どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2012年3月31日土曜日

2001年04月13日 「シロ」


シロといっても犬の名前ではありません。

実はこのまえ口元に小さなイボがポツッとできたので近所のかかりつけの医者に取ってもらいました。

この国はとても社会福祉が充実している国で、私もこの国で少ないながらも社会保険料を納めているものとして基礎的な医療を無料でうけることができるのです。

無料、ただ、フリー・・・、なんと響きの良い言葉でしょうか。

これまでラグビーで耳がチョン切れて破傷風の注射をうったときも、腰痛で動けなくなり往診してもらったときもすべてタダでした。

これはスゴイことだと思います。

さすがタバコ一箱800円するだけのことはあります(べつにタバコ税が社会保険に回っているとは思いませんが)。

病院に行っていつも困惑するのが言葉です。

「破傷風」「イボ」などその単語で説明しないと伝わらないものが医学専門用語としてヤマのようにあります。
こうなると自分の持ち合わせの語彙を超えていて辞書に頼らざるを得ません。
事故などで緊急に病院に担ぎ込まれたりしたらば当然辞書などはないわけで本当に困ります。

今回イボの件では普段つかっている植物英単語が役にたちました。

イボを取るのに液体窒素で患部を処置するのですが、この液体窒素を辞書を見ずに会話に盛り込むことに成功しました。

液体は御存知のように「liquid」で、窒素は植物3大栄養素のうちのひとつなので「nitrogen」とすぐに出てきます。
これを組み合わせて「liquid nitrogen」。
これを医者との問診時にちりばめてみますと、流れるように会話が成立するではありませんか。

なせばなる。

医者と会話が弾んだのとタダなのをいいことに「血液検査もお願いできませんでしょうか?」とおねだりしてみました。

実は昔インドに住んでいたときに肝炎を患ったことがあり、その後は完治したものの最近の酒の飲み過ぎが少々気になっていてできれば健康であるお墨付きをいただきたいという目論見です。

会社を辞めた後は定期的に血液検査を受ける機会を失っていたのでチャンスをうかがっていたのです。

医者は頷いて血液検査の手配を看護婦に指示しました。

さすがにこういった類の検査は金が掛かるのだろうと思い、恐る恐る聞いてみると「タダです」という心強い返事が。

この際英国滞在中にからだの悪いところを全部治してもらっちゃおうかなと思いますね。
でも残念ながらこれといって特に悪いところが思いつかないあたりはシアワセ者と申せましょう。

そして先日血液検査の結果を聞きにドクター・グリフィスを訪ねると、「ネガティブ(シロ)」と告げられホッとして帰ってきました。
さぁ、これで安心してまたビールを飲めるというものです。

この医者と会話をしていて気付いたことがあります。

「キミは何をしているんだい?」と聞かれ「ケンブリッジ大学の植物園でガーデナーをしています。」と答えると先方の態度が明らかに好意的に変わったことです。

その医者もケンブリッジ大学の関係者ということもありましたが、どうやらガーデナーというのはチョット良い職業のようです。

これまでも別の場面で「そうなのかも?」と思えることが何度かあったのですが。
これは「けっ、ガーデナーかよ。」と見下されるよりは遥かにグッドニュースです。

肩書きと中味が釣り合うように尊敬されるガーデナーを目指してさらに精進せねばと誓った一件でした。



2012年3月19日月曜日

2001年04月11日 「スコットランド追分」


昨年ヨークの学校でクラスメートだったロブから「イースターで休暇をとったのでスコットランドに遊びにこないか」と連絡があり、月、火と休みをとり先週の土曜日から3泊4日で出掛けてきました。

彼は現在エジンバラ大学のランドスケープセクションでトレーニーとして働いています。


彼はイングランド出身でまだスコットランド北部のハイランド地方には行ったことがないとのことで、まずは二人でネッシーで有名なネス湖最寄の街であるインヴァネスに向かいました。


エジンバラでロブと合流して更にローカル線で3時間ゆられて北上してインヴァネスに着いたころにはもうヘトヘトでした。
というのも我がケンブリッジからの距離はザッと830キロと果てしなく遠く、トータルで8時間以上もの長旅だったからです。
彼とは約半年振りの再会で車中でビールを飲みながら近況報告をしあって話が弾みました。

