7年間にわたる英国園芸留学がどのようなものだったのか。ブログもなかったあの頃。親しい友人あてに送っていたメールには生々しい当時の様子が記してありました。100%ノンフィクションのちょっと笑えて、ちょっと泣けるスバラシキ英国園芸ノススメ。 通常のブログとは異なり、当時の日付に基づいてありのまま公開しています。 リアルな英国園芸・英国生活の姿が浮き彫りになっている貴重な記録を今アナタにも。
どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか
ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。
7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。
当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。
「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。
7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。
当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。
「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。
2011年5月22日日曜日
2000年03月06日 「物騒な国?」
現在3月6日、日曜日の午前10時です。
週末の寮の食堂は「ブランチ」と称して10時から12時までの変則営業で、これから待ちに待った食事の時間です。
なにやら食堂方面が賑やかなので何かとおもったら警察がきています。
聞くと、昨晩午前2時ころに何者かがガラスを割って学校に侵入し、食券売りの自動販売機を破壊して金を奪っていったらしいです。販売機にはせいぜい40ポンド(約7000円)しか入っていなかったと思われ、なかなか大胆というか切羽詰っていたのでしょう。
昨日もラグビー仲間のジョージが浮かぬ顔をして歩いていたので声を掛けると、寮の駐車場にとめておいた車の窓ガラスが割られてカーステレオを盗られたとのこと。
この駐車場は以前にも車3台が盗まれたことがあって、あまり治安のよろしくない場所なのです。
以前車の購入を前向きに検討したことがありましたが、この盗難のリスクを聞いたり見たりして知っていましたので二の足を踏んだことがあります。
今乗っている自転車もクラスの友達から譲ってもらった「年季」と「サビ」の入ったオンボロ自転車で、誰も好きこのんでこんなものを盗るヤツはいないという点で安心できる一台です。
ピカピカの新車であればいつもヒヤヒヤしていなくてはなりません。
街中では自分の自転車の前輪だけ手に持って歩いている人をよく見かけます。
どこかに駐輪して鍵をかけて前輪だけは持って歩くという面倒臭さ。
でもそうしないと前輪はアッという間に盗られてしまうのでしょう。
僕の通う学校の周りには畑ばかりでほとんど何もなく、通りがかりの犯行ということは考えられず、何者かが狙ってわざわざどこからか来ているということだと思われます。
ヨークという平和な田舎町ではあるものの、日本とは違う心構えが必要です。
街を歩いていてヒヤッとしたことは今のところありませんが、これからは少し気をつけないとイカンと胆に命じた次第です。
では、これからイザ朝食へ・・・。
そして、朝食を終えて部屋に戻りました。
そんなに物騒でよろしくない国なのかというと、ついこの前ありました、良いことが。
この学校がある村には郵便局というものがないため、隣村まで自転車で行かねばなりません。
大した距離ではないのですが、ダラダラ坂があって結構しんどいのです。
ある日郵便局の窓口で郵便物を差し出して料金を払おうとして自分の財布の中にほとんどお金が入っていないことに気付きました。
お金を取りに寮に戻るとなるとダラダラ坂を登り寒風吹きすさぶ中自転車をこがねばなりません。
財布の中にはキャッシュカードがありましたが、最寄のATMは更にふたつ隣りの村まで行かねばなりません。
「ウーム、参ったなこりゃ」と悩んでいると、郵便局員と僕の会話を聞いていたオジサンが「そのATMのある村まで車で行ってまたここに戻ってくるんだけど一緒に来るかい?」と声を掛けてくれました。
まさに地獄に仏。
ホイホイと助手席に乗せてもらいATMで金をおろして郵便局に再び舞い戻りました。
車中ではラグビーの話で盛り上がり意気投合しました。
名前を尋ねると、「オイラかい?オイラは薄毛のクリスさ。」と頭頂部をキラリと光らせてその場を去っていったのでした。
ありがたや、ありがたや。
