どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2014年11月19日水曜日

2004年05月04日 「プチ連休」



当地はゴールデンウィークというものはありませんが、本日月曜日はバンクホリデーといって3連休です。

先週は試験、レポートが集中し、かなり疲労したので「リフレッシュ」と「復習」に時間を割こうと「連休になすべきことアイティム」を紙に書き出したりしておりました。

まず復習は、普段大体こなしているものの、特定一科目だけ何となくやる気がおきずに放置してあり、試験直前になって慌てて「ウーム、こりゃキビシイー」と普段の行いを反省し、連休中に復習をしようと誓ったのでした。
(肝心のテストはもう先週済んでしまったのですけどね)

あとは
・例のリチャード・アッテンバラ氏の庭の手入れ
・友人担当の庭の手入れの手伝い
・我が家の芝刈り(大家の留守中頼まれている)
・学校の菜園
・庭探訪1
・庭探訪2
・友人の買物手伝い
・食料品など買出し
といったところが主なところで、あとは「リラックス」ということです。

しかし、神は試練をお与えくださいました。

天気が悪いのです。

いや悪かったと過去形で言うべきでしょう、もう月曜日の夜です
から。

「植木屋殺すにゃ刃物はいらぬ」などと申しますが、土曜と月曜が雨、または曇りの冴えない天気。

その代わり日曜日は「クソ」が付くくらいの好天。

結果的には、土曜日予定していた庭仕事はキャンセルし、友人が「デジカメ買うのに付き合ってくれ」というのに誘われ、半日以上彼女に付き合い、ついでに彼女の住んでいる学校の宿舎の洗濯機を借りて溜まっていた洗濯を済ませて帰ろうとした矢先、同じくその宿舎に住んでいるクラスメートから「今晩、カレー作るんだけど夕食食べていかない?」と誘われ、ホイホイとご馳走になり、そのままワインなど飲みながら夜な夜な話し込んだりして連休初日終了。

翌日は信じられないほどの快晴で学校の菜園に朝8時から午後3時過ぎまでおりました。

これは学校の実技科目のひとつで、植物園の一角に木製フェンスで囲まれた「一年生菜園」があり、そこで実際に野菜を育てて最終的に評価を受けるというもの。

育てる野菜は学校指定で決まっているものの、それだけではつまらないので、皆ちょっとだけ自分の好きな野菜やハーブを植えたりしています。

僕はお得意の「ニラ」「ネギ」「ダイコン」で、今からニラ尽くしの日々が楽しみです。

この「一年生菜園」はキューの名物となっており、かつ一般公開されている場所にあるので、来園者の中には毎年見るのを楽しみにしているという常連さんもいます。

その一般来園者との間は木製のフェンスで仕切ってあり、各々の畑には「顔写真、略歴、その他コメント」などが貼りだされます。

皆それを見ては「あなた日本からきたの」とか「そこに植えてあるのは何?」とか「うちでもタマネギ作ってるんだけどね、うまくいかなんだけど何でかしら」とかもうひっきりなしに色々聞かれます。

