昨年ヨークの学校でクラスメートだったロブから「イースターで休暇をとったのでスコットランドに遊びにこないか」と連絡があり、月、火と休みをとり先週の土曜日から3泊4日で出掛けてきました。
彼は現在エジンバラ大学のランドスケープセクションでトレーニーとして働いています。
彼はイングランド出身でまだスコットランド北部のハイランド地方には行ったことがないとのことで、まずは二人でネッシーで有名なネス湖最寄の街であるインヴァネスに向かいました。
エジンバラでロブと合流して更にローカル線で3時間ゆられて北上してインヴァネスに着いたころにはもうヘトヘトでした。
というのも我がケンブリッジからの距離はザッと830キロと果てしなく遠く、トータルで8時間以上もの長旅だったからです。
彼とは約半年振りの再会で車中でビールを飲みながら近況報告をしあって話が弾みました。
今回はインヴァネスというハイランド屈指の街を足がかりに近辺を散策し、あとは楽しく酒でも飲んでウマイものでも食べようじゃぁないかというもので、ノンビリしたものです。
まずはウマイものですが、初日の夜は僕がラム肉、ロブが鹿肉、2日目の昼はスコットランド名物ハギス、夜はスコティッシュサーモンのステーキ、3日目の昼がチーズバーガー、夜がパスタといったちょっと贅沢、高カロリーなラインアップです。
スコットランドはハギスとサーモンが有名ですので、それらを制したあとは少しづつトーンダウンしていっていますね。
ハギスとは羊の内臓の詰め物で、好みが分かれる食べ物です。
僕は今回はじめて正式な正統派ハギスを食べましたがなかなかどうしてイケる美味しさでした。
食感もプチプチしていて全く問題ない味です。
嫌いな人は味がどうのというよりも、それが何で出来ていて、どういう手順で作られるのかという辺りに抵抗があるのだとのこと。
B&Bという一泊朝食付きの英国の典型的な庶民の味方的な宿に泊まりましたが、これがいずれも「清潔」「暖かい」「安い」「美味しい」と大ヒットで文句なしでした。
朝食がとても美味しくて素晴らしいのですが、そのボリュームたるや尋常ではありません。
ジュース、フルーツ、シリアル、紅茶を前菜のようにこなした頃にメインの目玉焼き2個、ベーコン2枚、ソーセージ2本、ワッフル、マッシュルーム、トマト・・・と溢れんばかりに盛られた大皿が登場し、これらをトーストとともに食べていきます。
最後にトーストにマーマレードを塗りたくって紅茶を流し込んでシメです。
素晴らしい。
3日目に泊まった宿の朝食にブラックプディングという英国式朝食の典型的な食材といわれ、かねがね一度は食べてみたいと思っていたものが食卓に上がりました。
これはブタの脂と血をませて作るソーセージのようなもので、ブラックというだけあって色は黒くて見た目的にはオレオビスケットのようです。
スパイスが効いていてパサパサした食感でしたが別に驚くほどウマイわけでもなく、かといって泣きたくなるほどマズイわけでもない、フツーの味でした。
それよりも一度は食べてみたいという夢が叶ったことのほうに興奮を覚えました。
今回二人で旅行して発見したのは「ふたりで泊まると宿はお安い」という黄金律です。
これまではシングルルームで25~35ポンドあたりの攻防で大いに葛藤していたのに、今回はもっとマシなお部屋でツインなので一人あたり15~20ポンドというお値段。
しかもシングルよりもズッと見つけやすい。
ケンブリッジの自分の部屋で普段寒い思いをしていましたので、まずは部屋の暖かさがなんとも嬉しかったです。
シャワーもキレイ、トイレだってキレイ。
これが当たり前の暮らしなのかもしれないと思いつつも、ささやかなシアワセを噛締めつつフカフカのベッドでグッスリと眠ったのでした。
グッスリ眠ったのはなにも居心地が良かったからだけではありません。
そう、飲み過ぎたので倒れるように寝た、とも言えます。
ロブはビール好きの酒豪で、僕のビール好きとは次元が違います。
再会を果たしたエジンバラの駅構内のパブで2パイント。
夕食の前に、中に、後に・・・。
さすがに朝は飲みませんが昼飯の前に、中に、後に・・・、とこちらが呆気にとられるくらいよく飲みます。
これらの風習で「ラウンド」という割り勘方式があります。
これは一人が皆の分を買って、次の人が次の一杯を買って・・・と繰り返していくもの。
今回はロブと二人ですので、カウンターで「何がいい?」とロブがまず先制します。
そのグラスが空くか空かないかのタイミングで今度は僕が「何がいい?」と聞いて次のビールを買います。
