どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2011年12月19日月曜日

2000年11月23日 「会議紛糾」



今日植物園で午前中のお茶の時間のあとに所属セクションの打ち合わせがあるとのことでメンバー6人が残りました。


議題は「新植物園構想について」。


なにやら大袈裟ですが、来る2007年を目処に新管理棟を建て、そこに総合的植物園の英知を結集するという構想があり、これをリーダー会議で話し合ってきてそれを我々下々のスタッフに知らせるのが主な内容でした。


はっきり申し上げて2007年には僕ら1年契約のトレーニーはこの植物園にいるはずもないのですが、それでも味噌っかす扱いせずにちゃんと輪に入れてくれるというのは有難いことです。


続いて議題は現在の当セクションの問題点に移りました。


そのセクションは「草本セクション」と「分類花壇セクション」に二分され、前者はドイツ人女性アン、後者はイギリス人男性ジョンがリーダーです。
そして我々下々のものがそのどちらで働くかは明確な色分けがされていないため、その日によってアンとジョンが話し合ってそれぞれの作業内容に応じて二人の間をいったりきたりしているというわけです。


アン、ジョンどちらが上ということもなく並列な関係であるため、意志伝達経路がバラバラでお互いに不具合があるようでした。


ときとして彼らをすっ飛ばして植物園の責任者じきじきに我々に指示が飛んできたりして話は更にややこしくなります。
アンもジョンもコミュニケーションがうまくとれないことと、仕事に追われている感があってストレスを感じているようでした。


話が盛り上がってきてついにアンとジョンがお互いの仕事の進め方に不満を言い始めて、一気に緊迫した雰囲気になってきました。
とはいってもお互い罵倒しあうというものではなく、言いたいことを主張するといった印象で、熱くなっているようで結構冷静だったりします。


ジョンが「その仕事はオレの給料の中には含まれていない。」「オレの担当の仕事ではないから興味がない。」とズバズバ言うのを横で聞いていてこっちがちょっとハラハラしてしまいました。


僕は腕組をして「ウム、ウム」「ウーム」などとお互いの顔を交互に見てはうなずいて日和見主義的な態度でしたが、
「日本人って黙って聞いているだけで何を考えているのだか。」
と思われるのもシャクだったので、
「お互いの仕事を週単位で書き出して、そのためには道具と人手がそれぞれどれだけ必要で所要時間はどれくらいだという見通しをチャンと立てて、それをお互い交換したらどうですかね。そしてそれを植物園の責任者にもあらかじめ渡しておいてよっぽどの急用でない限り彼からの突発的な仕事を極力排除するというのはどうですかね。」
と言うと妙に感心され、しばらくそれを試してみようということになったようでした。


彼らの間を行き来しているものとしては普段から「結構行き当たりばったりだなぁ」と思っていたので、当然といえば当然の提案ではありましたが。


日本式の打ち合わせしか経験がなかった自分としてはなかなか興味深いミーティングでした。

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