どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2011年8月13日土曜日

2000年08月02日 「ファーストフード考」


暑中お見舞い申しあげます。

いよいよ8月に突入です。
熱中症で病院に運ばれる人が昨年の2倍と聞きました。
植木屋を続けていたら今頃病院にいたかもしれません。

さて、本日は英国におけるファストフードを考えてみようというわけです。

日本と共通しているのはハンバーガーショップではないでしょうか。
これはもはや日本、イギリスに限ったことではないですけど。
ハンバーガー以外ですとフィッシュアンドチップス、サンドイッチ、ドネルケバブ、ピザ、チャイニーズといったところでしょうか。


まず英国を代表するファストフードであるフィッシュアンドチップス(F&C)ですが、これは白身魚のタラ(cod もしくは haddock)に小麦粉をといたコロモをつけて揚げたものをチップスとともに、お好みで塩と麦からできたモルトヴィネガーをドバドバとかけて食べるというもの。
不思議なもので歩きながらハフハフしつつ食べると美味しさがアップすると思うのは私だけでしょうか。

ちなみに英国ではフライドポテトのことをチップスと言い、ポテトチップスのことをクリスプス(crisps)と言います。
カロリーが高くてなんとも栄養バランスが悪そうですが、食べているうちに病みつきになり最近は最低でも週に一回はこれを食べずにはいられません。
英国人に言わせると魚そのものは白身なので言われるほど不健康な食べ物ではないとのことです。

全英には約8,500ものF&C屋があって年間約3億食も食べられているのだとか。
実はこれはこの前聴いていたラジオからの情報なのですが、そこでは加えて乱獲によるタラの減少で今後はタラの保護を考えていかないとF&Cが食べられなくなるというようなことを言っていて、F&Cファンとして真剣にラジオに耳を傾けた次第です。

ファストフードなんだから英国どこで食べても同じ味かというと否で、僕のいるヨークシャー州は英国北東部の代表的な漁業の町であるウィットビーとスカーボロを擁し、新鮮なタラが手に入るので英国で一番F&Cが美味い場所と言われています。

確かに思い出すにロンドンで食べたF&Cは高くてあまり美味いものではありませんでした。

味を決定する主な要因は①魚の鮮度 ②油 ③バターといわれるコロモ だと思いますが油が臭かったり、コロモがサクサクしていなかったりするとガッカリです。

とても興味深いのは油です。
どこは定かではありませんが、僕の見立てですと南ヨークシャー州とリンカンシャー州のあたりに境界線があってそれ以南ですとすべからく植物油、それ以北ですとすべからく動物油を使うのです。
どちらがヘルシーかなんて野暮な議論はさておき、動物の油で揚げたほうがなんともいえない風味があって僕は断然美味いと思います。
ここでいう動物油はラードといって豚からとったものかドリッピングといって牛からのものかがあるようです。


そしてファストフードは安くなければなりません。
せいぜい3ポンド以内。

Take awayといって持ち帰りか立ち食いが基本ですが、なかにはレストラン式になっていて店内で座ってたべるところもあります。
店で座って食べると値段は倍くらいします。

しかし時として座って食べなくてはならない場合があります。
それはタラがデカイときです。
通常のサイズは20センチくらいなのですが、その上のラージで30センチくらい、極めつけジャンボでは40センチ以上あってとても歩きながら食べられるものではありません。
これまでに何度かF&C有名店と誉れ高い店でジャンボを食しましたが、生きていて良かったと思える満足度でした。

英国人の友人などは、タラにチップスが付いてくるのにさらにブレッドアンドバターといって食パンにバターをコッテリ塗ったものを一緒に頼んだりします。
あくなき炭水化物と油への欲求ということでしょうか。
さすがにこれには見ているほうが食傷しましたが。