今回はインヴァネスというハイランド屈指の街を足がかりに近辺を散策し、あとは楽しく酒でも飲んでウマイものでも食べようじゃぁないかというもので、ノンビリしたものです。

まずはウマイものですが、初日の夜は僕がラム肉、ロブが鹿肉、2日目の昼はスコットランド名物ハギス、夜はスコティッシュサーモンのステーキ、3日目の昼がチーズバーガー、夜がパスタといったちょっと贅沢、高カロリーなラインアップです。

スコットランドはハギスとサーモンが有名ですので、それらを制したあとは少しづつトーンダウンしていっていますね。

ハギスとは羊の内臓の詰め物で、好みが分かれる食べ物です。
僕は今回はじめて正式な正統派ハギスを食べましたがなかなかどうしてイケる美味しさでした。
食感もプチプチしていて全く問題ない味です。

嫌いな人は味がどうのというよりも、それが何で出来ていて、どういう手順で作られるのかという辺りに抵抗があるのだとのこと。

B&Bという一泊朝食付きの英国の典型的な庶民の味方的な宿に泊まりましたが、これがいずれも「清潔」「暖かい」「安い」「美味しい」と大ヒットで文句なしでした。

朝食がとても美味しくて素晴らしいのですが、そのボリュームたるや尋常ではありません。

ジュース、フルーツ、シリアル、紅茶を前菜のようにこなした頃にメインの目玉焼き2個、ベーコン2枚、ソーセージ2本、ワッフル、マッシュルーム、トマト・・・と溢れんばかりに盛られた大皿が登場し、これらをトーストとともに食べていきます。
最後にトーストにマーマレードを塗りたくって紅茶を流し込んでシメです。

素晴らしい。


3日目に泊まった宿の朝食にブラックプディングという英国式朝食の典型的な食材といわれ、かねがね一度は食べてみたいと思っていたものが食卓に上がりました。

これはブタの脂と血をませて作るソーセージのようなもので、ブラックというだけあって色は黒くて見た目的にはオレオビスケットのようです。

スパイスが効いていてパサパサした食感でしたが別に驚くほどウマイわけでもなく、かといって泣きたくなるほどマズイわけでもない、フツーの味でした。
それよりも一度は食べてみたいという夢が叶ったことのほうに興奮を覚えました。

今回二人で旅行して発見したのは「ふたりで泊まると宿はお安い」という黄金律です。

これまではシングルルームで25~35ポンドあたりの攻防で大いに葛藤していたのに、今回はもっとマシなお部屋でツインなので一人あたり15~20ポンドというお値段。
しかもシングルよりもズッと見つけやすい。

ケンブリッジの自分の部屋で普段寒い思いをしていましたので、まずは部屋の暖かさがなんとも嬉しかったです。

シャワーもキレイ、トイレだってキレイ。
これが当たり前の暮らしなのかもしれないと思いつつも、ささやかなシアワセを噛締めつつフカフカのベッドでグッスリと眠ったのでした。

グッスリ眠ったのはなにも居心地が良かったからだけではありません。
そう、飲み過ぎたので倒れるように寝た、とも言えます。
ロブはビール好きの酒豪で、僕のビール好きとは次元が違います。

再会を果たしたエジンバラの駅構内のパブで2パイント。
夕食の前に、中に、後に・・・。
さすがに朝は飲みませんが昼飯の前に、中に、後に・・・、とこちらが呆気にとられるくらいよく飲みます。

これらの風習で「ラウンド」という割り勘方式があります。
これは一人が皆の分を買って、次の人が次の一杯を買って・・・と繰り返していくもの。

今回はロブと二人ですので、カウンターで「何がいい?」とロブがまず先制します。

そのグラスが空くか空かないかのタイミングで今度は僕が「何がいい?」と聞いて次のビールを買います。
そしてそれが空くころには・・・、とまぁとめどない「ふたり割り勘地獄」です。

