どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2017年1月25日水曜日

2004年11月05日 「ボートと木こり」



秋深し、でしょうか。

当地は先週末、サマータイムが終わり時計の針を1時間戻して本格的な冬への準備が整った感じです。

日の暮れるのの早いこと、早いこと。

昨日締め切りのレポートが終わり現在ホッとしてこれを書いています。

レポートの度に感じるのは自分の英語力の無さです。

頭の中にどんな素晴らしいアイディアがあろうと、それを表現できなければ何の意味も持たない、というその歯がゆさにイライラする訳です。

結局、ある程度書き上げて最終的にはイギリス人の僕のアイディアを酌んでくれる人を探して「添削」してもらうのですが、心の中では「40近くにもなってこんなことを他人に手伝って貰うってのもねぇ・・・」とかなり抵抗がある訳です。

日本語であればこの通りスラスラと幾らでも出てくるのに・・・。
ちぇっ、ってカンジです。

さて最近のトピックスはやはりなんといっても「ボートを始めた」でしょうか。

近所の「パットニー・タウン・ローイングクラブ」の門をたたき、2週間前に始めました。

テムズ川でボートを漕ぐ。
良いカンジです。

天気が良いと本当に素晴らしいですが、初日は土砂降りの中、初漕ぎをしてあわや風邪をひくところでした。

ボートを漕ぐっていっても所詮初心者ですので、現在はコーチつきっきりで毎土曜日に1時間ほど練習をします。

上手く漕げればそれは素晴らしいでしょうが、今はいかにちゃん
とオールで水を捕らえるか、で四苦八苦していてまだまだ「漕いでるっ!」という実感はありません。

テムズ川っていうのも初めて身近に感じましたが、感想は「クサイ」に尽きるでしょう。

ボートを艇庫から出して、川に浮かべ、終了時は逆に川から取り上げるのですが、その際素足で川に入ります。

その水に使った部分はかなり臭う気がします。

漕いでいても跳ねる水しぶきが掛かったシャツなどは臭う気がします。

イエ、「気」ではなく明らかに臭います。

さらに素足で水に入らなくていいように、ロッカールームにゴム長靴が沢山あって、どれを履いても良いといわれて初日に履いてみたのですが、長靴の中は既に水浸しですし、誰が履いていたかもしれない長靴で水虫にでうつされた日には目もあてられませんので、素足にしたわけです。

まあ、これから本格的な冬ではありますが、コツコツと練習をして、来春あたりには草レースにでも出れれば良いな、と思っております。

この年で始める新たなスポーツ、かなり刺激的で良いです。

学校というか仕事は申し上げた通り、10月からキューガーデンの木こりのようなことをしています。

チェーンソーを使ったり、木に登ったり、身体を使った内容でとても気に入っています。

木に登るといっても20~30メートル程度の木にも登るため装備的にはもはやロッククライミングです。

ハーネスをつけて、ロープを吊って安全を確保します。

登っていくには腕力がモノをいって、ボート、仕事と益々肉体派になっていく気がします。

写真で高さが伝わるでしょうか。

セイヨウボダイジュに登っている様子です。

この週末は久々にレポートから解放されて、のんびりしようと考えています。

クリスマス締め切りのレポートが控えてはいますが・・・・。

それではまた。

2016年3月10日木曜日

2004年10月23日 「パリ不思議体験の記」


前略

先週末に月、火とくっつけて3泊4日でパリに行ってきました。

実は一ヶ月ほど前に高校時代の後輩の女の子から「パリに行きますが会いませんか?」とメールが来て、かねがね「パリには行かねば」という気持ちがあったので、「OK!パリで逢いましょう」となりました。

その彼女は相当な歌舞伎ファンで現在パリで行われている市川海老蔵の襲名披露を見るためだけに遥々やってきた模様。

なんていったって土曜日の夜来て日曜日に歌舞伎を観て月曜日の昼過ぎには帰っちゃいましたから。

「時間が許せば一緒に見に行きませんか?」というので、時間は許すけどチケット代が許せばネ、とかえしたところマアマア手の届く範囲でしたのでパリにて歌舞伎初体験をいたしました。

