修士課程(20代後半)
と、かなりのインテリ揃いです。因みに全て男性。

問題は②のオジサンで、「自己中心的」「慇懃無礼的」「努力型勤勉家的」といった感じの御仁です。

初めて会ったのは、自分が夕食をダイニングで食べている時で、普通に初対面としての挨拶を交わし、そのままスッカリ話し込んでしまいました。

一応、「君は・・・についてどう思う?」と聞いてくるものの、真面目に答えていても全然人の話は聞いておらず、こちらが話し終えるや、怒涛の如く話しを延々と続けます。

初対面だったので、「人が話してるのにモノを食うのも失礼かしらん」などと小心振りを発揮していたら、スッカリ料理は冷めて、食欲も失せておりました。

ある時は、うどんを作りダイニングで食べようとしたところ、そのオジサンがくだらないドラマを熱心に見ていたので、「つるつると音を立てて食べるのは英国ではマナー違反かしらん」などと、堂々とつるつるすればいいものを、これまた小心振りを発揮し、むぐむぐとうどんを食べた日には味も素っ気もございませんでした。

だったら自分の部屋で食えばいじゃぁないか、という声も聞こえそうですが、何となくそれは「負け」という気がして、食事はあくまでもダイニングでとこだわりがあった訳です。

が。
今は勝ちも負けもなく、気がねなく美味しく食べたいじゃぁないの、ともっぱら自分の部屋で食事をするようになりました。

そして開き直りというか、もっと大胆にというか、料理したいときに食べたいモノを好きなようにと発想を変えました。

ええ、これからはうどんだろうが、そばだろうが「つるつるっー」と食べますよ。 

思うに彼らはそんなことイチイチ気にしちゃあいないのです。
気の遣い損ってところです。

食べてる間に話しかけられても②のオジサンの場合であれば「フンフン」と相槌を打つに留め、議論の類は一切パスしますよ。

ハッハッ。

パンケーキ(日本ではホットケーキ)が好きで、ケンブリッジにいたときも毎週日曜日の朝はパンケーキの日と決めていましたが、こちらヨークに来てヨカッタこととして、「パンケーキが美味しくなった」という事が、驚きの事実として挙げられます。

これまでは、粉を卵と牛乳で溶く時に大型のスプーンでぜーぜー言いながら攪拌していたのですが、この共同キッチンに「泡立て器」を発見し、早速使ってみたところ、ダマにならず完璧に粉・卵・牛乳がまさに三位一体に混ぜ合わさるためか、気のせいではなく確実にお味がアップしてしまい、ビックリです。

不満その2は、隣人関係でしょうか。

現在車を所有し、それは家の前の通り(道路幅、車3台分。

すなわち両側に駐車し、あと車がやっと通れる幅)に停めて良いということになっているのですが、いざ車を停めてみるとその前の家のオジサンが出てきて「ここへは停めてはならん、娘がくるのだ」とスゴイ恐い顔をして言ってきます。

「そんな公道なんだから空いていれば停めたモン勝ちでしょうが」と思いつつも、来た早々に摩擦を生じるのもイヤなので、チッと思いつつも満面の笑顔で「オッケー、ノー・プロブレムよ」と車を動かすようにしています。

どうやら駐車スペースを巡っては、下宿人と住人との間でこれまでも色々あったようで、それは事前に思いもよらなかったことです。



家探しの時はなにせ、カビがはえず、暖かい部屋、しか頭になかったですから。

肝心の学校は。

実はそもそも戻る予定だったコースよりも更に一つランクを上げちゃぁどうだ、と担任から言われ、そうすることにしました。

そもそも戻る予定だったコースは1年目に取っていたものよりも当然難度は高いのですが、言われてカリキュラムをヨクヨク見てみると、とても簡単に見え、僭越ながら、「知らず知らずの内にパワーアップしていたのかっ、オレはっ」と少々嬉しくなりました。ホントかな?

コースを変更した結果、当初よりも学校の始る日が1週間延びたため、先週の金曜日から3日間、美しい海岸線で知られる西ウエールズに気分転換に行って来ました。

珍しく3日間とも天気に恵まれ、青く輝く海を眺めつつ、サンドイッチを頬張り、新聞を読み、ビールを飲み、うたた寝をし・・・、とまあノンビリした休暇でした。

宿泊は貧乏学生ですので、金曜日は車の中で寝袋。

深夜1時過ぎにパトロール中の警官2人組に懐中電灯に照らされ職務質問を受ける羽目に。

ビックリ、というか当たり前か、話す前から「ケンブリッジから来たのか」と図星だったのは、サスガ警察と感心しましたね。

実はヨークからなんですけど、「ハァ、そうです」と答えておりました、

車の中は安いながらも寝心地最低だったため、土曜日はユース・ホステルへ。

ワタクシ、ユースホステル会員なので慣れたものです。

寝床を確保した後は御当地ビールを求めて繰出しのでした。

勉強してんのかっ!と言われそうですが、学校が本格始動するのが来週からで、そうなるとウンウンと唸りつつの1年間になるので、少しは良いか、と。


日本もそろそろ本格的秋の訪れでしょうか。

こちらも、日照時間が格段に短くなって来て、長く寒い冬の予感です。

あと1ヶ月もするとサマータイムが終了し、TV・ラジオなどからは「クリスマスまであと何日」などという話題が中心となります。

まずは無事に新生活をスタートしましたことを御報告申し上げます。

それでは、また。