どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2013年3月22日金曜日

2002年07月22日 「131th the open」




第131回全英オープンゴルフがスコットランドのミュアフィールドでありました。

英国に来て以来、毎年見に行っている自分としては恒例行事となり、今回が3回目になります。

一昨年は2日間現地観戦し、1晩野宿。

昨年は4日間現地観戦し2晩車で寝て、1晩ホテル。

今年は少々作戦を変えて、現地へは1日だけとしました。

これは、入場料が結構高いこと、終日観戦すると随分と消耗すること、といった経済的にも肉体的にも負担が大きいことがあげられます。

そして朝から晩までひたすら忍耐強く良い場所を確保してトイレも我慢してストイックに観戦したところで所詮はTV中継が1番良い場所で見れるというのは、いかんともしがたい事実。

そこで今年は初日(木曜日)は夜TVにてダイジェスト観戦、2日目は休みをとって朝からBBCで完全中継されるTVを9時から19時半まで10時間半TV観戦、3日目は現地に足を運び観戦、最終日はTVで仕上げる、といったプラン。

現地へ足を運ぶというのは英国に折角いるのだから、その機会を活かさないテはない、という理由からですが、それだけのことはあって会場の雰囲気、そして何といっても世界のトップランカーたちが自分の目の前でプレーするというのはまさに夢のようです。

今年行って良かったと思ったのは「グレッグ・ノーマン」を生で見れたことでしょうか。

これまでの2大会では見なかったので、生を見て改めてスイングの早さにビックリでした。

帽子からはみ出た金髪といい、独特の雰囲気を持っていてカッコ良いっ! !さすがシャークとホレボレしておりました。

この雰囲気を持っているというのはスター選手にのみ備わっているものなのでしょう。

今回プレー・オフにもつれたアーニー・エルス以外の3人は、ここまで残る実力はあっても、その「雰囲気」という後光は全くさしていなかった気がします。

僕がミュアフィールドに見に行ったのは土曜日です。

植物園の温室の責任者ロブが一緒に行きたいというので、この日は深夜2時に彼の家に迎えに行き2:30にケンブリッジをでました。

ケンブリッジからミュアフィールドまで片道350マイル(約560キロ)、現地の駐車場に車を停めたのは出発からキッカリ6時間後の朝8時半でした。

この日は生憎の天気で、朝は小雨程度でしたが、徐々に天候は崩れていきました。

ロブと相談した結果、7番グリーン横の「やぐら」であれば7番のパット、8番のティーショット、はたまた双眼鏡で6番グリーン、11番のフェアウエーが見れるということで10時から席を確保してその場所で17時半まで7時間半粘ったのでした。

しかし、この日の天気は最悪で、コレが7月か?という位気温が下がり、雨が殴りつけるように横から降りつけ、強風が吹き荒れるといった具合です。

15時頃に、あまりの寒さでロブに「天気の回復の兆しも無いし、そろそろ退散しない?」とギブアップのサインを送ったのですが、「イヤ、オレは初めての経験で大変興奮していて、何としても最終組まで見届けたいのだ」と言うので、それに従わざるをえなくなりました。

寒かろう、天気はスコットランドだけにアテにならなかろう、と想定し、用意したシャツ、ラグビージャージ、フリース、そして上下のゴアテックスの雨具を着込み、更にフリースの手袋、帽子を使っても!!・・・・寒くて、寒くてツライ観戦となってしまいました。

いでたちは「ゴルフ観戦」というよりむしろ「スキーもしくはスノボ」といったところです。

吐く息は白く、なんとも季節感を欠いた状況に。

その日の荒天はやはり少々異常だったらしく、かのタイガー・ウッズもプロデビュー以来の自己最低スコア「81」を叩き、双眼鏡で覗いた丸山茂樹の手にはオレンジ色のホカロンが見えるほど。

17時半にやっとのことで最終組、エルスと丸山が通過していくと、ロブと二人して震えながら車に戻り、暖房全開でしばし放心状態でした。

手は寒さの為か、小指と薬指がしびれるというか感覚が麻痺していました。

しかし、スコットランド人はこういうのに慣れているのか、中には傘もささずびしょ濡れになりつつ、何事でもないようにジッと観戦しているツワモノモがいたり、ゴルフ好きの彼氏に誘われて来ちゃったの的な女のコの足元がサンダルだったり、短パンのお兄さんがいたり、同じ人間でこうも違うのは不思議、と感心するやら、呆れるやらでした。