そもそもミュージカルなどは必ず途中で寝てしまうタイプなので、「歌舞伎なんて大丈夫か?」という不安がありましたが、開演前に彼女の熱心な解説で予習をした結果、かなり楽しんでしまいました。

というか、面白かったですし、日本人であることを誇りに感じたりして。

つくづく自分の教養の無さに嫌気はさしましたが。

当たり前ですが、ホンモノの歌舞伎。

ホンモノの日本文化。舞台、流れてくる音楽など、日本で過ごした小さい頃をフト想い出してムショーに懐かしくなりました。

というのは僕の祖父がこういったのが好きでテープなどを流して聞いていたのでそれを想い出したこと。

さらに、小学生の頃見ていたNHKの「新・里見八犬伝」の舞台に
多少通づるところがあったこと、などで一気に胸がきゅーっとなってしまいました。

舞台の上にはフランス語で字幕が出る仕組みになっていてフランス人にも分かるようになっています。

日本語の字幕も出せばいいのに・・・。

演目は①鳥辺山心中②口上③鏡獅子で、口上はフランス語を交えてで、「にらみ」なども初めてナマで見ました。

隣に座った彼女が「ニラまれると良い事があるんですよ」なんて解説してくれて、「おおー、こっちニラまないかなぁー」とこぶしを固め
て期待したりしましたが、どうやら視線はあさっての方を向いていた気がします。

更にパリ在住のやはり高校時代の後輩(といっても全く面識無し)も合流し、中近東でよくあるシーシャという水タバコを体験したり、その後ベトナム料理屋でフォーという麺を食べたり、DIMEという日本の雑誌にある「前頭葉刺激地帯」という記事で見かけたことのあるミドリという和食屋で寿司を食べたり、「一体オレは何処にいるのだ?日本か、パリか、ベトナムか、はたまた中近東か??」ととても不思議な気分でした。

加えてこの高校時代の後輩の女の子たちは、確かに同時期に同じ学校、寮にいたことは事実ではありますが、それほどというか全く親しかった訳でもないのにこうやってフランスの空の下で時を越えて再会を果たすというのはとても不思議なものがありました。

さて、宿は相変わらず貧乏旅行でパリにてテントを張りキャンプしました。

初日は様子があまり分からず夜中にかなり寒い思いをしましたが、翌日以降は装備も整えてそれなりに快適なキャンピング・ライフでした。
因みに一泊11ユーロ也。

一方、その日本から来た後輩の女の子とは彼女のホテルのロビーで待ち合わせしましたが、それはそれは豪勢なホテルでたまげてしまいました。
因みに一泊300ユーロ也。

彼女が帰った後はかねてからの「やらねばリスト」に長期間登載してあった「モネの庭訪問」を果たすこととなりました。

これはジベルニーというパリから電車で約1時間いったところにあり、モネが創作活動をした家があり、併設の庭には彼が描いて有名になったハスが浮かぶ池のある庭があります。

この庭に対する期待があまりにも大きかったため、現物を見てかなりガッカリしてしまいました。

彼の絵でみるから良いのであって、庭としてのレベルはあまり高くないと感じました。

例えば鉢植えの鉢はテラコッタではなく、既成のプラスチックの鉢ばかりです。

更に日本人観光客のツアースポットになっているようで、次から次へと観光バスが日本人団体を連れてきます。

「スミマセーン、シャッター押してもらえますかぁ?」とおばさんに言われシャッターを押したのがキャノンのイクシーなるデジカメ。

液晶モニターがバカでかく、ボディーが驚くほど薄く、「いまどきのイクシーってこんななのかっ!?いいなー。しいなー」と自分のレンガ、もしくは豆腐一丁のようなデジカメを見て切に思いまし
た。

