どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2013年2月18日月曜日

2002年05月6日 「ままならぬお家探し」


ゴールデン・ウィークも終盤。如何お過ごしでしょうか?

さて、私としてはこの週末は金曜日に休みをとり、金、土と2日間ヨークに出掛け、9月からの宿探しをしておりました。

これ、なかなか思ったようにいかずかなり気持ちがブルーになりました。

1年目のようにキャンパス内の寮に入るのは容易いのですが、ここは若者が多い分騒がしく少々辟易しておりました。

更に値段がその分格安ならまだしも、結構な値段がするので、それなら街で部屋を借りた方がよかろうという計算です。

ついては幾つかの条件をもって部屋探しに臨んだのですが、その第一条件は安いこと。

現在のケンブリッジが毎月ザッと5万(光熱費、雑費抜き)ですので、それよりも安く。

そして、なんといっても譲れないのが「暖かい」こと。

もう2年間のケンブリッジの寒い、湿っぽい暮らしにはホトホト嫌気がさしていましたので、「セントラル・ヒーティング」のある部屋。

これを元にあまり贅沢はいえない部屋探しをはじめました。

街の不動産屋は高いので、ヨーク大学のつてから学生向けの宿のリストを入手し、片っ端から電話しました。

当初は、「駐車場がないからダメ」とか、「立地が良くないからダメ」などとマーカーペンで見当をつけていたのですが、イザ電話をして大家さんに面談を申し込もうとしても、そのほとんどが「4部屋4人向け」などという表示で、大家さんとしては個々に貸すのではなくて、一軒を丸ごとグループに貸そうとしているケースばかりで、「独りなんですが・・・・」と言ったとたんに断られるケースがほとんどで、選り好みしている場合じゃあないと悟り、片っ端からの電話作戦となった訳です。

日中の連絡先しかない先なんかもあったりして、もう植物園も半日休ませてもらっての集中架電作戦です。

そのような交渉は当然全て英語なのですが、見も知らぬ人にいきなり電話をかけて自分の事情を 分かってもらって、面談にこぎつけるというのは本当にストレスでした。

6時間以上電話を掛け続けている最中に、フト銀行員時代のボーナス時期の電話勧誘のことなど思い出しておりました。

そんなことを経て、金曜日に4件5物件、土曜日に3件3物件の予約をとりつけました。

しかし!!イザ物件を見てみると、自分の理想からはかけ離れたものがほとんどで、気持ちがどんどんと沈んでいきます。

若いドラ息子とその友人が住む荒れ放題の家の一部屋だったり、モノ凄くクセのありそうな大家さんと同居だったり、物件は素晴らしく平和な田舎の村にあり環境は抜群といえるが、村にはパブはおろか店も一軒もなく、バス停まで歩いて15分、ヨークの街からは20キロ離れているとか、部屋が恐ろしく狭いとか・・・・。


初日にあまりに強烈な体験をしたため、金曜日の夜は悲しくなり、思わず枕が涙で濡れそうでした。

そして、ケンブリッジの自分のショボい部屋が何となく素晴らしい部屋に思えてきました。

そんな中、2日目の2件目に「これだっ!!」という物件に巡り会えることができました。

これもグループ貸しが前提の大家さんを口説いて面談にこぎつけた先だったのですが、実際に見て全ての面において現状(ケンブリッジ)を上回ると思え、大家さんに「スグにでも契約したいのですが」とすがりました。

しかし、ひとつ気になるのは契約期間が「2002年7月1日~2003年6月30日」となっていることです。

当然来年の6月末には出なきゃならないでしょうし、実際の入居は9月1日ながら家賃は7月から払わなければならないことです。

まあ、とりあえず肝心なのは契約することで、その後のことはまたゆっくり考えようという楽天作戦です。

これをケンブリッジに戻って隣の部屋のビル君に話したら「7月から週末の別荘が出来たってことじゃん」となんとも他人事のお気楽なことを申しておりましたが。

そんな訳で何とか9月からの住処が見つかりそうです。

4人のグループというところに割り込んだので、他の3人がどういう人達になるのかは大変興味のあるところです。

基本的にヨーク大学の学生を対象にしているので、ひょっとするとヨーク大学の女子大生3人組ということもあるかもしれません。
そうしたら、オジさん困っちゃウ。

そんな脳天気なことを言いつつも金曜日の夜、本当にあわや枕が涙で濡れそうになったのは宿探しが難航したことよりも、むしろ「8月でケンブリッジを去るのか」という、もともと分かり切ったことが俄然現実味を帯びてきたことです。


