どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2011年8月19日金曜日

2000年08月05日 「悪夢ふたたび・・・」

ヨークからケンブリッジに向かう列車から


昨日は日帰りでヨークからケンブリッジまで行ってきました。

目的は3つ。
①社会保険の申請に関して保険事務所で面接があった 
②アパート探し 
③自分の畑で育てた野菜を世話になった知人宅に届ける

9月からケンブリッジ大学の植物園での生活が始まります。
引越しの時には友人から譲ってもらった自転車を持っていきたいと思い、そのときの手間を減らすべく昨日は電車に自転車をのせて、知人宅に野菜を届けるついでにしばし預かってもらおうという作戦です。

よって寮を出てから目的地まで自転車を伴い、背負ったリュックには畑で収穫したタマネギ、エンドウマメ、ラディッシュなどを満載し、さながら戦時中の買出しといったかんじでした。
タマネギは新鮮なためかとてもニオイがきつくて、特に電車のなかではヒヤヒヤしました。

ケンブリッジの保険事務所は職安と機能が一緒になっているらしく、それっぽいいでたちの人たちが沢山相談にきていました。

相談カウンターは厳重なガラス張りになっていて、例えるならアメリカ映画でよく見かける囚人と面会するようなかんじと申しましょうか。
社会保険の面接は別室なのですが、順番を待つのは同じ待合わせ室で辺りを観察しているとカウンター越しに「今日125ポンド払わねぇとマズイんだよぉ。どうにかしてくれよぉ」と突っかかっているオジサンがいたりして厳重なガラス張りというのも頷けるのでした。

アパート探しは1日では決め難くてもう少し時間が掛かりそうです。

夕方、重い野菜をかついでケンブリッジ市内からおよそ8キロ離れた町の知人宅に野菜を届けて夕食を御馳走になりました。

そもそも彼が「会社を辞めてそういう道をすすむのも良いんじゃぁない?こういう園芸学校もあるよ。」と紹介してくれた張本人で、その彼に一年の成果を報告して自分の育てた野菜を食べてもらいたかったのです。

ヨーク行きの最終電車が19:57で、ケンブリッジ駅まで車で送ってもらいました。

ヨークとケンブリッジはなかなか不便に繋がっており、途中ピーターバラというところで乗り換えなくてはなりません。
乗り継ぎが悪くてピーターバラでは1時間待たねばならなかったので、迷わず近所のパブに行きました。
軽く飲んで頃合いをみて駅にもどると、モニターに「ヨーク行き:キャンセル」と出ています。
駅員に尋ねるとポイント故障だかなんだかで来ませんとアッサリ言い放ちます。
しかし代わりにヨークよりも北のニューカッスルに行く列車がくるのでそれに乗ってくださいとのことで一安心。

遅れてきた電車に乗ってヨークの手前の駅であるドンカスター駅についたころ猛烈な眠気が襲ってきました。
しばしウトウトしてハッと気が付き外をみると電車は止まっていてYorkという看板が見えました。

「ヤバッ!」と慌てて出口に走ったものの非情にも電車はゴトッゴトッと動き始めました。

万事休す。

しばらく頭の中が真っ白でしたが、どうにか我にかえり次の駅で降りるか、それともこのまま乗り続けるか善後策を考えました。

次の駅といっても山手線ではありませんので、ヨークからはかなり離れています。

しかも駅名も Northallerton と聞いたこともなければ、発音もできないような駅で、へたに下車すると本当に何もないところでエジンバラ野宿よりもツライことになりそうでした。

日中は天気もよく日帰りでしたので短パン、ポロシャツ、ウインドブレーカーという軽装であったので今度こそ野宿というわけにはいきません。

「そうだ。車掌に相談しよう!」

なんでこんな簡単なことを真先に気付かないのでしょうか。
そもそも当初予定していた電車がキャンセルになったからこんなことになった、くらいの言いがかりでもつけてやるくらいの気迫が必要だと気合を入れて相談しました。
車掌は時刻表を見て、無線でどこかに連絡して、出てきた答えが次のダーリントン駅で降りなさいでした。

そうすれば02:45にヨークに行く電車がくると言います。

悪夢再び。

最悪のシナリオである野宿は避けられそうですが、2:45ってその時点で2時間以上もあります。
ダーリントン駅に降りると案の定、店などはただの一軒も開いておらず誰もいやしません。
この寒い駅のホームにいるのも耐えられず、気持ちを前向きに切り換えて電車がくるまでの約2時間ダーリントンの町をウロウロと徘徊して寂しい時間を過ごしました。

結局その電車に乗って寮に戻ったのは午前4時でした。
2度あることは3度あると言いますが、もう結構です。


無人のダーリントン駅


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