凄いですね、日本のテクノロジーって奴は。

家の中も見学できるようになっており、モネが収集した広重などの浮世絵のコレクションが圧巻です。

特に歌舞伎を観た直後で、妙に日本伝統文化鑑賞モードが異常に高くなっているときでしたので、庭そっちのけで浮世絵を堪能しました。

これ一枚をくすねて、テレビ東京のお宝鑑定にだしたら幾らつくだろうか・・・などと下世話なことを考えておりました。

最後に。

イギリス人はフランス人が嫌いで、フランス人はイギリス人が嫌い。というのは一般論ですが、やはりそうかな、と。

というのは英語で話しかけても本当に冷たいものでした。

道に迷ってもあまり親切には教えてくれません。

明らかに分かっているのに英語では答えてくれませんでした。

フランスなんだからフランス語で、というのは当然のスジではありますが、困ってるんだから答えてくれたっていいじゃんサ、とかなりカチンときました。

これは都会だからでしょうね。

田舎ではあまりこういう経験はしませんでした。

写真を2枚。

一枚はなにやら怪しげな、水タバコ喫茶で水タバコに耽るワタクシ。因みにワタクシは喫煙しませんが後輩が「私もタバコは吸いませんが水タバコは大丈夫です。絶対楽しめます」と説得され恐る恐る吸ってみたところこれが本当に楽しめました。

二枚目はパリの夕暮れ。セーヌ川沿いにエッフェル塔が見えます。ロンドンの方が庶民的で好きですね。

ではまた。



2016年2月9日火曜日

2004年10月11日 「秋~悲しき近況など」



つい昨日、忙しくなってきたけど調子は良いカンジです、なんてことをいったばかりですが・・・。

今朝は日曜日だってのに、6時半から起きて、月曜日にある植物名の試験に向け机に向かい、朝食もしっかりと作って食べて、「今日はやることが山ほどあるあるのだ。時間はムダには出来ん」と庭仕事のバイトに繰り出すべく我が愛車(自転車)で出掛けようとしました。

そこで見た光景を理解するのにしばらく時間が掛かりました。

というのは自転車が無いのです。

さらに地面にはチェーン錠が落ちています。

「アレ、酔ってパブに自転車を置いてきたっけかな・・・」などとつらつらと考えつつ、落ちていたチェーン錠を拾い上げて納得。

盗まれたのです。

どうやら犯人は昨晩僕が帰宅した21:00から今までの間に明らかに狙いをつけて僕の自転車を奪っていったようです。

というのは、自転車の盗難は結構頻繁にあることなので、かなりシッカリとした鍵をつけており、気まぐれで失敬、といったものではなく専用の鍵カッターを使った大胆なプロの犯行です。

無残に切られた鍵の残骸をみて力が抜けましたが、ここまでくると「あっぱれ!お見事!!」と褒めたくなってしまいますね。


これで盗られるのだったら何をしても無駄といったところです。

まあこんなことは英国ではよくあることなので、「超・高級自転車」には乗っておらず、かといってそれなりに遠出など快適に出来るものというコンセプトで自転車を選びましたので、そりゃショックですが、回復もまあまあ早いです。

困るのは、この自転車につけてあった前後のライトも自転車ごと消え失せたこと、鍵も壊されたこと。

自転車は必需品で無いと生活に支障をきたしますので、気持ちを入れ替え早速新車を買いましたが、これに合わせてライト前後と鍵をも新調せねばならず、かなりの痛手です。

自転車屋で店員の「×××ポンドです」という声を聞いて思わず「アウチっ!!」と言ってしまったほどです。

鍵は今度はまさにケチらず最高のものを買いましたが、これとてその気になったプロが狙えば赤子の首をひねるが如く、でしょう。

警察に知らせたところで出てくる確率はほぼゼロでしょう。

でも大家夫婦はかなり同情してくれて、警察に被害届を出して、それをもとに「大家の自転車だった」ということにして大家の「家財保険」を請求してくれるとのこと。

上手くいくかは分かりませんがいずれにしても有難いことではあります。

英国に来て、犯罪の憂き目にはこれまで遭ったことがなかったので、ちょっとショックです。

でもこれが自転車でよかったな、とも。

これがパソコンだったり、あるいは自分自身だったりして怪我はたまた命を落とすようなことでなくて良かったです。

おかげで今日の予定は狂いっぱなしで困ったモンです。

自転車を新調したってのにちっとも嬉しくないですよ。

アンニュイな日曜日の夕方でございます。

ではまた。ごきげんよう。


タテバヤシ

追伸)このアンニュイって今日の今日まで「日本語」だと思っていましたが違うんですね。
変換しようとしても全然ダメなので辞書を引いてみたらナント、ENNUI、フランス語だったとは知りませんでした。
知ってました?