途中でかなりキツくなってきているのに、「何がいい?」と聞かれると無意識に希望のビールの銘柄が口からでてくるというのは不思議なものです。


インヴァネスは相当北に位置するため日が長くて日没は20:20頃でしょうか。
夕食を終えてまだ明るいのでまだ宵の口と勘違いしツイツイ飲み過ぎてしまい、気が付いてみれば日が沈んだばかりなのに22時、足元はフラフラ、お腹はパンパンという4日間でした。

最悪だったのが月曜日の夜で、インヴァネスの街を歩いていたらロブが一軒のパブを指差して「ホンの軽く一杯やらないか?ここの看板にあるSDというビールはスゴク美味しいらしいよ。絶対オマエも気に入るよ。」と言われて時計を見るもまだ時刻は15:30。

「まだちょっと早いんじゃぁない?」と尻込みすると「ダイジョーブ。一杯だけ!」と半ば強引に連れ込まれてそのSDとやらを頂きました。

その後はイヤな予感が的中し、次の一杯、その次の一杯・・・と果てしなく続き、気がついてみればそのパブに4時間以上いました。
しかもビールだけで。

3日目の夕食がパスタとやや控えめであった理由はここにあって、ビールでお腹がパンパンになってしまい食事への興味が薄れたからでした。

このパスタを食べたときにも一騒動ありました。

これまでさんざん飲んで出来上がっていたので軽くパスタを食べるだけかと思いきや、着席とともにロブはビール2人分をまず注文しました。
とにかくかなり酔っていた、と。

ふたりしてカルボナーラを頼んで食べはじめたらばロブがおもむろにウエイターを呼びつけ「このカルボナーラにはベーコン一切れだけで何も具が入っていないじゃぁないか。こんなもん出すな。すぐ取り替えろ。」と大抗議です。


ウェイターはしどろもどろに「あの、コックが二人分一緒に作って具を取り分けたときにお連れ様のほうにほとんど入ってしまったのではないかと・・・」と説明するのですが、「そんなこと知るか。いいから取り替えろ。」とロブが一喝しました。
ほどなく具が異常にたっぷりのカルボナーラが運ばれてきました。

その新しい皿が運ばれてくるまでの間にロブが僕に向かって「それじゃ足りないんじゃない?これ半分あげるよ。」とテーブルに残された具のないカルボナーラを半分ドカッと僕の皿にのせて、残った半分をロブはアッという間に平らげてしまいました。

話はこれで終りません。

「あのサ、この店は何となく気に入らないね。マネージャーに勘定をまけもらうように交渉するよ。」と言うので、それはいくらなんでも強引すぎるんじゃないの、と思って黙って成り行きを見守ることにしました。

かなり大柄な女性店員をつかまえて「ちょっとマネージャーと話がしたいんだけどな。」というとなんとその女性が「ワタシがマネージャーですが。」と言います。

「実はかくかくしかじかでね・・・、パスタ2人分は払うけど、このビール2杯はまけてくれないか。」と横で聞いているこちらが赤面するほど無謀で強引な交渉をロブはやらかしましたが、そのマネージャーは「ハイ、分かりました。すみませんでした。」と明細書の「ビール×2」の部分を自分のボールペンでゴニョゴニョと消してしまいました。

二人でそのパスタ屋を出て大笑いです。
本当にこんなことが通るのかなぁと申し訳ない気分でした。

浮いたお金で飲みなおそうとの彼の提案で、「えっ、まだ飲むの?」とゲッソリしつつもまた別のパブへ・・・。


結局その晩はふたりして酩酊状態で宿に戻り、服も着替えずそのまま倒れるように眠りました。

最終日はケンブリッジまで片道8時間の長旅のため、朝8時の電車に乗ってロブとはエジンバラで別れました。


二日酔いで車中かなり眠りましたが、ずっとい座っていてお尻も痛くなったので休憩という名目でヨークで途中下車し、久々に大好物のフィッシュアンドチップスを食し、17:30ころようやくケンブリッジに戻ってきました。

電車の席は本当に狭くて足を伸ばすスペースも少なく、日本人よりも大柄な英国人からよくも不満がでないなと思います。

飲んでばかりでしたが、天気もよろしく、ハイランドらしい山並みや湖も見られて、美味しいものを食べ、暖かいベッドで熟睡して、とまずは上出来の小旅行ではなかったかと思います。