基本は塩とヴィネガーですが、好みですりつぶしたグリーンピースにミントソースをいれたマッシュドピーとかカレーソースをかけて食べる人もいます。

僕の記憶では、10数年前に英国に滞在していたころはF&Cといえば古新聞に包まっていたものですが、最近は見かけないので聞いてみると食遺品衛生上の見地から現在では古新聞を使ってはいけなくなったとのことでした。
繊細なのか大雑把なのかときどき分からなくなる不思議な国です。

F&C屋では大抵F&Cだけ売ってますという硬派な店が多いのですが、それでもサイドメニュー的においてあるのが①バタード・ソーセージ ②ピクルド・エッグ ③フィッシュ・フィンガー ④フィッシュ・ケーキ といったあたりでしょうか。

(左・タマネギのピクルス 右・タマゴのピクルス)

①はこちらの独特のパフパフの食感をもったソーセージにコロモをつけて揚げてあるもの。
②煎餅屋の店先で煎餅が入っているような、あるいは駄菓子屋でヨッちゃんイカが入っているような、そんな容器にゆで卵が酢漬けになって入っているというもので僕は怖くて食べたことはありません。
一体どんな味がするのか、そしてピクルスとはいえ所詮タマゴゆえにその保存期間は? などと疑いの視線でその怪しげなタマゴを見ています。
③は日本でもスーパーの冷凍食品売り場で売っているすり身魚のフライのようなもの。
④これはついこの前試してみました。
ケーキとはいっても甘いものではなく、ジャガイモを厚めにスライスしたもの2枚の間にほんの少々魚のすり身がサンドされ、さらにまわりにコロモをつけて揚げてあるものでした。
これとF&Cを一緒に頼んでしまい、あとでちょっと後悔しました。

何故かF&C屋というのはインド人、トルコ人、ギリシャ人といった移民系の方々が店を構えているケースが非常に多く、純英国人のやっているF&C屋というのはとても珍しいと思います。
店は一日中オープンしているわけではなく、例えばよく利用する隣村のF&C屋なんてのは16:00から21:00までの営業で、しかも日曜日、月曜日と週休2日を貫いており、どうやって生計を立てているのか他人事ながら気になります。
それは極端な例ですが、日本の牛丼屋のように24時間頑張るF&C屋はこの国には存在しないと思われます。

続いてサンドイッチバーですが・・・といきたいところですがF&Cに対する思い入れが激しい分、相当長く書いてしまいましたのでまたの機会にということで。

かくのごとく相当なF&Cファンになってしまいましたが、日本に帰国したあかつきにはこの味が恋しくなるのは想像に難くないので、この際カラダに悪かろうが心行くまでこの味を堪能しようと思っています。
読んでいて胸焼けしませんでしたでしょうか。

暑さのヤマもあと一息で越えることかと思います。どうぞお元気で。

2011年8月8日月曜日

2000年07月25日 「全英オープン」



夏真っ盛り、暑い毎日かと存じますがお元気でしょうか。

22日(土)から24日(月)までスコットランドに一人で行っていました。

先週はゴルフの全英オープンが開催されていて学校のホールでテレビ観戦していたのですが、この地続きの場でこのビッグイベントを生でやっているのかと思ったらいてもたってもいられなくなり、エジンバラまでの往復の電車チケットだけ確保してヨークから発作的に出発しました。

突然の思いつきでしたので値段が安くて便利な時間というチケットはありえず、かなり無理のある行程ではありました。

土曜日は朝6:30にヨークを出発しエジンバラに9:30着。
それからローカル電車に1時間ゆられルーカスという会場最寄の田舎駅まで行って、シャトルバスに乗り換え会場にたどりつきました。

春のイースター休暇で来たときとはうってかわって雰囲気が異なり、モノスゴイ人出で熱気に包まれておりました。

大会開催中は晴天に恵まれ全英オープンのイメージとしてある「強風」「冷たい海風」「どんよりとした雲」「雨」とはほぼ無縁の快晴が続いており絶好の観戦日和でした。

観戦方法として「一箇所にとどまって次々と来るプレーヤーをみる」「ひとつの組だけをひたすら追いかけて通してみる」のいずれかを採択するか思案しました。

後者の場合はその選手に思い入れが強くて他の選手は見なくていいという覚悟が必要ですが、どの選手を追いかけるかといえばそれはやはりタイガーウッズでしょう。

しかし全英オープン史上最高の人出であったらしく、おびたたしい数のギャラリーで、そのほとんどが「ウッズ狙い」でしょうから一緒にまわっても何も見れないと思われ前者の観戦方法にしました。