18時にゴルフ場を後にし、途中近所の街で食事をして再び350マイルの道のりをひたすら南下し、ケンブリッジに戻ったのは深夜1過ぎでした。

まあ、植物園の連中からはスコットランド日帰り観戦について「クレイジー」「自殺行為」と言われていましたが、事故もなく無事に帰ってこれたのは何よりでした。

2013年3月13日水曜日

2002年06月24日 「夢のあと」



ワールド・カップ、すごい盛り上りですね。

開催国ともなると、それは格別だと思いますし、日本が決勝トーナメントに出たとなると、その過熱ぶりも想像に難くありません。

しかし・・・、今や日本も、イングランドも姿を消してしまいました。

こちらでは、それまでは「9月11日」以降のアメリカかっ?!という位、家の軒からはイングランド国旗が垂れ下がり、車にはミニ国旗が飾られ、それはスゴイ盛り上りでした。

ただ、日本との時差の関係で、TVの中継時間が朝7時半、昼12時半と何とも盛り上りにくい時間帯であったことは、イギリス人の不満であったようです。

この前の金曜日はブラジル×イングランドの試合がこちらの午前7時半からあり、勝手に3連休にしちゃったツワモノもかなりいたようで、午前中は試合でヒッソリ、午後は敗戦ニュースでヒッソリ、と普通じゃあなかったです。

イングランドの敗戦はGKのシーマン選手のミスと見なす意見が多く、新聞などでは「シーマンのヘアスタイル(ポニーテール)を嫌い、マゲを落とす人が絶えない」などと冗談のような記事も目にしたりします。
僕自身は冷静に傍観していたという感じでしょうか。

①そもそもサッカー・ファンではない
②ラグビーのワールドカップで悔しい思いをした
③TVがあろうことか先々週の金曜日に壊れた
というあたりが理由です。

それでも、ダイジェストなんかで日本の躍進振りを見たりするにつけ、多少の興奮は覚えましたが。

理由その②は解説が必要で、1999年にイギリスでラグビーのワールドカップがあり、僕は昼の「日本×西サモア」という試合をウエールズまで見にいってました。

その日の夕方に「ニュージーランド×どこか」の試合があり、これは見逃せないっ!!と力んだものの、当時僕はTVを持っておらず、観戦するとすれば最寄のパブでと思いつき、まさに車をぶっ飛ばしてウエールズからヨークに舞い戻りました。

大型スクリーンのあるパブに着くと、既に多くの人が集まりビール片手に相当盛り上っています。

よっしゃーと僕もビールを片手に中継時間を待ちました。
そして、中継時間にTVに移ったものは・・・・・

「サッカー」ですよ。

ラグビーは「ワールドカップ」ですよ。

そのサッカーは普通の通常のただの「サッカー」ですよ。

一気に力が抜けましたね。

しかし、店を変えると言ったってアテもなく、よしんばあったとて車で20分とかです。

諦めかけたそのときに皆が大型スクリーンに向かう、まったく逆の方向に小さなTVがついていて、そこに「ニュージーランド×なんとか」が映っているのを発見。

「おおっ」とその画面にかぶりつきましたが、その店内で僕一人だけが皆と逆の方向を向いて、音声すら流れないラグビーを見る、という辛酸をなめたのでした。


そもそもイングランドではサッカーが圧倒的な人気でラグビーはボチボチ。

サッカーは庶民向け、ラグビーは少々インテリ向けという暗黙の仕切りがあり、圧倒的に労働階級が多い訳ですから、どこでもサッカー、サッカーとなる訳です。

これがウエールズに行くと、インテリ×庶民、ブルーカラー×ホワイトカラーという仕切りではなく「ラグビーは信仰」となります。

ここが大きな違い!!

よって、ウエールズではサッカーなんか流してるパブはほぼ皆無で、ラグビーの試合さえあれば「ラグビー」となります。

何が言いたいかというと、ラグビーのワールドカップでそんな思いをしたので、「誰がサッカー如きのワールドカップ如きに熱如きをいれられようか如き」ということです。

まあ、屈折してるのは承知なんスけどね。でも、普段サッカーって言ってるわけでもないのにいきなり「サッカー・ファン」にはなれませんもの、やっぱり。

そもそも「オフサイド」を知らないんスから。
にわかファンを気取るのもはばかれる気がします。

理由③もこれはとんだハプニングです。

金曜日、夕食後ノンビリとTVを見ていたら「ブツッ」という変な音がした後、にわかに焦げ臭い香りがたち込めました。

それ以来、ウンともスンともで、今度修理屋に持って行かねばなりません。
当然金が掛かりますし、最悪の場合TVを諦めるか、新調するしかありません。(このケースが濃厚と読んでいますが)

