どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2011年9月10日土曜日

2000年09月30日 「近況デス」


いつの間にやら9月になってしまいました。

ケンブリッジでの新生活も1週間経ったところです。
今日の午後電話工事があって回線を開通させることになっており、このメールが晴れて新居からの記念すべき第一号メールになるかなと思っています。

腰痛がひどくなり、引越しの延期も検討しましたが大家と部屋の引渡し時間の約束やレンタカーの手配が済んでいたことなどスッカリ外堀が固まっていて変更は難しそうだったので痛み止めを飲んで引越しを敢行しました。

引越しといっても荷物は知れていて、小型車を借りてくれば簡単に全て収まるだろうとタカを括っていたのですが、結局後席を倒してギュウギュウに詰め込んでやっとどうにかという感じで、あわや乗り切らないのではとヒヤヒヤするほどこの一年間で荷物が増えていました。
思えばヨークに着いたときは洋服の入った段ボールがふたつ、大小ふたつのリュックサック、ラジカセ、ゴルフバッグのみだったのに。

決死の思いで腰の痛みをこらえつつ、寮の部屋のある3階からエッサエッサと荷物を降ろして全て車に詰め込んでヨークを後にしました。ケンブリッジの生活を終えたらまた一年後には帰ってくるとは分かっていても一抹の寂しさがありました。

ケンブリッジに向かう前にどうしてもヨークで最後にしておくべきこと、それはフィッシュアンドチップスを食べておくこと。

以前申し上げたように北と南では味が異なるため、是非この北の美味いフィッシュアンドチップスでヨーク生活を一旦締めくくろうという作戦でした。

ヨークからケンブリッジまではA1という国道をひたすら南下する約3時間の旅です。
ただ、腰の調子が優れず45分おきに車を止めてはストレッチをして時間が掛かったためケンブリッジに着いたのは18時を過ぎていました。

大家のジルというおばさんから鍵を貰ったのですが、このおばさんは異常なほどのおしゃべりで一旦話し出すと止まらなくなります。
こちらとしても確認したいことがあって「1」聞くと「19」くらい返ってきます。
そんな調子でしたので、彼女から解放されたのは21時をまわっていました。

それから荷物を部屋に搬入。
部屋は一階で通りに面しているため窓から荷物を運び入れることも可能で腰痛が心配だった僕としてはホッとしました。

そして休む間もなく買出しへ。

レンタカーを翌朝返すことになっていたので、これを最大限に活用しようという魂胆です。
郊外にTESCOという24時間営業のスーパーマーケットがあるので当面の食糧を買い込みました。

でも本当の目的は車のあるうちに嵩張って重たいビールを手に入れることでしたが、23時以降はアルコールを売らないらしく売り場にはロープがはってあり目的を果たさず引き返したのでした。

昔一軒家だったものを各部屋に鍵をつけて学生向けに貸しているといったタイプで、7人でのシェアになっています。
部屋は3.5×3.5メートルの四角い部屋でそこに本棚、ベッド、クローゼット、机、冷蔵庫、オーブンレンジ、洗面台がついています。

なにやら豪華な印象をもつかもしれませんが、とりあえずそれらがある、というだけですべて古くてオンボロで本格的苦学生の部屋といった印象です。
トイレ、シャワーはいずれも共同で1階にそれぞれ2個づつあります。

ベッドはあるのですが、布団、枕は自分で買うことになっており、用意していなかった僕はスエットシャツを重ね着して丸くなって寝たのでした。
寒かったこともあり、早起きしてビールを買い込み、布団、枕、テレビデオといったものを買いレンタカーを返してちょっと落ち着きました。

ヨークの寮の生活とは異なり、電話線も自室に引いてテレビ、ビデオと随分文明的な生活となりました。

テレビは当初その気はなかったのですが、電話回線を引く際にアパートが契約している新興電話会社のサービスとしてケーブルで100チャンネルを超える番組も廉価で見れるといわれてその気になってしまいました。

オリンピックも控えてますし。
好きな映画もアパートから5分の場所に大きなシネマコンプレックスがあってロケーションとしては素晴らしいのですが、料金がヨークのおよそ2倍の5.30ポンドもするため、ますますビデオ、ケーブルテレビにはまりそうです。

そして待望の自炊生活もスタート。
フライパン、鍋、まな板、包丁といった基本的な道具と調味料などを買い揃えて毎日自炊にいそしんでいます。
外食はヨークを離れたときのフィッシュアンドチップスが最後で以来一度もしていません。

スーパーで物色していると、牛肉が美味しそうだったので購入。
タマネギたっぷりをオリーブオイルで炒めてステーキ用の肉を投入し、更に赤ワインを入れた後水気がなくなるまで炒めて最後にハーブ、塩、コショウで味を整える・・・といった創作手探り料理もなかなかいけるものです。
その後牛肉の代わりにカモ肉でも試したのですが、自分で言うのもはばかれるほど美味でした。
料理って楽しいな、と新たな才能を発見した思いです。

普段のお昼も弁当を作って持っていきます。
この1週間はチェダーチーズをマヨネーズで和えて薄くスライスしたタマネギとハムを挟んだサンドイッチを作りましたがこれもなかなか。

アパートと植物園のほぼ中間に市営プールがあり、腰痛治療の意味も込めて通うようになりました。
料金は500円くらいですが、現在申請中の学割が使えるようになれば150円くらいになります。
日本のプールではやかましい諸規則もあまりないようで、水泳帽をかぶっている人も僅かですし、お化粧の厚い人、アクセサリーをたくさん着けている人、普通の眼鏡をかけて泳いでいる人などと様々な人種が見受けられ、お国が違うとこうも違うのかと興味深いものです。

相変わらず腰痛とたたかいながらもなんとか新生活がスタートしました。
テレビの導入など、なんとなく俗っぽい生活に近づいた感もありますが、ほどほどにやっていこうと思っています。

肝心の植物園についてはまた改めてお知らせします。
電話回線が自室にありますので、これまでと違って誰に気兼ねなく好きなときにメールの送受信が可能です。

では、また。


<これを書いたのが9月9日でした。本日晴れてこれを送信できるようになったのですが、日付は9月30日。電話工事の遅延が原因ですが、ほぼ一ヶ月メールが使えませんでした。>

0 件のコメント:

コメントを投稿