そしてそれが空くころには・・・、とまぁとめどない「ふたり割り勘地獄」です。
途中でかなりキツくなってきているのに、「何がいい?」と聞かれると無意識に希望のビールの銘柄が口からでてくるというのは不思議なものです。
インヴァネスは相当北に位置するため日が長くて日没は20:20頃でしょうか。
夕食を終えてまだ明るいのでまだ宵の口と勘違いしツイツイ飲み過ぎてしまい、気が付いてみれば日が沈んだばかりなのに22時、足元はフラフラ、お腹はパンパンという4日間でした。
最悪だったのが月曜日の夜で、インヴァネスの街を歩いていたらロブが一軒のパブを指差して「ホンの軽く一杯やらないか?ここの看板にあるSDというビールはスゴク美味しいらしいよ。絶対オマエも気に入るよ。」と言われて時計を見るもまだ時刻は15:30。
「まだちょっと早いんじゃぁない?」と尻込みすると「ダイジョーブ。一杯だけ!」と半ば強引に連れ込まれてそのSDとやらを頂きました。
その後はイヤな予感が的中し、次の一杯、その次の一杯・・・と果てしなく続き、気がついてみればそのパブに4時間以上いました。
しかもビールだけで。
3日目の夕食がパスタとやや控えめであった理由はここにあって、ビールでお腹がパンパンになってしまい食事への興味が薄れたからでした。
このパスタを食べたときにも一騒動ありました。
これまでさんざん飲んで出来上がっていたので軽くパスタを食べるだけかと思いきや、着席とともにロブはビール2人分をまず注文しました。
とにかくかなり酔っていた、と。
ふたりしてカルボナーラを頼んで食べはじめたらばロブがおもむろにウエイターを呼びつけ「このカルボナーラにはベーコン一切れだけで何も具が入っていないじゃぁないか。こんなもん出すな。すぐ取り替えろ。」と大抗議です。
ウェイターはしどろもどろに「あの、コックが二人分一緒に作って具を取り分けたときにお連れ様のほうにほとんど入ってしまったのではないかと・・・」と説明するのですが、「そんなこと知るか。いいから取り替えろ。」とロブが一喝しました。
ほどなく具が異常にたっぷりのカルボナーラが運ばれてきました。
その新しい皿が運ばれてくるまでの間にロブが僕に向かって「それじゃ足りないんじゃない?これ半分あげるよ。」とテーブルに残された具のないカルボナーラを半分ドカッと僕の皿にのせて、残った半分をロブはアッという間に平らげてしまいました。
話はこれで終りません。
「あのサ、この店は何となく気に入らないね。マネージャーに勘定をまけもらうように交渉するよ。」と言うので、それはいくらなんでも強引すぎるんじゃないの、と思って黙って成り行きを見守ることにしました。
かなり大柄な女性店員をつかまえて「ちょっとマネージャーと話がしたいんだけどな。」というとなんとその女性が「ワタシがマネージャーですが。」と言います。
「実はかくかくしかじかでね・・・、パスタ2人分は払うけど、このビール2杯はまけてくれないか。」と横で聞いているこちらが赤面するほど無謀で強引な交渉をロブはやらかしましたが、そのマネージャーは「ハイ、分かりました。すみませんでした。」と明細書の「ビール×2」の部分を自分のボールペンでゴニョゴニョと消してしまいました。
二人でそのパスタ屋を出て大笑いです。
本当にこんなことが通るのかなぁと申し訳ない気分でした。
浮いたお金で飲みなおそうとの彼の提案で、「えっ、まだ飲むの?」とゲッソリしつつもまた別のパブへ・・・。
結局その晩はふたりして酩酊状態で宿に戻り、服も着替えずそのまま倒れるように眠りました。
最終日はケンブリッジまで片道8時間の長旅のため、朝8時の電車に乗ってロブとはエジンバラで別れました。
二日酔いで車中かなり眠りましたが、ずっとい座っていてお尻も痛くなったので休憩という名目でヨークで途中下車し、久々に大好物のフィッシュアンドチップスを食し、17:30ころようやくケンブリッジに戻ってきました。
電車の席は本当に狭くて足を伸ばすスペースも少なく、日本人よりも大柄な英国人からよくも不満がでないなと思います。
飲んでばかりでしたが、天気もよろしく、ハイランドらしい山並みや湖も見られて、美味しいものを食べ、暖かいベッドで熟睡して、とまずは上出来の小旅行ではなかったかと思います。
今度はロブが6月にケンブリッジに飲みに、いえ、遊びに来ると言っています。
歓迎ではありますがちょっと及び腰でもあります。
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