会場をウロウロして吟味したところ、6番のティーグランド横であれば「ティーショットが見える」「ティーグラウンド越しの5番と13番のダブルグリーンのパットが見える」「トイレ、売店に近い」という好条件であることを発見。
そこに決めました。

3日目と最終日を見たのですが、決勝ラウンドは全部で37組まわっていて第一組がスタートするのが8:40、そしてウッズの最終組のスタートは15:00です。

スタートしてから6番ホールに来るまでにはほぼ90分あって「じっと我慢の子であった」状態でした。

早い時間のそれほど人気がない選手のうちは途中でトイレにいったり売店にいっても元の場所を確保できますが、後半10組ほどになるといつの間にか人垣ができあがり身動きが出来なくなります。
トイレに行かなくてもいいように水分摂取も控えてかなりストイックなゴルフ観戦となりました。

それでも自分の2メートル前で世界屈指のプレーヤーが次々とティーショットを放っていくというのはなんとも夢のような経験でした。
当然ながらダブッたりチョロッたりするようなトラブルショットは皆無で打った球がシューッと空気を裂いてまっすぐ飛んでいきます。

キャディとプレーヤーの会話が聞こえたり、キャディバッグの中が見えたりして我慢して長時間粘っただけのことはありました。

さて大会3日目、僕にとっては初日を終えエジンバラに戻ると既に21時を回っており、そこから宿探しとなりました。

前回宿泊した安宿も含めていくつも当たったのですがどこも満室だとのこと。
この英国を代表するスポーツイベント、さらに史上最高の人出というだけあって予約もなく当日に宿を決めるなんてことは不可能なわけで宿も決めずに飛び出してきた自分の楽観的人生観が裏目にでました。
いくら悩んでもないものはないわけで、ついに最悪の選択肢である野宿をする決意をしました。

一応24時まではパブでビールを飲みながら屋根の下にいたのですが、閉店とともに外に出されてしまいました。
夏だというのに日が沈んだ22:00頃から急激に冷え込んできて日中の暖かさがウソのようです。
とりあえず持ち合わせていたフリースジャケット、長袖シャツ、ウインドブレーカーを着てみましたがそんなものでは到底歯が立たないほど寒さは厳しくなってきました。

気温は10度を下回ったと思います。

早起きしてきたこと、終日外を歩き回ったことなどで疲れはピークでしたが、寒さで眠るに眠れずホトホト困りました。

そんな折、ふと段ボール箱が目に入り、これをつぶして横になってみるとかなり暖かいのを発見し嬉しくなりました。

とはいっても大袈裟に横になるのも人目がはばかれ、隅の石のベンチに段ボールを敷いて30分ほど眠りました。
親が見たら段ボールで眠る息子をみてさぞ嘆いたことでしょう。

30分がある意味限界でした。
段ボールがあっても寒いのは寒いわけで風邪をひきそうでしたし、熟睡して不審者になにかを盗られても困ります。

ジッとしていても寒いだけなので、カラダを暖めるためにアテもなく深夜のエジンバラの街をひたすら歩きました。

そもそも日本のように24時間営業しているコンビニ、ファミレス、映画館などがないからこんな目に遭うのです。
歩くにしても4時間を越えたあたりで今度は足が痛くなってきてなんとも情けなくなりました。

「将来失敗しても最悪段ボールで暮らせるサ。命をとられるわけじゃなし、気楽にやるヨ」なんて言っていたのですが、イザ本当に段ボールを体験してみるとこれは想像以上に厳しいものだと悟りました。
特に真冬をあれで過ごすのは決死の覚悟が必要かと思われます。