今度はロブが6月にケンブリッジに飲みに、いえ、遊びに来ると言っています。

歓迎ではありますがちょっと及び腰でもあります。








2012年3月14日水曜日

2001年03月31日 「春通信」


今日で3月も終わりです。


2001年も4分の1が終了し時の経つのは早いものだと思います。
日本ではサクラ満開のころではないでしょうか。


ケンブリッジの植物園にもサクラはありますが、一本だけポツンと寂しくしていて盛り上がりに欠けます。


サクラ並木、サクラの頃の春風、夜ザクラを飾るちょうちんの灯、屋台から漂うヤキソバや焼イカなどのニオイ・・・とそれらが相まって春を感じさせてくれるものですが、当然ながらコチラではそういったものはありません。


春といえば先週末に時計を1時間進めてサマータイムに突入しました。


最近は日の出6:38日の入19:32とイッキに日が延びて気温も日中は15度くらいまであがる陽気で春めいてきました。
これまでずっと腹筋に力を込めて寒さを凌いでいたのですがようやく腹の力も緩められそうです。


植物園ではスイセンがピークで、レンギョウが黄色い花を咲かせ、コブシ、モクレンも満開です。外で庭仕事が楽しい季節になりつつあります。


暗くて寒い英国の冬はかなり滅入るものですが、これからまた半年間は緯度の高い英国ならではの長い1日が楽しめます。


仕事のあと家に帰って食事をしてから近所のパブに出掛けて、付設のビアガーデンで裸足になって芝生のチクチクした感触を味わいながら日没まで夕陽を浴びながらノンビリとビールを飲むというのはなんともシアワセな贅沢です。


サクラ満開、春爛漫、どうぞ楽しい週末を。


2012年3月10日土曜日

2001年03月03日 「最近のニュースのことなど」


最近こちらにいて気になるニュースがふたつあります。

ひとつは口蹄疫、もうひとつは列車事故です。

口蹄疫は「foot and mouth diseases」と言うなんてことはこちらに来るまで知るはずもありませんでしたが、お蔭様でボキャブラリーも増えていきます。

で、この疫病が流行りはじめて以来ニュースはもっぱらコレばかりですが、酪農は英国ではとても重要な産業のひとつですので重大ニュースなのも頷けます。

スーパーから肉が消えるという事態には至っていませんが、状況が長引けば品薄、価格高騰を招き狂牛病の後遺症も手伝ってよろしからぬ影響があると思われます。

インターネットで日本の新聞を読んでいると、「英国に6ヶ月以上滞在した人の献血は受けつけない」という記事を目にして祖国から「オマエは感染している可能性があるので切り捨てる」と言われているようで、「冷てぇなぁ、日本はよぉ」と悲しくなりました。

狂牛病は脳ミソがスポンジ状態になって死に至るらしいですが、もともと僕の脳ミソはスポンジ状態にありますので影響はあまりないと思われます。

列車事故は1999年の秋にロンドンのパディントン近辺で大きな列車事故があって以来、大小おりまぜて事故続きの英国鉄道ですがまたしてもやってくれました。

今回は電車側には過失はなく、車が陸橋から落ちてきたために起きた事故ですが、以前ヨークに住んでいたときによく乗っていた路線だったのでちょっとゾッとしました。

電車は本来信頼できる安全な乗り物というイメージですが、最近の連続事故を見ているとそうでもないのかなと思わざるを得ません。

いずれにしましてもこのふたつのニュースは自分の生活にも大いに関係があるので、とても気になっています。



2012年2月27日月曜日

2001年03月03日 「おいはぎテレビ」




ここ数日は積もるほどでもないながら毎日小雪が舞って底冷えのする日々です。


さて先日「TVライセンス」なるものを104ポンド払いました。


ここ英国ではテレビを所有するとテレビライセンス料を払わなければならず、払わないでいて摘発を受けると罰金1000ポンドが課せられるといわれています。


いわばNHKの聴視料のようなものですが、罰則をみるとそれよりももっと厳しいようです。


払わなくてもなんら問題なくテレビは見れるのですが、強力電波探知機を備えた摘発部隊に踏み込まれてしっぽをつかまれるという話も聞きます。


昨年9月にテレビを買ってから、およそ半年粘ってきたのですが、「今日にでも踏み込まれるのでは?」とか「テレビを売った店が摘発部隊と結託して顧客情報を流しているのでは?」などとハラハラ疑心暗鬼な日々を過ごしていました。
そして104ポンドのライセンス料を払うか、1000ポンドの罰金かと葛藤した挙句、ついに年貢を納めたというわけです。