2016年1月26日火曜日

2004年10月10日 「秋~多忙なる近況など」



秋深しといった風情です。

今月末にはサマータイムが終了し冬に向け一直線ですが、最近の朝の暗いこと。

植物園まで自転車をこいでいくのですがその間は前後共にライトを点けないと危ないほどです。

そして吐く息はどこなく白い。

「きこり」セクションに移り一週間が経ちました。

最近のトピックスを幾つか。

まず本日、かねてから念願だったボートクラブに加入しました。

これは近所にあるボートのクラブで「パットニータウン・ローイングクラブ」といって、テムズ川でボートを漕ぐというもの。

シングルスカル、ダブルスカルといったスカル、そしてフォア、エイトといったボートまであって今日は植物園の仲間であるアンディと二人で入会申し込みをしました。

という訳でこれから週末は二人して、初めて挑戦するボートなるもので汗を流し、新境地を開こうというのものです。

思えば最近は運動はサボリ気味でしたので何かしらこうやって強制的にでも身体を動かすというのはいいもんではないかと思います。

これから2回の新入向けのセッションを経て晴れてテムズ川にデビューします。

そしてキューガーデンで英国を代表する2名の有名女性にこの半年内で会いました。

というか目撃しました。

一人目は女王陛下、クイーンエリザベスです。

彼女はモノモノしい警備の中、御付をゾロゾロ引きつれ、キューガーデン名物のパームハウスを見に来ました。

そして二人目は元英国首相マーガレット・サッチャー。

これは昨日、やはりパームハウスを中心に来園した様で女王に比べれば格段に少人数の御連れとともに園内を歩く姿を目撃しました。

「これが鉄の女と呼ばれたサッチャーかぁ」と感心はしましたが、女王、サッチャーともにたんなる老婦人といった感じでさほど感動はしませんでした。

僕にとってはやはりイングランドラグビー「元」キャプテンのローレンス・デラーリオに近所のスーパーで遭遇した時のほうが100万倍コーフンしました。

トピックス最後としては再来週に3泊4日でパリに行ってきます。

特筆すべきは渡英以来貯めてきたスーパーでのポイントを今回は初めて使ってパリ=ロンドン往復をほぼタダでやってしまおうということです。

スーパーでポイントをコツコツ貯めるジョンを笑ってきましたがついに僕もスーパーのポイントで旅をするようになりました。

パリでは当然買物が目的ではなく、今月一杯開園のモネの庭を訪ねることです。

のモネの庭はワタクシの「やらねばリスト」にかなりの長期間に渡って登載してあったのもので、ついに念願かなうとったところです。でも蓮などの季節は過ぎているためちょっと寂しい庭だとは思いますが。

貧乏旅行は相変わらずで、パリという大都会でありながら宿泊はシャンゼリゼから15分という場所にあるキャンプサイトでキャンプです。

なんと一泊11ユーロ。

い。

パリでキャンプとは逆になかなか粋ではないかと、今から楽しみです。

課題、試験など最近はちょっと忙しくなってきました。

コレに加えてボート、さらには庭仕事のバイト・・・なんて大丈夫かしら、と一抹の不安はありますが、ともかくはやってみようと。

テムズ川にデビューしましたらば、また改めてご報告いたします。

写真は最近湖水地方に山歩きに行ったときのもの。

ちょっと気取っております。

では、また。

2015年11月25日水曜日

2004年10月04日 「邂逅」



10月に入り、当地はめっきり秋めいてきました。

紅葉も一部の木々では盛りになっていたりして秋深しといった風情です。

日本では台風の影響で一部では桜が満開になった場所もあるとか。

専門家の話で「葉っぱが台風で散ってしまい、その後気温があがり、桜が春と勘違いしてオーキシン、ジベレリンといった成長ホルモンに影響を及ぼしたのでしょう・・・」などというコメントを目にしましたが、私が現在学んでいることの一部はこういった成長ホルモンの役割だったりするので大変興味深く、是非この目で10月に満開の桜を見てみたいものだと思ったりしておりました。

さて、英国に渡りかれこれ丸5年、銀行員を辞めて約6年が経ちます。

しばらくの間は「勘定が合わない・・・」などと青くなる夢をたまに見ては寝ながらにして全身が硬直したりしていましたが、時間の経過とともにそんな夢も見なくなってきました。