人の温かさにふれた、そんなハートウォーミングなエピソードでした。
でも、車の中でボコボコに殴られ半殺しにされ、脅されて有り金すべてATMで出金させられて挙句に殺される、なんてホラーな事態もありえたわけでちょっと紙一重だったかなとも思いますが・・・。
2011年5月12日木曜日
2000年02月14日 「試験終了」
こんにちは。
今は土曜日17:00です。
試験は先週無事に終りました。
しかしながらいまだにレポートに追われて今週末も羽を伸ばせず寮にとどまっています。
試験は「土壌学」「土壌生物学」「病害虫」「エンジニアリング」の4科目で、大したことないといえばそうなのですが初めての本格的な試験でしたので緊張しました。
当然ながら設問、解答全て英語なのでまず設問を正確に理解するための準備、そして頭のなかで理解したことを英語で表現する準備を通常の試験勉強に加えねばならず、丸々2週間試験勉強に費やした感じがします。
この調子ですと卒業前の7科目ある試験が思いやられます。
ありきたりの感想ではありますが、改めて日々の理解の積み重ねの重要性を痛感しました。
試験日が近づくと夜中に目が覚めたりするほど緊張し、こんなことは近年なかったことです。
覚えねばならぬことを寝る前にムニャムニャと唱えて眠ると翌朝には記憶できているという新たな才能も発見しました。
結果はまだ分かりませんが、ともあれ終ってホッとしています。
日が延びてきたという話は以前しましたが最近の延び方たるや目覚ましいものがあります。
17:00過ぎでもホンノリと明るく、僅か1か月半で約90分近く日が延びた感じです。
心なしか朝霜が降りているという日も少なくなってきていると思われます。
かたやスノードロップといった球根類もあちこちで芽吹き花を咲かせています。
間違いなく春に向け前進しています。
試験、レポートから早く解放されて本格的にあちこちの庭めぐりをしたいものだと思っています。
日本の寒さも厳しいことでしょう。
どうぞお身体をお大事に。
2011年5月10日火曜日
2000年01月18日 「あけましておめでとうございます」
改めまして、あけましておめでとうございます。
心配された2000年問題も予想通り、ふたを開けてみれば大した問題もおきず普段通りの正月でした。
お正月はいかがお過ごしでしたでしょうか。
僕は昨年の1月末に会社を辞めたのですが、それから一年が経ったのかと思うと早いような、遅いような。
でもたった一年で自分の人生様変わりです。
こちらの生活にもずいぶん慣れてきました。
とはいってはたった4ヶ月ですので大したことはありませんが。
冬至以降徐々に日が延びてきました。
春に向けて少しずつですが前進しています。
春は花の季節。
現在の荒涼とした寂しいさまがいかに変化していくのかとても楽しみです。
今月は授業の一環として自分に与えられた畑に花と野菜の種をまきます。
これらを育てる過程を授業の教材として扱い、定期的に点数をつけられて7月上旬の時点で最終評価を受けるというものです。
デザイン、何をどう植えるかも採点項目のうちなので随分悩みましたが極力シンプルにしました。
種をまいて収穫まですべて手掛けるのは初めてのことで、とても楽しみです。
来月上旬には中間試験のようなものもあり、またまた忙しくなりそうです。
今年も実り多き一年にしたいと思います。
2011年5月7日土曜日
1999年12月29日 「御挨拶」
1999年もあと僅かになりました。
本年は退職、留学と自分にとって激動の一年でしたが皆様に支えられ元気に楽しくやってくることができました。
現在はヨークという英国の田舎町で勉強の日々を送っています。
来年はいよいよ2000年。どうぞ元気で実りの多い年になりますよう。
2000年問題などもあり年始にタイミングよく御挨拶できるか疑問ですのでかなり気が早いのですが御挨拶をさせていただきます。
2000年もどうぞよろしくお願いします。
2011年5月6日金曜日
1999年12月11日 「寿司を食べた話」
最近こちらの男性と結婚してヨークに住んでいるという同じ年くらいの日本人女性と知り合いました。
現地情報にも明るく旦那も良い人で、この前は食事に招待されました。
内心日本食を期待していたのですが、伝統的英国料理をおいしく御馳走になりました。
彼女の情報によると「TESCO の寿司はまあまあイケるよ」ということでした。
このTESCO というのは英国を代表する大型スーパーマーケットです。
ヨークでは車でくる人をターゲットにしているせいか結構不便なところにあります。
この前、クラスメートから中古自転車を貰ったので、自転車を飛ばしてTESCOに向かいました。
まずは試しに、なんて言いながら期待で胸は一杯でした。
寿司が売っていそうなコーナーに走ると、ありました、寿司!