TVライセンスの会社からは「払わないと違法です」「罰金は1000ポンドです」「月々たった9ポンドのことです」とやいのやいのと手紙がしつこく来て腰を上げざるをえなくなったという経緯もありますが。


郵便局で104ポンドを払ったときの気持ちというのはなんともやり切れないものがありました。
学割とかはないのですね。


自信を持っていえるのは104ポンドの元は取れないということです。


ライセンス料に元もなにもないですが、とにかくあまり面白い番組があるわけでもないのでテレビのスイッチを入れない日も多いのです。
もっぱらラジオ派でして、家事をしながらなど「ながら」にはやはりラジオです。


テレビはBBC1、BBC2、ITV、チャンネル4、チャンネル5の計5チャンネルのみ。


しいてよく見るのは金曜日にあるガーデニング番組と映画くらいでしょうか。


映画も結構不便な時間にあることが多いので鑑賞を断念することもしばしばです。


サッカーはうんざりするほど中継がありますが、僕にとって肝心なラグビーはそれほどでもありません。
現在行われている6カ国対抗ラグビーはイングランドがホームグラウンドであるトイッケナムで行うゲームは地上波では中継しないという決まりがあるらしく、SKYという衛生放送でのみ中継されます。
その場合は大型のスクリーンがあるパブに出向いて観戦するしか方法がありません。


サッカーにはほとんど興味がないのですが、それでも先日行われたローマ対リバプールにはかの中田選手がフル出場したのでテレビの前に鎮座して観戦しました。
こういったヨーロッパの大舞台で一流の活躍をするというのは「お若いのに素晴らしい!!」と感動しました。
特に後半キャプテンが退場したあとには中田がローマのキャプテンを努めたわけで彼の活躍に大いに興奮しました。


サッカーは日本のプロ野球ニュースのように試合があった夜にはダイジェスト解説番組があるのですが、その司会はかのゲーリー・リネカーです。
名古屋グランパスにも在籍していたこともある彼ですが、英国では国民的英雄です。
そんなスゴイ人が名古屋にいたとは・・・。


因みにゲーリーは日本的な発音であってこちらでは「ガリー」に近い発音をします。
最初ガリー、ガリーというので誰のことかと思っていました。


「ハンニバル」公開直前にはテレビで「羊たちの沈黙」を放送したりと抜かりのない部分もあります。


でも104ポンドも絶対に見ていないよなぁとちょっとムッとしながらテレビのスイッチを入れる今日この頃です。

2012年2月20日月曜日

2001年02月19日 「おいしい生活」



最近ちょっと良いものを購入しました。


トースターです。


パンを食べる機会が多いながらトースターというものを持っておらず、これまでずっと生パンでした。
去年は学校の食堂にトースターがあったのですが、アパート暮らしを始めてからは「たまにはカリッとサクッといきたいねぇ」と思いながら半年間過ごしてきました。


そんなおり、近所の中古品「なんでも屋」に行ったときに目に飛び込んできたのがこのトースターでした。


お値段4ポンド也。


トースターの底には焦げたパンくずがまだへばりついていたりして、誰が使っていたのかも分からず不気味な部分もあったのですが、熱を発する機械だけに問題なかろう、キレイだ、と言い聞かせながらレジへと向かいました。


レジにてちゃんと動くかこの場でデモンストレーションしてくれと頼んでちゃんとふたつあるスロットの中が赤く熱くなるのを確認して4ポンドを払ってスキップしながら家路につきました。