ベッカム人気は日本でスゴイらしいですね。
確かにカッチョええです。
ベッカムブームが起きるあたり、いかにも日本、頷くことしきりです。

しかし、日本のサッカーを見ていて、首を傾げちゃったのは、どーして皆普通の髪じゃあないのか、ということ。

茶、金、赤・・・とまあカラフルで、何かヘンでしたね。

見慣れないせいか、かなり違和感がありました。

あと、周囲のイギリス人から必ず聞かれるのは、「何で日本人がイングランドのユニフォーム着て、イングランドの国旗を振って、顔にイングランドのペイントをしてまで、応援してるの?」ということです。

「ごもっとも」という感じで、これの逆はありえませんもの。

「お祭り気分なんじゃないの?楽しきゃイイのって国民性は確かにあるし」と答えていますが、どうなんでしょうか。

開催前はまだまだ先の話と思っていたワールド・カップ。もう終わりが近くなりました。

個人的な次なるビッグなスポーツイベントは、今年もやってきました「THE OPEN」で、今年は現地へは1日だけ。

ケンブリッジ⇔スコットランド日帰り強行作戦を練っています。

それでは、また。

2013年3月6日水曜日

カモ親子




御無沙汰しております。

いつの間にやら既に6月に突入しました。

今世間のもっぱらの話題は何と言っても「ワールド・カップ」でしょうか。

当地は日本との時差の関係でTV中継が午前中、もしくはお昼過ぎとなるためにパブでビールを飲みつつ仕事を気にせずに盛り上る、という環境ではないながらも、それなりの盛り上りを見せています。

今日はイングランドVSアルゼンチンの試合があり、報道によると5人に1人が仕事を休んでTV観戦したのだとか。

中継は昼12:30からで、僕は昼休みの間だけTVを見ました。

植物園でも半休をとる者が数人いて、それを見た責任者が特別に「一時間休」をとっても良いということになりました。

これは昼休みと、この一時間休をくっつけるとTV中継を全て見れるという計らいで、その一時間分はセクションのリーダーと打ち合わせた上でどこかで穴埋めれば良い、というもの。

ここぞ、という輩が続出し、午後は静かな植物園でした。

僕は昼休み中の前半にイングランドが得点した所を見て、仕事に戻りましたが、まあそんな程度で十分です。

夜にはハイライト、ダイジェストなどが目白押しなので、何も無理しなくてもと思ってしまいます。

夜7時頃のニュースで「では、現地の××レポーターを呼んでみましょう」といって元気そうにTVに移る日本に出張中のイギリス人レポーター。

しかし、こちらの夜7時は日本の午前3時ですよ。日中は取材、明け方まで本国へのTV中継に付き合って、さぞや大変だろうと同情してしまいます。

別の話題としては、恐らく日本にはあまり伝わらなかったかもしれませんが、先週末は女王陛下の即位50周年記念で世間は土~火までの4連休。

毎日、記念コンサート、イベントなどがあり、国内は大変な盛り上りでした。

特に月曜にあったバッキンガム宮殿での記念ポップコンサートでは、往年のイギリス・ポップスの大御所がゾクゾクと出てきて、特にエリック・クラプトンとクイーンのギタリスト、ブライアン・メイがギターを弾き、フィル・コリンズがドラムを叩き、ポール・マッカートニーがキーボードを弾きつつ歌うなんてのを見ると、もう言葉も出ない、シビレ具合です。

これらのイベントを見ていて思ったのは、英国王室は日本の皇室に比べ庶民に身近な印象を持ちました。

天皇即位記念コンサートがあったとして、皇居を使って、宇多田ヒカルや浜崎あゆみが歌うことはあまり現実的ではないですし。

さて、題名の「カモ親子」ですが、5月中旬頃にここそこに見かけるカモの出産(というか産卵→孵化)シーズンだったようで、あちこちで可愛らしいカモ親子を見かけるようになりました。

植物園内にも何組かの親子がいるのですが、その中の1組は人見知りもせずにエサを求めて園内を闊歩して、いわば園内のアイドルのような存在になりました。

しかし。

この親子、生まれた時は11羽の子カモがいたはずなのに11→8→6→4→3と徐々にその数が減っていき、現在はたった3羽の子カモとなってしまいました。

これが自然界のオキテというものなのでしょうか。カラス、キツネ、ネコなど天敵が多くその数が減っていくことは必然ながらも、今日も元気にエサを求めて行進する親子を見ながら、世の無常を感じずにはいられないのでした。

そんな訳で、ケンブリッジ生活も残り3ヶ月を切ってしまいました。

一抹の寂しさを禁じえない一方、やることが多くて地に足がつかない毎日です。

日本は梅雨間近で鬱陶しい天候でしょうか。

どうぞお元気で。

ではまた。