パッケージを見るとちゃんとSushiとあり下手な日本語の字で寿司とも書いてあります。
「オオーッ、オオーーッ!!」
大興奮でその寿司を手にとり5.99ポンド(約1080円)レジに急ぎました。
向かい風もなんのその自転車をエッサエッサとこいで、途中酒屋に寄ってビールを買って寮へと。
もう廊下ではスキップです。
改めて机の上にうやうやしく置いて記念写真を一枚。
赤身の赤がイヤに毒々しいけど、これもマグロっぽくっていいじゃないか、と感激に浸りつつパックを開けました。
「・・・・・・。箸がない。」
「まあいい、そんなこたぁ、スシが食べられれば。」
「・・・・・・。醤油がない。」
「まあいい、そんなこたぁ。まずはこの真っ赤なマグロから。」
パクっと一気に頬張ると
「・・・・・・。マグロじゃない・・・。」
なんとこの赤いものの正体はマグロではなく赤ピーマンをスモーク炒めしたものだったのです。
実際食べてみるとそれは寿司ではありませんでした。
タマゴは一応タマゴですが味付けが微妙だし、とても薄くスライスしてあります。
サーモンはスモークサーモンで半乾き状態。
強いて言えばエビがまあまあイケました。
しかし肝心のゴハンがまずくて、パサパサのゴワゴワ。
食べすすむうちに無性に悲しくなってきました。
遠路はるばる自転車をこいで大枚を叩いた結果がこれか、と。
かえって味覚上の望郷感を呼び覚ましてしまったようでなんともやり切れませんでした。
6ポンドもあればパブで相当贅沢できたのにと後悔しきりです。
しかし、こうやって文化は歪曲されて伝わっていくのですね。
どこをどうしたらゴハンに赤ピーマンをのせて寿司として売ろうというアイディアがでてくるのでしょう?
責任者でてこいっ!!
現地情報にも明るく旦那も良い人で、この前は食事に招待されました。
内心日本食を期待していたのですが、伝統的英国料理をおいしく御馳走になりました。
彼女の情報によると「TESCO の寿司はまあまあイケるよ」ということでした。
このTESCO というのは英国を代表する大型スーパーマーケットです。
ヨークでは車でくる人をターゲットにしているせいか結構不便なところにあります。
この前、クラスメートから中古自転車を貰ったので、自転車を飛ばしてTESCOに向かいました。
まずは試しに、なんて言いながら期待で胸は一杯でした。
寿司が売っていそうなコーナーに走ると、ありました、寿司!
パッケージを見るとちゃんとSushiとあり下手な日本語の字で寿司とも書いてあります。
「オオーッ、オオーーッ!!」
大興奮でその寿司を手にとり5.99ポンド(約1080円)レジに急ぎました。
向かい風もなんのその自転車をエッサエッサとこいで、途中酒屋に寄ってビールを買って寮へと。
もう廊下ではスキップです。
改めて机の上にうやうやしく置いて記念写真を一枚。
赤身の赤がイヤに毒々しいけど、これもマグロっぽくっていいじゃないか、と感激に浸りつつパックを開けました。
「・・・・・・。箸がない。」
「まあいい、そんなこたぁ、スシが食べられれば。」
「・・・・・・。醤油がない。」
「まあいい、そんなこたぁ。まずはこの真っ赤なマグロから。」
パクっと一気に頬張ると
「・・・・・・。マグロじゃない・・・。」
なんとこの赤いものの正体はマグロではなく赤ピーマンをスモーク炒めしたものだったのです。
実際食べてみるとそれは寿司ではありませんでした。
タマゴは一応タマゴですが味付けが微妙だし、とても薄くスライスしてあります。
サーモンはスモークサーモンで半乾き状態。
強いて言えばエビがまあまあイケました。
しかし肝心のゴハンがまずくて、パサパサのゴワゴワ。
食べすすむうちに無性に悲しくなってきました。
遠路はるばる自転車をこいで大枚を叩いた結果がこれか、と。
かえって味覚上の望郷感を呼び覚ましてしまったようでなんともやり切れませんでした。
6ポンドもあればパブで相当贅沢できたのにと後悔しきりです。
しかし、こうやって文化は歪曲されて伝わっていくのですね。
どこをどうしたらゴハンに赤ピーマンをのせて寿司として売ろうというアイディアがでてくるのでしょう?
責任者でてこいっ!!
2011年5月2日月曜日
1999年12月6日 「年末騒動」
こんにちは。御無沙汰していますがお元気ですか?