年前の9月にヨークから引っ越してきた時は、ヨークが恋しくて、ケンブリッジなんて・・・などと思っていましたが2年近く暮らす内に友人、知人が増え、行きつけのパン屋、パブ、新聞屋など街にも馴染んできて、とても快適な暮らしをしていることに改めて気付いた次第です。

まあ、英国滞在全てを含め、この生活は永遠には続かないとは分かっていても、これだけ愛着のわいたケンブリッジから引っ越すのか、と思うとなんともセンチメンタルな気分です。

当地は明日月曜日はバンク・ホリデーといって国民の休日にあたっており、世間は3連休です。

が、そんなセンチメンタルな気分を味わった矢先、早く植物園にいって皆に会いたいものだ、とヘンな感じです。

5月の連休の頃は季節も良く気持ちの良い日が続くのではないかと思います。

どうぞ、楽しい連休をお過ごし下さい。



2013年2月8日金曜日

2002年05月06日 「パンドラの匣」


ラスベガスで「カジノ」というパンドラの匣をあけてしまいました。

アムステルダムでは「大麻」というパンドラの匣はあけずに踏みとどまりました。

そして、今日。
新たなパンドラの匣をあけてしまいました。

それは・・・・、「競馬」です。

競馬に詳しい方なら御存知のように、世界中に知られた競走馬の産地「ニューマーケット」の名前を聞いたことがあるでしょう。

これはケンブリッジのほぼ隣街で、ここで本日開催された「クラシック・レース」にアパートの隣人ビル君とその友人4人を含め計6人で繰出しました。

なんでも、このレース英国でも格式の高さではダントツなのだそうで、「何事も経験!」と、競馬には全く関心も知識もないにも係わらず誘われてホイホイとついていっ た訳です。

以前からイギリスの競馬は社交的で、日本の赤鉛筆を耳に挟んだ雰囲気とは違うと聞いていたので、一度は行ってみたいと思っていたところでした。

現にビル君と朝、 スーパーにワイン、チーズ、ハム、パンなどを買い出しにいって、競馬場の近くでレースが始まるまでの間、ピクニックをしよう、と画策しておりました。

しかし、先週はなかなか良い天気だったのに、今日は時折小雨混じりの風の強い日で、気温も全く上がらず、震えながら買ってきたものをさして味わう余裕もなくとりあえず胃袋に納め、レースに臨みました。

会場は大変な熱気で、やはりドレスアップした人もチラホラと見掛けます。漫画からでてきたみたいに、大きな帽子をかぶって、手袋をはめた貴婦人なんかもソゾロと歩 いていたりして、「イギリスじゃーん」等と変に感心したりしていました。

レースは14:00の第一レースから17:20の第七レースまでの計7レース。

ナント、全7レース全て馬券を買い続け、最初から最後まで堪能してしまいました。



というのは、第二レースで3ポンドで買った単勝馬券が当たり51ポンドを獲得したためで、その後の展開が楽になり小さな出入りを繰り返し、最終的にはトントンで終わりました。



アタクシはどうやら「勝つ」ようには出来ていないようです。

まあ、馬券を買うといったところで、大した策があるわけでもなく、単に名前が良いからといった程度で買うだけで、当たれば「マグレ」、はずれれば「当然」といったところでしょうか。

東洋から来たわたくしとしましては「LOOK EAST」という馬名を発見し、5ポンド買ったところ「勝てば630ポンド」という高配当が判明し、一瞬 めまいがし、相当興奮しましたが当然の如くただの紙切れとなりました。