故障品をつかまされてはなるまい、とデモを目の前で依頼するあたり随分とこちらの生活に染まってきた気がします。


そんなわけで最近はほんのり香ばしく温かいトーストにたっぷりとバターをぬって美味しく頂戴しています。


トースターを買ってから僕の食生活に変化がでてきました。


これまでの朝食は野菜が多く、手軽で腹持ちがするという観点から毎週日曜日の夕方にチキンクリームシチューを1週間分仕込んで、これを毎朝お椀に取り分けて温めてクロワッサンと食べていました。


シチューは良いとして、毎朝クロワッサンというのはやや健康面で不安があり、これに換えて美味しいシチューのお供にトーストを抜擢したわけであります。


シチューもさすがに毎日同じものを食べていると飽きてきてしまい、最近すっかり定着してきたのが伝統的英国風朝食です。


これはベーコン、ソーセージ、目玉焼き、焼きトマト、焼きマッシュルームなどを大きな皿に盛り付けトーストを添え、さらにその上からベイクドビーンズという大豆のトマトソースのようなものをかけて食べるものです。
ボリューム満点でウマイです。
恐らく2年前であればそれほど美味いと思わなかったでしょうが、最近はどうやら味覚もこちら風に染まってきたようです。


突然開眼した理由はローストティンというオーブンを使ってロースト料理をつくるときに使う金属の専用皿を買ってからオーブンを活用するようになったからです。


この皿にあとで洗うのが楽なようにアルミフォイルを敷いて、その上にソーセージ、ベーコン、トマト、マッシュルームをのせて15~20分オーブンに入れれば出来上がりです。


その間に目玉焼きとトーストを作り、ベークドビーンズを電子レンジで温めて絶妙のタイミングでそれらすべてをひとつの皿にのせれば完成です。


肉体労働だけに身体が資本。
朝からモリモリ食べています。


これにとどまらずオーブンはその活躍の場を広げ、キッパーとローストラムといった純英国料理にも食卓に登場するようになりました。


キッパーというのはアパートの隣人であるビル君に勧められて食べてみたのがきっかけですが、その美味さに脱帽し、最近はちょっとやみつきです。


辞書を引いてみると燻製のニシンであるとのことですが、とても怪しげな黄色をしており、そのままオーブンに入れれば出来上がりです。


これの上にバターをのせてトーストと食べるのですが魚とパンがこれほど合うとは意外です。


本来は朝食に供されるべき食材らしいのですが、僕は週末のお昼などによく食べます。


さらにウレシイのはお値段がお手頃だということで一腹がざっと70円ほどでしょうか。


早い、安い、美味いとなにやら牛丼のようなやつです。


スーパーマーケットに買物に行くと牛、豚、ラムなどの肉の塊がドドーンと売られていて、見かけるたびに「うー、かぶりつきたい」という衝動に駆られていたのですが、このローストティンを買ったことによって夢が現実のものとなりました。


パブにおいてはサンデーローストといって日曜日のお昼にこの特別料理を食べるのが伝統的な風習のようで、僕も何回かビーフ、ポーク、ターキー、ラムといったローストを試したのですが、個人的に一番美味いと思ったのがラムでした。


ラムは子羊の肉でちょっとクセがあるのでミントソース、マスタードなどを使って食べるのですが、程よい歯ごたえ、独特の風味、ミントソースとの相性などがとても好きで、いつか自分で作ってお腹を満たしたいと思っていました。


スーパーで堂々850グラムの塊を買ってきて、ローストティンに据えて周りにタマネギ、ニンニク、マッシュルーム、ローズマリーを添えて80分間190度でじっくりとローストします。