昨日、あるプレゼンテーションをするために必要な写真が見つからず、「確かどっかのフロッピーにいれた気がする」と手持ちのフロッピーをかたっぱしから開いていきました。

最近は大容量のフラッシュ・メモリなんて便利なものがあるので、フロッピーを使う機会がガクッと減り、手持ちのフロッピーはまさにお蔵入り状態でした。

そしてある一枚を開いたとたん・・・、期せずして6年振りの邂逅を果たすことになりました。

そのフロッピーには退職時に引継ぎとしてつくった様々な資料が入っていたのです。

「事務体制計画」だとか、あとは諸々具体的に顧客別に対応方法、ペンディング事項、日程事務などが綿々と綴ってあります。

そこにある顧客名などを眺めていると一種の懐かしさがこみ上げてきて、毎日スーツを着て通勤していた自分の姿など想い出し、なんとも狂おしい気分になり、こんなメールを書いてしまっている訳です。

しかし、自分の書いた引継ぎ書類なのに、専門用語(銀行用語)などの部分で、もはや理解できない、というか覚えていないことがかなりあるのには驚きです。

失った記憶に対する一抹の寂しさはありますが、そのころは「成長ホルモン」が云々などとはいっていなかったでしょうから、その後得たものとでチャラかなとも思います。

その書類をしばらく眺めて「結構マジメな銀行員だったんだ・・・」と妙に感心してしまったのでした。

それにしてもたった一枚のフロッピーがかくも多くの記憶を鮮明に呼び起こすとは、とても不思議な気分です。

そんな、秋の郷愁を綴ってみました。
どうぞお元気で。

(追伸 : この発見したフロッピーは元・銀行員のモラルに則り、守秘義務の見地からフォーマットしました)

2015年10月21日水曜日

2004年09月26日 「暖房点火・・・」


早くも9月後半。

現在当地は日の出06:52、日の入18:51、最高気温15度、最低気温9度と数字の上でもメッキリ秋らしくなってきました。

特に天気が良くても涼しいというか、ちょっと肌寒い感じで、我が家にもいつの間にか暖房がはいり、冬に向け一直線です。

近所のパブには早くも暖炉に火がくべられて秋を通り越して冬の風情です。

短パンでこの数ヶ月過ごしてきましたがそろそろ潮時のようです。

一応、意地もあって9月一杯はなんとしても短パンで乗り切ろうとは思っていますが。

夏の間にロンドン市内に出た際、日本食材店で「そーめん」を買ったのですが、買って一安心して、生来の貧乏性が頭をもたげて、そのそーめんはもったいなくてなかなか食べれずについにこの秋に突入してしまいました。

身から出た錆です。

寒くてそうめん気分ではとてもありませんが賞味期限が切れる前にこのそーめんを胃袋に納めようと思います。

ついでに言えば「冷やし中華」も一袋あるんです。

しかも賞味期限が今年11月のものが。

来夏までは待てそうにないので、「夏の味・秋の陣」を一人寂しく展開する予定です。

暑い盛りに食っておけば良かった・・・。

今僕は植物園で、バラのパーゴラの手入れをしていて、約一年間所属してた「ハーディー・デョイスプレイ」といういわば花壇などの面倒をみていたセクションから今度は高木、潅木といった「木」の面倒をみるセクションに10月から変わります。

キューガーデン内のきこりみたいなものですね。

一年生の一ヶ月に渡る「導入期間」も今月一杯で終了し彼らも10月から各セクションに散っていき、僕もこれから本格的2年生の生活が始まります。

毎週金曜日の20:00よりBBCで「A YEAR AT KEW」というキュー・ガーデンを一年がかりで追った12回シリーズの番組が放映中で、その第7、第9シリーズに僕もチョイとでているとのことで、果たしてどんなカンジで出るのか今からちょっと楽しみでもあります。

主役ではありませんので相当カットされてせいぜい10秒程度の
ものだと思いますが。

このTVシリーズに合わせてBBCから本も出版され、そこにもホンの少々写真が載っています。

別に自分が出版した本でもないし、自分が大きく載っている訳でもないのに、街中の本屋にこの本が並んでいるとチョッとドキドキしたりしてしまうのは小市民の証といったところでしょうか。