それはそれで有難いというか楽しいのですが、昨日の様に好天、連休となると来園者の数もハンパではなく、それに全部構っていると自分の仕事が全くはかどりません。

てなことで、あっという間に3時を過ぎ、「イカン、このままではせっかくの休みが・・・」と仕事を切り上げ、今度は2年生の友人の家の庭を見に。

これが庭探訪1です。

彼らはトムとグリンという2年生2人コンビでチズイックという隣町の豪邸に住み込んでいます。

家賃がなんと月1万円を切る安さ、しかも超がつく程の豪邸。

このからくりは、この邸宅の庭仕事をすることが条件になっているからです。

この庭は「ナショナル・ガーデンスキーム」といって年に一回一般に公開し、その入場料はチャリティーに寄付されるというもの。

彼ら二人はこの日の為に日々庭を手入れしているわけです。

そして先日がその一般公開日。

彼らの丹精こめて手入れした庭がどんなものなのか晴天のな
かサイクリングがてら見に行ってきました。

後で他にも見に来ていた2年生達とパブに繰り出し、「暗くなる前に帰らなくてはイカンのだ、きょうはっ!!」と使命感に駆られて帰宅したのは「芝刈り」の為。

現在、大家夫妻は一ヶ月以上フランスに行って不在なのですが、留守中の庭の芝刈りを頼まれているのです。

そして、彼らは火曜日に戻ってきます。

彼らが帰ってくるときには一応ピシッとしておこうと。

菜園仕事中聞いていたラジオで月曜はまた天気が悪いと知っていましたので、やるなら今日しかあるまい、という作戦です。

夕日を浴びながら芝刈りをこなし、大家がいる間にはちょっと遠慮しちゃう臭いのきついものを作ろうと、「タテバヤシ特製焼肉ライス」で連休2日目終了。

そして今日は目覚めた時にはまだ日が差していたものの、アッという間に厚い雲が覆ったかと思えば、シトシトとほぼ終日雨。

しかし、これにめげずに庭探訪2、を敢行。

これはなんてことはないのですが、キューガーデンは現在季節的にかなりいろんな花が咲き乱れて、ある意味見ごろなのです。

普段は授業で忙しく、ゆっくりは見れないので、時間があるときに腰を据えて見ようという作戦です。

雨はいただけませんが、写真を撮るにはあまり明るすぎるよりは逆に良かったりします。

そんな訳で雨の中を3時間以上フラフラしたでしょうか。

自宅に戻り、簡単に遅めの昼食を済ませ、ビールを飲みながら新聞などを読んでいるとウトウトしてきてちょっと横になったらなんと夜です。

連休最終日、終了目前。

まあ、それなりに平和で良い休みではありましたが、積み残しも多く達成感はさほど高くありません。

肝心の復習は・・・・、どうぞ武士の情けドントアスクミーでございます。

明日にはいよいよ大家が戻っていて「タテバヤシ天下」もあえなく終了です。

一抹の寂しさもありますが、そんなことは言ってられません。

やり残した庭仕事を放課後から日没までこなす忙しい一週間になりそうです。

添付写真は、雨に濡れながら歩いたキューの現在の一番の見所「ブルーベル」です。

これは5月上旬に咲く球根で、キューのブルーベルはそのおびただしい数で有名です。

写真では伝えにくいですが、青というか紫色の花が一面にカーペットのように広がる様は圧巻です。

では残りの休みを楽しくお過ごしください。

2014年11月6日木曜日

2004年04月29日 「庭仕事の愉しみ」



現在は申し上げているように、3ヶ月間の集中講義期間で朝から晩まで(ちょっと大袈裟で実際は9~5時)学校での授業、試験、レポートなどに追い立てられ、精神的に疲れています。

授業の中には「植物解剖学」なども含まれ、日によっては半日以上顕微鏡を覗き込み「これが××細胞で・・・」などとやっていて、眼精疲労もかなりのもの。

身体を動かす仕事からはこの期間離れるので、なまるというか、土が恋しくなる訳です。

そんな中、趣味と実益を兼ねて週末を中心にしているのが庭仕事のバイト。

現在、自分が専属で担当しているのが一軒、時折クラスメートの手伝いとして参加するのが一軒。

都合2軒を掛け持ちしています。

これは信じられないほど時給が良くて、ウハウハもののバイトで、本当に生活が助かっちゃう有り難いものです。

先週パブで3年生のアメリカ人、マーティンが「マサヤ、実はフランスに2週間遊びに行くんだけど、その間オレの担当している庭の面倒をみてくんない?」というので「お安い御用!」とばかりに引き受け、先日マーティンと二人で先方宛て挨拶と諸事項の説明を受けてきました。

場所はキューの隣町リッチモンドのなかの閑静な高級住宅街。

約100坪の庭の手入れについてマーティンが説明をしてくれました。

途中、ピンクのチェックのシャツを着た白髪の老人がニコニコ笑顔で近づいてきて、握手をして挨拶をしました。

彼の名は「リチャード」。

とても気さくでいいカンジのおじいさんですが、なんかどこかで見たことあるような、と思って後でマーティンに聞くと彼の名字は「アッテンバラ」すなわち「リチャード・アッテンバラ」。

映画「ガンジー」でアカデミー監督賞を受賞した映画監督であるばかりか、本人は俳優としてもジェラシック・パークの「恐竜園」のオーナー役などでも銀幕に名を馳せたおじいさんです。

そうかー、道理でスゲー家だもの。

と一人で大納得した次第。

でも全く気取ったところがなくて優しいおじいさんでファンになりました。(単純)



そんな訳で今度の週末からマーティンがいない間、新たな庭の手入れをすることとなりました。

時間は全く僕の自由で、例えば今度の土曜日はクラスメートの手伝いを9時から14時まですることになっており、その後その足で15時から19時頃まで(最近は日が伸びて20時過ぎまで十分明るい)頑張っちゃおうか。

その場合時給が××ポンドとして・・・・、ウキーっ!!目の前をお札が舞っていき、これでなんかウマイもんでも食おう、そして欲しかった夏用の水筒を買おう、あまった場合は・・・と皮算用だけは着々と進みます。

オット、本業の勉強も頑張ってますよ、それなりに。

日本はゴールデンウイークですね。どうぞいい休暇をお過ごしください。

ではまた。