出来上がるとこれを切り分けて、マッシュドポテト、ニンジン、グリーンピースといった温野菜を添えてグレービーソースをかけて完成。


これまた感動的な美味さで、一人で唸りながら肉をほおばりました。


パブで食べるローストよりも美味しい気がしたのは手前ミソってやつでしょうか。
850グラムもありますので、2食分楽しめます。


飽きないかという心配は御無用。
なんのなんのです。


白いゴハンを炊いて日本的な食事もしています。
自炊が美味しくかつ安上がりで楽しいので最近はよっぽどのことがないと外では食べようとは思わなくなりました。


自分でもここまで自炊が苦にならないとは意外でしたが文句は言いますまい。
しばし今ここでしか食べられないものをトコトン食べておこうと考えております。


こんなことを書いておきながら最後の晩餐で何が食べたいかと問われれば寿司になっちゃうのですが。


今月は28日までですから、今月も残り10日ですね。


早いものです。


どうぞお風邪などひかれませんようお元気でお過ごしください。

2012年2月15日水曜日

2001年02月03日 「2月」



早いもので2001年も1ヶ月が経ちました。


私にとっては会社を辞めて丸2年という節目の月でした。


あれから2年というのが長いような短いような、とても不思議な感覚です。


東京で植木屋を手伝っていたのは遠い昔のような気もすれば英国に来たのはついこの前という感じもします。


昨日は高木潅木セクションのリーダーだったアンディが一身上の都合ということで植物園を辞めていきました。


彼は30代後半で細長い顔に突き出た尖ったあごのアメリカンコミックから抜け出してきたような風貌の良いオトコで、まさに樹のスペシャリストでした。
日本でも最近は樹木医という職業を耳にしますが彼は植物園内の樹木の健康状態を把握して的確にさまざまな処置をほどこしていました。


Tree Surgeryといって文字通りチェーンソーをもって病気の部分、怪我をしている部分をバッサバッサと切ったりします。


ここ英国ではチェーンソーを扱うのには免許が必要で彼は植物園内で数少ない免許保有者で知識、経験も豊富で皆からの信頼も厚かったわけです。


彼がチェーンソーを扱うのはカッコが良くて、見とれることもしばしばでした。


服装も免許にしたがって定められていて、足元は安全靴よりも丈夫なチェーンソーブーツ、ズボンも特殊繊維入り、特殊な手袋、フェイスガード、耳当てつきのヘルメットなど。


ちょっと待てよ、と思ったのが日本で植木屋にいたときのこと。


とあるお宅の庭に枕木を置くことになり、親方に言われて安全面で注意すべきことなどの説明も装備もなくチェーンソーを使っていたのです。
飛んでくるおがくずを目に入らぬように目を細めたりしていましたが、まさに無防備でした。
「ウオッ、右足がちょんぎれたぁ」ってなことがあってもおかしくなかった状況で、今思えば恐ろしいことをしていたものです。


植木屋の足元は地下足袋で、これはこれで木登りの際に足先に木の枝の感覚が伝わってきたり、グリップが良かったりとメリットはあるのですが安全面ではちょっと疑問も残ります。
そしてはしごを使い、あとは木にするすると登ります。


英国での木登りは登山のようにハーネスとロープで安全を確保しながら徐々に登りつめます。
最初は見ていてまどろっこしいと思っていましたが、とても合理的で落下の危険もなく、最近はこうでないと危ないと思うようになりました。


仕事に無理がないというのが基本的な考え方のようです。


話を戻すと、昨日は15時で皆仕事を切り上げてホールで彼の送別会がありました。
ザッと30人ほどのスタッフが集まり、紅茶にビスケットをかじりながら立ち話をしたあとに植物園の最高責任者であるプロフェッサーがはなむけの言葉を述べ、最後にアンディが挨拶をしました。


「ケンブリッジを本当は去りたくない。皆と仕事ができてとても楽しかった。とても感謝している・・・」と簡単に挨拶しましたが彼の目は赤く腫れていました。


よく卒業式で泣くのは日本だけなどと聞きますが、植物園を愛し、皆から慕われたアンディの目に涙が溢れたのはとてもよく理解できましたし、どこでも溢れる感情を表現するのは一緒だなぁと思ってみていました。


一身上の都合というのは聞くと彼はそもそもイングランド北東部のスコットランドに程近いニューカッスルの出身で、彼の奥さんがケンブリッジにどうしても馴染めなくて帰りたいという彼女の希望に沿った決断だったようでした。


自然に溢れた人情味ある北の出身であれば、どこかよそ行き顔のケンブリッジに馴染めないというのは理解できる気がしました。


今日から6カ国対抗ラグビーが始まります。
テレビでの中継もあるので、この週末は自宅にてビールを飲みながら観戦して過ごすつもりです。


寒い毎日かと思いますがどうぞお元気で。