暮れで随分お忙しいのではと思います。
ちょっと御無沙汰しておりましたのは、我がパソコンがウイルス感染してしまいすったもんだしていたからです。
ある日友人からきたメールを開けてみると文章はなく添付ファイルだけでした。
彼はよく添付ファイルを送ってくるので、さして疑いもせずうかつにもそれを開けてしまいました。
すると花火の画像がパパーンと出てきただけで何もなく大して気にも留めませんでした。
しかし問題はこのあとで、この花火画像がメールを介して各方面に拡散していったのです。
他の友人から「キレイな花火ありがとうございました」というメールがきたりして、オカシイなと思っていたところ、別の友人から「君のパソコンはウイルス感染しているよ」との知らせがあり大パニックとなりました。
それは「happy 99」というシロモノで、学校のパソコン指導をしている先生に相談したところ、彼は落ち着き払ってインターネットで happy 99 を検索して駆除法をプリントして「ホレっ」とくれました。
しかし当然ながら全て英語で書いてあり「DOSモードにして・・・」「失敗しないよう注意して・・・」などとフクザツなことが書いてあるのを見てビビッてしまいました。
このパソコンは自分の生命線ですので失敗は命取り。
その先生を拝み倒して駆除をしてもらいました。
「ウイルス?そんなのはオレには無関係サ」なんて他人事だと思っていたのに大騒ぎでした。
そんな騒ぎをよそに本格的な冬の到来です。
昨日、一昨日とたてつづけに小雪が舞って骨身にしみる寒さです。
こちらの暖房はセントラルヒーティングといってどこかで大量にお湯を沸かして、それが各部屋をパイプでめぐってラジエーターが部屋を暖める仕組みです。
グオーッとは暖かくなりませんが、ポワーンとほんのり暖かいという感じでしょうか。
そしていまだに築100年以上の家が平気で建っていますので暖炉も暖房の代表的手段です。
週末は寮の食堂が休みのためパブに行くのですが、そこではパチパチ、メラメラと暖炉が音を立てていました。
これがかなり熱くて思わずTシャツ一枚になったほど。
パブからの帰り道、学校にある牛小屋の横を通ったらこの前生まれたばかりの子牛たちがワラにうずもれて寝ていました。
かなり寒そうでした。
学校は12月18日まで。そして約3週間のクリスマス休暇に突入です。
ヨークの街は普段は静かでピースフルなのですが、最近はクリスマスの買出しなのでしょう、「おおっ東京チック!!」というくらいに人が繰り出しています。
節約のためスーパーでよく買物をしますが、そこでも「そんなに買ってどうするの?どこにしまうの?」というくらい買い込んでいます。
かなり大きな手押しの買物カートに溢れんばかりの山盛りで「何人家族かな」「冷蔵庫はいくつあるのかな」「何日分なのかな」などとレジで前にならんだオバサンのカートを見ながら想像しました。
学校もあと2週間のため、宿題、レポート、試験とてんこ盛りで随分忙しくなってきました。とりあえず残り2週間、歯を食いしばってガンバリます。
2011年5月1日日曜日
1999年11月12日 「たわいもない話」
今日は土壌学の授業があり、みんな白衣を着てちょいとした研究生といういでたちでした。
4人ずつのグループに別れて土の分析を真面目な顔をしていました。
そこで一人のジャマイカ移民の生徒が自分の手についた泥をチョイと隣のお兄さんの白衣になすりつけました。
彼ら同士は普段は仲が良く彼としては軽い冗談のつもりだったのでしょう。
泥をつけられたお兄さんは革ジャンに鼻ピアス、でも何故か毛糸の正ちゃん帽という見かけのわりに気のいいお兄ちゃんなんですけど、今回は怒りましたね。
「フザケンナ、洗ッテ返セ」
「ナンダヨ、軽イ冗談ジャナイカ」
「オマエノフザケタ態度ハ許セン」
「度量ガ小セエンダヨー、テメエハ」
といったやり取りがあって相当緊迫しました。
国は違っても、年は違っても揉め事ってのは似てるんですね。
この鼻ピアスのお兄ちゃんは外見によらず人あたりが良いのですが、かなり金銭的に切羽詰っているようでした。
僕も他人のことをとやかく言えた身分ではありませんが。
この前は風邪をひいたといってトイレからガメてきたと思われるトイレットペーパーで鼻をかみまくっていました。
僕はちょうど隣の席で間近に目撃したのですが鼻ピアスが鼻水まみれになっていました。
鼻水まみれの鼻ピアスとクールを装うお兄ちゃん。
ちょっと笑えました。
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