シロといっても犬の名前ではありません。
実はこのまえ口元に小さなイボがポツッとできたので近所のかかりつけの医者に取ってもらいました。
この国はとても社会福祉が充実している国で、私もこの国で少ないながらも社会保険料を納めているものとして基礎的な医療を無料でうけることができるのです。
無料、ただ、フリー・・・、なんと響きの良い言葉でしょうか。
これまでラグビーで耳がチョン切れて破傷風の注射をうったときも、腰痛で動けなくなり往診してもらったときもすべてタダでした。
これはスゴイことだと思います。
さすがタバコ一箱800円するだけのことはあります(べつにタバコ税が社会保険に回っているとは思いませんが)。
病院に行っていつも困惑するのが言葉です。
「破傷風」「イボ」などその単語で説明しないと伝わらないものが医学専門用語としてヤマのようにあります。
こうなると自分の持ち合わせの語彙を超えていて辞書に頼らざるを得ません。
事故などで緊急に病院に担ぎ込まれたりしたらば当然辞書などはないわけで本当に困ります。
今回イボの件では普段つかっている植物英単語が役にたちました。
イボを取るのに液体窒素で患部を処置するのですが、この液体窒素を辞書を見ずに会話に盛り込むことに成功しました。
液体は御存知のように「liquid」で、窒素は植物3大栄養素のうちのひとつなので「nitrogen」とすぐに出てきます。
これを組み合わせて「liquid nitrogen」。
これを医者との問診時にちりばめてみますと、流れるように会話が成立するではありませんか。
なせばなる。
医者と会話が弾んだのとタダなのをいいことに「血液検査もお願いできませんでしょうか?」とおねだりしてみました。
実は昔インドに住んでいたときに肝炎を患ったことがあり、その後は完治したものの最近の酒の飲み過ぎが少々気になっていてできれば健康であるお墨付きをいただきたいという目論見です。
会社を辞めた後は定期的に血液検査を受ける機会を失っていたのでチャンスをうかがっていたのです。
医者は頷いて血液検査の手配を看護婦に指示しました。
さすがにこういった類の検査は金が掛かるのだろうと思い、恐る恐る聞いてみると「タダです」という心強い返事が。
この際英国滞在中にからだの悪いところを全部治してもらっちゃおうかなと思いますね。
でも残念ながらこれといって特に悪いところが思いつかないあたりはシアワセ者と申せましょう。
そして先日血液検査の結果を聞きにドクター・グリフィスを訪ねると、「ネガティブ(シロ)」と告げられホッとして帰ってきました。
さぁ、これで安心してまたビールを飲めるというものです。
この医者と会話をしていて気付いたことがあります。
「キミは何をしているんだい?」と聞かれ「ケンブリッジ大学の植物園でガーデナーをしています。」と答えると先方の態度が明らかに好意的に変わったことです。
その医者もケンブリッジ大学の関係者ということもありましたが、どうやらガーデナーというのはチョット良い職業のようです。
これまでも別の場面で「そうなのかも?」と思えることが何度かあったのですが。
これは「けっ、ガーデナーかよ。」と見下されるよりは遥かにグッドニュースです。
肩書きと中味が釣り合うように尊敬されるガーデナーを目指してさらに精進せねばと誓った一件でした。
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