その後も疲れて30分眠る、寒さで起きて歩く、疲れて眠る・・・と繰り返し時間が過ぎました。

4:30ころ東の空が白々としてきて頭上をカモメたちが鳴きながら飛び交い、冷たい海風が吹き上げてくる・・・。
やっと朝だ。
あの朝は生涯忘れがたいものだという気がします。


そんな夜を過ごしたことに懲りもせずルーカス行きの始発電車に乗って再びセントアンドリュースに赴き史上最年少グランドスラム達成の瞬間を見てきたというわけです。


今回改めて日本の特別ぶりを目撃しました。

会場にいるのは地元英国人はもちろんアメリカ、オーストラリア、欧州各国からのようでしたが、東洋人はそのほとんどが日本人のようでした。
その数もかなりのものです。
自分もその一人ですが。

更に日本選手、特に丸山のあとにはカメラマン、記者、役員など腕章をつけた「特別」な日本人がコース内をゾロゾロ金魚の糞みたいにくっついていきます。
日本選手以外でそんな選手はほとんどいません。
思うに日本企業のスポンサーの圧力で腕章をつけた怪しい特別な方々がコース内を我がもの顔で闊歩していたのではないかと思います。

午前中丸山にくっついていたじゃぁないという方々が午後はウッズの後ろにちょこんとくっついて歩いていたりして。
ちょっと違和感がありましたね。
特に「タイガーのティーオフまであと2時間です。」とラジオ中継を聞きながら、「ってことはここに来るのはあと3時間半後かぁ」とヘトヘトになりながらも忍の一文字で待ち続けたものとしては、そんな特別な腕章は「ズルイッ!!」と腹が立ってしまいました。

思いつきの衝動的な旅でしたが今回セントアンドリュースに行ったことは本当に価値があったと満足しています。
唯一残念だったのが大会2日目でジャック・ニクラウスが姿を消して1日違いで彼をナマで見れなかったことでしょうか。

そんな全英オープンのお話でした。




2011年8月4日木曜日

2000年07月20日 「バラバラ・・・・」



日本は梅雨明けして本格的な夏の到来かと思います。
こちらはいつもはアテにならない天気なのですが今週はどういうわけか厚い雲がなく爽やかで清々しい夏といった風情です。
湿気が少なく、さながら北海道の夏のようで、ラベンダーなどもそこらに雑草のように咲きほこっています。

さて何がバラバラなのかと申しますと数や単位です。
以前にヤード、メートル、ポンド、キロなど混在していてもうメチャクチャですとお伝えしたかもしれませんが今回はその追加です。

まずコーンフレークを食べるため牛乳を買いに行きますれば、ハーフパイント、1パイント、2パイント、4パイント、そして更に1リットル、2リットルとそれぞれ売っています。

スーパーで4パイント(2.27リットル)もの牛乳を3、4個まとめて買っているオバサンを見掛けると、さすが狩猟民族、肉食民族だなぁとヘンに感心してしまいます。
因みにお値段は2リットルで140円位ですので日本に比べると安いと思います。
味もかなり牛乳らしい牛乳のお味で、美味しいと思って飲んでいます。

そして例のティーボーンステーキはオンス表示でした。
本日のオススメ・メニューということで店主が黒板にチョークで「T-bone steak 20oz.」と手書きで書いてあったのですがクセ字であったため「20oz」が「2002」に見えて、「ウーム、2キロは食えんなぁ、いくらなんでも。でも14ポンドという値段を考えるとそのくらいの肉ってことか?」などとドキドキしたものですが、普段オンス表示はそんなにお目に掛からないので困惑したわけです。

単位とはちょっと異なりますが、日本からきて違和感があったのは缶ビールの容量。
500ccと440ccの2種類があってこの60ccの差は何かといつも考えてしまいます。