試験終了後約3ヶ月ダラダラとノンビリしてきましたが、そろそろレポートの締め切りなど気になりだして、学生本来の現実へと戻らねばなりません。

これと、この秋→冬へと加速していく風情になんとなくブルーになってしまう今日この頃です。

日本はこれからが一年のうちで良い季節ですね。

食欲の秋、芸術の秋・・・、どうぞ楽しい秋でありますよう。

では、また。

2015年8月23日日曜日

2004年09月13日 「秋到来・・・最近の映画の話など」



前略

昨日3年生の卒業式があり、月曜日から新入生を迎え、ワタクシはめでたく2年生になります。

キューの3年間で一番シンドイのが2年生、と兼々聞かされているのでこの先一年間、とても不安ではあります。

日本では3月、4月の桜の咲く頃が出会い、別れの季節ではありますが、英国ではこの秋という季節が節目となります。

昨年ドキドキして初日を迎えてから早一年か、と思うと残り2年間もアッという間でしょうね。

さて、昨日今日と急激に秋めいてきました。

具体的にいうと特に日没後に気温がグッと下がり、上着を着ないと寒いカンジです。

加えて日没も日ごと2分づつ短くなってきているようで何か寂しい気がします。

差し迫ったレポート・試験からは現在解放されているため、毎日のほほんと過ごしています。

数週間前にハマースミスというキューから自転車で15分ほど離れた繁華街にある映画館の会員になりました。

会員は毎月9.99ポンド(約2000円)の会費を銀行引き落としにして、あとは好きな時に好きなだけ上映中の映画が見れるというもの。

月に3回ほど見れば元が取れる計算です。

これまで
1.「スパイダーマン2」
2.「ボーン・スープリマシー」
3.「モーターサイクル・ダイアリーズ」
4.「ターミナル」
5.「スーパーサイズ・ミー」
6.「オープン・ウオーター」
と6本を見て元は取りました。

定額なので駄作だろうが、傑作だろうが暇があれば見てやろうという作戦です。
(さすがにキャット・ウーマンを見るほどのヒマは無かったですが・・・)

1、2、4はハリウッドの定番という感じで、まあこんなもんかというカンジですが3は良かったですよ。

二人の医学生が南米大陸をオンボロバイクで縦断しそこで起こ
る様々な出来事のお話で、南米の景色がとてもキレイで、行ってみたいという気持ちに駆られました。

5は30日間マクドナルドのメニューを3食食べ続けたらどうなるのか、といういわばドキュメントですが、これもなかなか楽しめました。

日本版で3食「松屋」で30日過ごしたらどうなるかというのも作れそうな気がします。

お米、生卵ご飯などに飢えている僕としてはチャレンジしてみたい気もしないでもありません。

そして6。
フクザツな映画でした。というのは映画そのものはとてもシンプルでお金もどうやら日本円にして1000万円程度しか掛かっていない低予算映画らしいですが、終り方がとても切なく虚しくて、どうやってこの映画を受け止めたものかチョッと悩んでしまうからです。(駄作のような気もするし、傑作のような気もするし・・・)

物語は夫婦のダイバーがサメがウヨウヨいる大海原に取り残されるという古典的なもので、サメを扱ったジョーズなどの展開を予想してあまり期待せずに見に行ったのですが、低予算だけあって特殊効果などはなく、シンプルな分とてもリアルでした。

ワタクシは映画評論家ではありませんので、あくまでも独断ですが。

映画館からの帰り秋風に吹かれながらペダルをこいで家路に着いたのでした。

添付写真は昨日の卒業式直前のもの。

卒業式故、3年生が主役ですが、一年生も「総合の主席」「植物生理学のテストでの最高得点者」「ベスト・プレゼンテーション」などに賞が与えられ、一緒に写真に収まったジム君(40歳。バリバリのゲイ)は植物生理学の最高得点をとり、ワタクシ(39歳。バリバリのストレート)は僭越ながらベスト・プレゼンテーション賞を受
賞しました。

二人してちょっとおめかしして、式直前に近所のパブで祝杯をあげているところです。

因みに総合の主席はサラ(39歳。バリバリのこれまたゲイ)がと
り、くしくもクラス高齢者が賞を独占したカタチになりました。

ネクタイなぞするのは一年に一度あるかないかですので貴重な画像と申せましょう。