ビルが言うように、天気さえ良ければ芝でゴロゴロしながらワインやビールを飲みつつ観戦となるのですが、今回は寒すぎてそれどころではありません。

しかし、目の前を馬が疾走していくというのは何とも迫力があり、昨年ビルとロンドンで見た「やぶさめ」ともども、馬って良いなぁと感動しました。

そして、この度決まりかけているヨークの自分のアパートから「ヨーク競馬場」はなんと、徒歩5分という立地条件です。

ヨークでも年に何回かレースが行われ、かなりの賑わいを見せるのですが、これは行かないテはないだろう、と思ってしまいます。

ビル君も、レースの時は行くから泊めてくれと今から言っていて、ケンブリッジの友情、なかなか強いつながりの気配です。



2013年2月3日日曜日

2002年04月10日 「アムステルダムのことなど」



行ってきました、オランダ、アムステルダム。

なかなか良い旅、そして色んな意味で事前の想像を超える街でした。

「フロリアード2002を見る」「キューケンホフ公園でチューリップを見る」「ゴッホ美術館で3枚のひまわりを見る」という当初の目的は全て達成してきました。

たった2泊3日の出来事ですので、ここは一つ時系列的に旅を追ってみようかと思います。

出発は土曜日の午前3時10分のバスに乗るところから始まります。

使用飛行場はスタンステッド空港といってケンブリッジからはバスで50分という便利な所にあり、欧州向け格安飛行機が主に離発着するところです。

飛行機は7:20発。

その為のチェックインを2時間前の5:20にしようと思うと、時間が時間だけにこんなベラボウに早い時間となるのです。

ともあれ予定していた飛行時間60分よりも10分早くオランダに舞い降り、改めて近い国だと思い知りました。

事前調査で空港からフロリアード会場までのバスが出ていることは分かっていたので、荷物も少ないことなのでそのまま直行しました。



しかし、この日はこの6ヶ月にわたる花博の開催初日にあたっており、コンピューターシステムの不具合とやらで発券システムがうまく起動せず、チケット売り場にはイライラした人達の長蛇の列が。

もちろん日本人も沢山いました。

恐らくツアーを組んでやってきたのでしょう、僕の数人前にそのツアー・コンダクターが「これではキツキツの日程が更にキツキツに・・・」と焦燥と苛立ちの表情で列に加わっていました。

いざ入場するにも、買った券を改札機に入れてそれをコンピューターが識別して・・・となるはずが、そんなものは全く役に立たず、脇の非常用通路から入っていきます。

入って、しばらく歩いて、気がついたのですが、とてつもなく「寒い」のです。

天気は上々で快晴なのですが、風が強く気温が低く、恐らく2、3度でしょうか。

リュックの中から着れるもの全て引っ張り出して着てみましたがどうにもいけません。

首をすぼめながらの視察となりました。

そして、更にしばらく歩いて気がついたのですが、このフロリアード、とてつもなく「つまらない」のです。

これ、大問題です。

「10年に1度」「園芸王国オランダ会場」とか煽るわりにサッパリです。

♪なーんでか。(こうやってギターひいてるオジさんいましたね)

自分が思うに、

1.ショーの目的、コンセプトがハッキリしていない。
 一応、feel the art of nature とそれらしいタイトルは掲げてあるのですが、なんとも曖昧。
 園芸なのか、農業なのか、環境問題なのか、家族憩いスペースなのか・・・

2.ハコ(会場)が中味に比して大きすぎて、無駄が多い

3.砂を大量に運び込んで作ったというピラミッド(高さ100フィートですから約30メートルですか)にも登ってみても何がある訳でもなく、そしてこれが果たして博の趣旨とどう関係があるのか

4.一番いただけないのが、展示物などの解説のほとんどがオランダ語を押し通していること。
 ナンダこれは?と解説に目をやるもサッパリ分からずで、世界中からの来場を見込んでいるんでしょうから、もうちょっとナントカして欲しい

5.細かくは、トイレの設置場所が少なすぎ、階段の勾配がきつすぎ且つ幅が狭すぎ、売店が日本の温泉街のお土産屋のよう、パンフレット類が貧弱・・・・

とまあ、あまり良いことはありませんでした

それでも14時頃まで一通り見学して、次の目的地「ゴッホ美術館」へ。

これは、いつだかの朝日新聞のインターネット版を見ていたら、「3枚のひまわりが1ヶ所に集まるのは初めてのこと」とあり、なんとなく見てみたいと思っていたのですが、着いてビックリ、物凄い長蛇の列が美術館の回りに出来ており、そのままUターンしてきてしまいました。

これには後日談があり、手持ちのガイドブックによると美術館は18時までとあり、諦めたのですが翌日改めてダメ元でいってみると、列は解消されているのに加えて開館時間は金、土、日は21時までと知りノンビリと出来ました。

日本語による音声ガイドも無料で、フムフムと頷きつつジックリと見れました・・・・。

とここまで書いたところで、フト、この調子でダラダラ書くのもセンスがないような気もし、読むほうも疲れるのでは、と思い一旦筆をおくこととしますが、どうでしょうか。

前半(といっても初日の夕方までしかきていませんが)終了ということで。
頭を冷やして、後半をお送りいたします。