アルコール度数も日本ではビールは5~5.5%が主流ですが、こちらは3.5~7.0%くらいに幅があってアルコール度数が大きくなると値段も高くなるようです。
7.0%のビールも試したことがありますが僕の口には合いませんでした。

缶ジュースを持ってイッキ飲みする友人を見て「さすがにこちらの人たちは手がデカイなぁ。缶が小さく見えるもの。」と思っていたら缶が本当に小さかったなんてこともありました。
日本では350ccが主流ですが、こちらでは330ccが一般的のようです。

僕はスモーカーではないのでこの国のバカ高いタバコを吸うことはありませんが、一箱ざっと800円位します。
更にスゴイのはパブの自動販売機で買うと20本入っているはずの箱に16本しか入っておらず、お値段は通常の20本入りと同じだという理不尽さ。
この一本のタバコが50円もするのかと思ったら吸えませんね、僕は。
煙で腹は膨れませんので。

そんな数に関するバラバラなお話でした。

2011年8月1日月曜日

2000年07月19日 「贅沢」



学校が休みになって食堂も休業になったため最近は自炊をしています。
とはいっても鍋やフライパンを持っているわけでもなく、オーブンや電子レンジを使ったインスタントやレトルト食ばかりですが。

もっぱら1.50ポンドの冷凍ピザをオーブンで温めるか、チキンティカマサラという2ポンドのチキンカレーをレンジで温めるか、ということを交互に繰り返しているだけのことです。

たまにヨーク市内に出掛けるとあいも変わらずフィッシュアンドチップスかドネルケバブといったファストフードばかり食べています。
これらはお財布にそこそこ優しくて満腹感もあるので僕のような貧乏学生にはピッタリです。

最近は朝の1時間のランニングが日課となり、そのあと朝食としてコーンフレーク、バナナ、リンゴといったパターンか、食パンにマーガリンとマスタードをぬってハムを挟んだサンドイッチなどを作って食べています。

なにせ貧乏学生なので何をするにしても「高い」「もったいない」という気持ちが先行してしまいます。
金に糸目をつけなければそれなりに美味しいものも食べられると思うのですが、ヘンに節制するのでかえって日本でウマイもの食べていたなぁなどと感傷にひたることが多くなっています。

そんなことを言っておきながら、本日相当な贅沢をしました。

行きつけのパブに行く度に、黒板にチョークで書いてあってずっと気になっていた「ティーボーンステーキ20オンス 13.95ポンド也」をついに注文しました! 

今日は昨日に続き晴れ間がのぞく夏らしい気持ちの良い陽気でしたので、芝のビアガーデンで夕陽を浴びながらビールを飲むのはグッドアイディアではないかと一人でパブに繰り出しました。

パブへ向かって歩きながら「今日は天気も良いし、気分も良いからずっと気になってたアレを食べちゃおうか」と思いつき、もうそれからは頭の中がディーボーンステーキ一色に染まりあがってしまいました。

パブに到着してバーカウンターまずはいつものビールを頼んで一口ビールを飲んでから意を決して注文してみました。
黒板を指しながら「このティーボーンステーキくれるかな」と注文した声はこころなしか上ずっていました。
焼き加減もパブへ向かう道中あれこれ考えて決めた肉汁したたるミディアムレアを指定して裏庭にあるビアガーデンの席につきました。

まだ早い時間だったためか誰もおらず、暖かな夕陽を浴びながらビールを飲んでステーキを待ったのでした。

2杯目のビールを買って席についたころについにステーキが運ばれてきました。
このパブで他の食事メニューは5~6ポンドのものがほとんどで、ましてや10ポンドを超える食べ物はこのティーボーンステーキ以外には見当たらず、その特別ぶりが知れます。


肉は20オンス(約570グラム)で付け合せの野菜もしっかりついています。
肉は予想していたよりも柔らかく大満足でございました。

ただ味付けがね・・・。
ここでもやっぱり塩、コショウ、ヴィネガー、マスタードといった調味料しか供されず、醤油があれば・・・とちょっとそこだけが悔やまれました。

ステーキとビール2杯で約17ポンド。
日本でよく行っていたトンカツ屋でロースカツ定食とビールで3000円くらいだったので、まあそれと同じ感覚なのかと思えばそれほど大袈裟に贅沢ってほど贅沢なことでもないのですが。

