早いもので9月になりました。
こちらでは9月が新学期ということになっていて、8月末に去るもの、9月に来るものと人の入替えがあります。
私も植物園で2年生になりました。
悲喜交々でございます。
現在住んでいるGWYDIR STREETという場所は駅、繁華街、植物園にそれぞれ徒歩10~15分とまずまず好立地で、近所には行きつけのパブ、パン屋、新聞屋があってまずまず気に入っています。
アパートの隣人ビル君は今となってはかけがえのない友人です。
しかし、このアパートの大問題は冬季の寒さと湿気です。
英国の典型的な暖房設備であるセントラルヒーティング設備がないので、部屋ごとに電気ヒーターをつけるのですが、効果はイマイチだし電気を相当食うので貧乏学生としては心休まらないわけです。
そこに加えて1800年代に建てられたこのボロアパートは断熱材といった気の利いたものは一切施していないために、部屋の壁が結露してそこにカビが生えるというおぞましさです。
この前大雨が降った際、ケーブルテレビが映らなくなり、電話にてテレビ会社に苦言を呈したところ、電話口のオペレーターが「私の言うとおりにやってみてください。まずケーブルを壁から抜いてみてください・・・。」という指示に従って、普段は机の影に隠れているケーブルを抜くために机をずらしたところ、壁にビッチリとカビが生えていて思わずのけぞってしまいました。
この冬場の寒さと湿気にはホトホト嫌気がさしておりましたので、実は植物園に「植物園内付設のコテッジに移りたい」と希望を出しておりました。
このコテッジは植物園の温室を暖めるボイラーと熱源を共にしているため、冬場でも確実に24時間暖かいのです。
洗濯物も即乾燥です。
しかしこのコテッジは毎年9月に入ってくる新入生に優先権があり、わずか2部屋は大抵スグに埋まってしまいます。
僕は希望は出したものの、新入生の希望がなかった場合にのみ引越しとなるということでまさに日々祈る思いでした。
結論としては、あっさりと希望者が2名に達し、僕は引き続きこの寒さと湿気と共にもう一度冬を越さねばならなくなったのでした。
我が部屋にては寝るときに暖房を切るのですが、ひどいときは吐く息が白くなるほどです。
コテッジの件があまり期待できないと悟った、とある日に街のアウトドア屋にて「セール」の文字が目に留まり、ホンのちょっとだけ安くなっていた寝袋を衝動買いしてしまいました。
寝袋は昨年「夏1シーズン用」というのを買って普段布団の上に掛けて使ったりしていたのですが、それとて焼け石に水。
よって今回は「3シーズン対応」「適応温度マイナス7度」という強力なやつを手に入れました。
まだこれを使うにはチト早いとは思いましたが、はやる心を抑えきれず、部屋で早速この寝袋に包まってみました。
さすがにマイナス7度まで耐えうるだけあってむせ返るほどの暑さです。
とても現段階ではこれでは眠れずクルクルと巻いてしまいました。
来る寒さにおびえつつも、これでどこか楽しみというフクザツな自己満足にひたりました。
アパートでも人の入替えがあり、僕の向かいの部屋も9月1日に新しい住人が来ると大家のオバちゃんから聞いていたので、引越しの気配を感じて挨拶に行くとそこにいたのはギャビンという見覚えのある男性でした。
昨年このアパートに僕が引越してきたときに、大家のオバちゃんが所有する近所の別のアパートで見かけた男性です。
そのときは丁度そのギャビンのいるアパートに父親に付き添われた若い女の子が部屋を見に来ていたのですが、付き添いの父親が「こんな若い男2人が住むアパートに娘を入れて大丈夫か」という顔をしていましたが、その父親の表情をみた大家のオバちゃんが僕の耳元でこんなことを言いました。
「あのお父さん、ここの男の子2人のこと心配しているみたいだけど、そんな心配はいらないのよ。」
「エッ?どうしてです?」
「だって、あの2人はゲイなのよ。彼女には興味がないはずよ。うふふっ。」
うふふっ・・・て、そのときの一人が僕の部屋のお向かいに引越してきたわけです。
この国はゲイにとてもオープンで随分慣れてきましたが、それでもときどき驚かされます。
口説かれたり、襲われたりすることはないのは分かっていてもナンカ複雑な気分でした。
まぁオバちゃんも口から先に生まれたのでは?というほどお喋りなオバちゃんですので、情報の信憑性にはいささか疑問が残りますが、確かめようもなく、また、確かめたところでどうなるものでもなく、ってところです。
そんな9月の始まりです。
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