前回が迷惑メールともとれる長編となってしまいましたので、今回はやや短めに趣向をかえてお送りします。
スコットランドから戻って荷解きもせずに、その翌日から4日間ウエールズに行ってきました。
これは学校のガーデンデザインの先生が主催したクラスの有志対象のもので、食事、宿泊、移動すべて込みで25ポンドという有難いツアーでした。
安いだけあってホテルに宿泊とはいかず「エコ・コテッジ」とでも申しましょうか、風力、水力、太陽発電に電力は頼り、トイレは汲み取り、シャワーは薪をたいて汲み置きした水を暖め、生ゴミはリサイクルという宿泊施設。
そこに男3人女5人、年齢も20代から60代までバランスよくかつユニークなグループで滞在しました。
色々見てまわった庭のことよりも、共同生活でみたイギリス人の食べ物についての話をしようと思います。
皆で何を作るのか?何を食べるのか?当事者でありながら第三者的な関心をもっていました。
初日カレー、2日目ピザ、3日目マカロニといった具合で、街中でみかけるレストラン同様の献立でした。
このインド料理、イタリア料理は本当にポピュラーでもはやイギリスの国民食として定着したと思われます。
中華もポピュラーですが、いざ自分達で料理するとなるとハードルが高いのだと思います。
料理の陣頭指揮をとったのが年齢不詳のポールというお兄さん。
髪はドレッドヘアーで最後に髪を洗ったのはいつかしらん・・・と心配になるくらいキワドイ雰囲気の人。
料理の手際は驚くほど素晴らしく感心させられましたのですが、「ウーン手は洗ったのかな?」という手で力いっぱいピザ生地をこねていました。
カレー、ピザ、マカロニのいずれにも投入された食材があります。
それは「TOFU」です。
ポールがしきりになにかを炒めているので聞くと「ジャパニーズ・トーフ」とのことで、普段自分が見掛けないだけのことで、どうやらそこそこポピュラーな食材のようでした。
しかしそのトーフはプリンプリンして柔らかいものではなく、ガッシリしていてそれこそ角に頭をぶつけると怪我をしそうなかんじのトーフでした。
冷奴のようにナマで食べるという発想はあまりないようで、炒めて肉風の味付けをして肉風の味と食感を目的としているようでした。
英国にはベジタリアンが多く、こうした肉代替料理はけっこう見掛けます。
そぼろ状に変わり果てた豆腐をカレーに投入してグツグツ煮たり、ピザの上にピーマンなんかと並べて食べるわけです。
いざ準備が整いこれから食べようというときに、蓄電レベルの低下という理由で照明が消えてローソクの下で楽しく食べたのでした。
皆「ウマイ、ウマイ」と言って食べていますが、僕としては全然塩気が足りなくて塩をふりながら微調整しつつ美味しくいただきました。
翌日の昼ゴハンはカレーライスのライスが余ったので「サラダライスを作りマース」とポールが張り切って再び腕をふるって生まれて初めての味を経験しました。
そもそもゴハンが日本とは違ってパサパサしているので生まれた発想だと思いますが、冷飯にレタス、ピーマン、トマトなどの生野菜を加えてオリーブオイルで和えて、さらにオレンジやリンゴといったフルーツが加わりオシャレにオリーブがのっかっています。
皆「ウマイ、ウマイ。ポール最高!」みたいなことを言っていますが、僕はマズイとは思いませんでしたけど決してウマイとは思えませんでした。
食事が終わり、せめて後片付けくらいは貢献せねばと食器洗いをしました。
おばさんも一緒だったのですが、以前から薄々気付いていたことですが、やはりこの国の大多数の人たちは食器を洗剤で洗うとそのまますすがずにタオルでふいてサッサカ片付けてしまいます。
「すすがないの?」と聞いても大丈夫大丈夫とニコニコしながらどんどん食器を棚にしまっていきます。
その横で先生が「コーヒー飲みたいんだけどこのカップはいいかな?」と泡のついたマグカップにインスタントコーヒーの粉を入れています。
食器洗いに限らずお風呂でも泡だらけのバスタブにつかった後は身体もすすがずに泡の身体をバスタオルで拭いてオシマイというのが西洋的入浴法だと聞いたことがあります。
どうやら「石鹸は食える」というのが文化のやうでございます。
甘いものも皆好きですね。
あんなに今食べたでしょってのに食後に紅茶とクッキーなんか食べています。
海岸に繰り出した天気の良い日の午後のこと。
パンにチェダーチーズを挟んだだけのサンドイッチとポテトチップというお弁当を食べたあと恒例のお菓子タイムになりました。
すると先生が「ジャミー・ドッジャーズ大会をしませんか、皆サン!」と力強く提案しました。
なんじゃそりゃ?
ジャミー・ドッジャーズというのは油っぽいクッキーに真っ赤なゼリー状のジャムが挟んであるイギリスの典型的庶民派クッキーです。
これをいっせーのせで食べ始めて誰が一番最後まで一枚のジャミー・ドッジャーズを食べ続けられるかという、まこともって他愛のないお遊びです。
参加者はクッキーを持って「始めっ!!」という掛け声でいっせいに少しづつクッキーを食べていきます。
ジャッジ役の先生も結構真剣で時計を見ながら「12分経過っ!!」とエラく気合が入っています。
食べ続けるのがルールなのでひたすら細かくリスのように口を動かしています。次々と選手が脱落するなか、ポールと20代の女の子の一騎打ちになり、結果女の子に軍配があがりましたが、ナント27分20秒も真剣にそんなことをしていました。
日本でも気の合う仲間達で泊りがけで出かけてゴハンを作ったり、酒を飲みながら延々と話をしたりしたことがありましたが、今回の旅はまさにそんなかんじであったかなと思います。
家族的で気持ちよく過ごせた4日間でした。
旅行記もこれでしばし打ち止めで、これからはイースター休暇でヒッソリとした寮にて禁欲的に勉学にいそしみます。
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