とはいえ外食時には5ポンドでリミッターが働くため、今回は破格の贅沢だったというわけです。

ごちそうさま。



2011年7月29日金曜日

2000年07月17日 「友人の話」


クラスも一緒で寮でもたまたま隣の部屋同士ということで仲良くなったロブ君の自宅に週末招待されました。

彼は僕よりもひとつ年下ですが、とてもモチベーションが高く、成績もかれがクラスでトップでした。
試験やレポートも彼に随分アドバイスしてもらいましたし刺激にもなりました。

また生活面でも現代英国人気質を身をもって教えてくれました。
秋から僕はケンブリッジ大学に行きますが、彼はエジンバラ大学に行って、来年このカレッジで再会しようと言っています。

昼にお父さんのクリスが車で迎えに来てくれて、彼の家で軽く昼食を御馳走になってからクリス、ロブと僕の3人でゴルフをし、夕食はお母さんのマギーのお手製ローストビーフを御馳走になってその晩は泊めていただきました。

翌日は朝食後彼の住む街Witherbyというこじんまりとして雰囲気のよろしい街を散歩し、家に戻りテレビを見つつ、昼食にピザを御馳走になって、昼過ぎに寮まで送って頂いたという2日間でした。

寮に戻ってあらためて有難いことだったと感激しています。

英国を紹介した本などによくあるように、夕食に招待されるのは特別なことであって、まして一泊まで招待していただいたこと。
そして家族全員でもてなしていただいたことに感激しました。

夕食は典型的な英国のもてなし料理なのだと思われるローストビーフ、ヨークシャープディング、ニンジン、ブロッコリーなどの温野菜、マッシュドポテトを頂いたのですが、本当に美味しかったです。
肉も柔らかくグレービーソースもインスタントではなくて自家製の本物ソースでした。
そんな味覚上の美味しさもさることながら心のこもったホスピタリティに感激したわけです。

食事をしながら、我々の授業の話、思い出深い先生の話、寮の不味い食事の話、日本の話などで大いに盛り上がり、普段の無味乾燥な食欲を満たすためだけの食事とは違うあたたかいひとときを過ごしました。

「こういう食事にお招き頂くのは特別のことと理解していますが、本当に美味しく、そして感激しています。」と言うと、
マギーが「そうね。日本の家庭でお客様をもてなすときにはどういうものを御馳走するのかしら?」と質問されてちょっと考え込んでしまいました。

気のおけない人とする家庭的な食事と言えば鍋ものかなと思って鍋の話をしました。
鍋であれば英国でも素材は揃いそうなので、帰国するまでになんとか鍋料理をふるまいたいものだと思いました。


ゴルフはクリスがメンバーになっているThe Alwoodley G.C.という先週トーナメントもあったという名門コースに連れていってもらいました。
コースはヒースが生い茂る典型的英国ゴルフコースでラフも深くて難しかったのですが、かろうじて100は切れて、クリスに迷惑がかからなくて良かったと胸をなでおろしました。

キャディはいなくて、自分でバッグを担ぐか、カートを引くか。
スタートはインから、アウトからという発想はないようで常に1番から。
自宅から車で10分ほどのところにコースはあって、料金もゲストで15ポンド程度。
18ホールを通して回り、あとは靴だけ履き替えてクラブハウスでビールを飲むといったかんじで、いろんな意味で無駄がないなぁと感心しました。

ロブの家は結構な邸宅で敷地はざっと200坪くらいでしょうか。
1920年に建てられた家だそうでそれを10年前に購入してリフォームしてキレイに使っています。

庭も芝がキレイに刈られて、通好みの植物が植わっているあたりかなりの園芸好きなのでしょう。


庭の隅にレンガ造りでパーゴラが備わった腰掛けるスペースがありました。
聞くとクリスがマギーの誕生日祝いに建てたものだとか。
昼過ぎからそこには陽があたる場所になっているらしく、午後はそこに腰掛けて紅茶でも飲みつつ本を読んだりするのだとか。
気が利いているよなぁと感心ばかりしていました。

ふと彼が日本に来たとして、果たしてどんなもてなしが自分に出来るのだろうかと考え込んでしまいました。
そんな2日間でした。

2011年7月24日日曜日

2000年07月13日 「禅問答」



畑についてもうちょっと。

以前自分の畑の花や野菜が愛おしくて根腐れするほど水をやってしまったという話をしたかと思いますが、
畑実習の主任先生が最近ボソッと

「みんな水を一生懸命やってるみたいだけど、オレならやらないな。
もともと野菜はナマケモノなのだ。
秋に畑に馬糞などを鋤き込んで土壌を改良しただろ。
アレによって畑の表面が乾いているように見えても実は数センチ下は潤っているのだ。
その潤いを求めて植物は根を広く深く広げてそれが逞しいニンジンになったりするのだ。
で、これ以上乾燥させては生育を妨げてしまうという、ここぞというタイミングで適量の水をやるものなのだ。」

と言うのを聞いて感心する一方、水をやりすぎた自分が恥ずかしく感じました。

「で、ここぞというタイミングはどうしたら分かるんでしょうか?」
と尋ねると
「それは自分でいろいろ考えて試すのだ。経験から学ぶのだ。」

となにやら坊主と和尚の会話のようでしたが、なにやら子育て、ペット飼育、植物栽培さらには恋愛などにも共通している人生の真理にも思えたのでした。

2011年7月23日土曜日

2000年07月12日 「畑その後」



言いようのない深い悲しみと虚無感に沈んでおります。

何かと申せば、畑あらしがあったのです。

そもそもの起こりは畑の評価のあった日の夜に学校の講堂で「Summer Ball」(夏の舞踏会)といって皆が着飾って深夜まで飲んで踊って騒いだ晩があったのですが、その晩に誰かが畑に侵入して畑を踏みつけたり花や野菜を引っこ抜いたりという事件がありました。

そのときは幸いにも僕の畑は被害にあわずにすみました。
当時クラスの皆は「ヒドイっ!!」とかなり憤慨したものですが、犯人も分からず手も足もだせませんでした。

その後学校の授業が終了するのにともなって、何人かは自分の畑から早々とレタスやソラマメなんかを収穫していくものもいました。

それは自分の畑で自分が育てたものだけにするのが人の道ってものですが、僕の畑をある日よくよく見てみると大きく育っていたソラマメがあらかた摘まれてしまっていました。

腹は立ったのですが、苗は無事だったのでまた育つだろうと前向きに考えて溜飲を下げました。

そして昨日。
雨の中ちょっと様子を見にいくと8個植えたレタスのうち育ちの良かった3個がなくなっていました。

全身の力が抜けて、めまいすら覚えました。

なんでこうなんでしょうか?
見つけたらぶっ飛ばしてやると思うものの終日畑にいるわけにもいかず手の施しようもありません。

育てているときはマメを鳩から守り、レタスにつくナメクジを取り去り、赤カブを好物とするウサギを追い、アブラムシを寄せつけないように腐心して丹精込めて育てた野菜の最大の敵が「人間」であるとは!

おお、神よ!!(ちょっと大袈裟か)

この悔しさは最近ちょっとない悔しさです。
夏休みの間この学校の寮に残るので引き続き水をやり雑草をとって、これから咲く花を愉しんで野菜の収穫もして・・・と楽しみにしていたのに残念です。

ヘンにこの畑に愛情を注ぎ過ぎたのかもしれません。
たかが畑、もっと気楽に考えれば。
いやーそんなことはないな。
やっぱり盗った人が悪いと断じる次第です。

悔しいッス。