どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2011年11月28日月曜日

2000年11月19日 「夢」



平和な週末を過ごしています。

整理整頓、掃除、洗濯などをこなし、テレビにてイングランドvsオーストラリアのラグビーの試合を観戦し、借りてきたビデオを鑑賞し、アルコールを嗜んで・・・とリラックスしております。

金曜日の深夜というか土曜日の早朝はしし座流星群が見れるとのことで、午前3時に目覚ましをセットして植物園に出掛けました。

街中は街灯が明るいので植物園のなかならよく見えるかなという魂胆でした。

結果は月が明るすぎたことと、曇りがちだったために期待したほどは見えませんでしたが、それでも約1時間のあいだに30個以上見えたでしょうか。

こちらではそれほどしし座流星群などと騒いではおらず、ラジオや新聞でちょっと触れる程度で、朝3時に口を開けて空を見上げている不審者は僕くらいのようでした。

寒さもありアパートに足早に戻り2度寝をきめたのですが、そのときに夢をみました。

植物園の花壇をの手入れをしていると手入れをしたばかりの場所に金髪で3歳くらいの子供が踏み入れてきました。
僕はその子供の横にいた金髪のお母さんに「あのー、すみませんけど花壇に入らないでくださいませんか。」と遠慮がちに注意するというもの。

それだけの夢です。

しかし金髪のお母さんには英語ではなく、しっかり日本語で注意していました。

英語で夢をみるなんてことは、それこそ「夢」ってかんじでしょうか。

2011年11月16日水曜日

2000年11月11日 「自転車」


あれよあれよと日が短くなって現在は日の出7:12、日の入16:17となりました。
12月21日の冬至に向けてさらに日は短くなっていきます。

こうなると植物園から家路につくころは暗くて、自転車に乗るときにはライトが不可欠となります。

この国の自転車事情というのも日本のそれとはかなり異なっていると感じます。

まず自転車の扱いと申しますか、立場はあくまでも自動車同様、車両だということが徹底されています。

よって自転車は車道をはしるのが原則で、車道には丁寧に自転車用のレーンがひいてある場合が多いです。

当たり前といってしまえばそれまでですが、皆さん信号もキッチリ守っています。
赤でも車が来なけりゃ行け行けとやっていた僕の感覚からすると皆とても優等生で、何もそこまでやらなくてもというくらいジッと青になるのを待っています。

信号を待つその人をよく見ると頭にはヘルメット、身体には蛍光反射テープのタスキをかけています。

これはどうやら任意のようですが、かなりの人がそんな格好をして自転車に乗っています。

自転車で左折、右折時にはキッチリと曲がりたい方向に腕をまっすぐ伸ばして方向指示します。
そして夜間にこの方向指示をより確実なものにするため、両手首に蛍光反射テープを巻いている人もいます。

夜間自転車の前方にはライト、後方には赤い尾灯をつけるのは義務であり、違反の場合は罰金があるらしく、例外なく皆ピカピカしています。

日本でよく見かける無灯火、二人乗りはまずこの国では見かけません。

郷に入れば郷にしたがえ。
そんなわけでいつしか僕も「ここは左ダッ」というときにはシャキーンと左手を水平に伸ばしアピールに努めるようになりました。

ほんのちょっとだけそこに見える郵便ポストまで歩道を自転車で逆走したときの「ナニ、この東洋人はまったく。危ないわねー。」という冷たくてスルドイ視線を忘れることができません。

ケンブリッジという街は英国内でもオックスフォードと並んで自転車で有名な街で、自転車屋の数も他の街に比べると圧倒的に多いですし、皆自転車で街を行き交っています。

それにはちょっとした理由があるのかなと想像します。
朝、夕の自動車による市内の渋滞が激しくてラッシュ時にはニッチモサッチもいかなくなるので、できる限り自転車をつかって渋滞を避けようとしているのではないかと。

そして学生の街ですのでコストの安い自転車がポピュラーなのではないかと思う次第です。

自転車の盗難も異常に多いようで、「そんな大袈裟な・・・」と呆れるほど頑丈な鍵をしている人をよく見かけます。

植物園の自転車好きの若手スタッフのマークは「この自転車はアルミフレームで10キロ切ってるのヨ。」と自慢していましたが、その鍵が3キロもあって何のための軽量化なのかと思うと笑ってしまいます。

余談ですが彼の自転車は前方に強力なライトを装備しており、そのライトのためのバッテリーが数キロあるという重さで、せっかくのアルミフレームが泣きます。

僕が現在乗っている自転車はヨークのクラスメイトがホレッとくれたものでボロボロのヨレヨレ自転車です。

サドルは裂け、あちこちに錆が浮き、油不足のためか「キーコキーコ」と神経にさわる音がしますが、僕はこれでちょうど良かったかなと思っています。

良い自転車を買ってもすぐに盗られてしまうのが関の山ですし、アパートの駐輪場は雨ざらしですから。
このボロを狙う輩はそうそういないと思われます。

そんなわけで無いと相当不便するケンブリッジ自転車事情についてお知らせしました。



2011年11月11日金曜日

2000年11月04日 「洪水」



御存知でしたでしょうか。

現在当地は1947年以来の水害に見舞われております。
しかも最大の被害がでているのがなんとヨークです。

先月末から雨が多く風も強く「オオッ、荒れてる荒れてる」とは思っていましたが、そのときの洪水被害はヨークのようなイングランド北部ではなくケント、エセックスといった南部でした。
ロンドンにいる銀行員時代の友人によると、出張のときに乗った飛行機の窓から見えた景色はニュースでの報道通り一面水浸しだったらしいです。
そして降り続ける雨が今度は北部に及び、もともと水はけのよくない土地にもってきての大雨で大被害を巻き起こしたということのようです。

昨日ヨークの学校に電話をしてみましたが、学校には被害はでていないらしいですがヨークの街の中心地はカヌーやカヤックが大活躍しているのだとか。

地元ニュースはもちろん、CNNのワールドニュースでもかなり大きく取り上げられています。

ところが日本のメディアに目を向けてみるとほとんど触れられておらず、改めてお互いの温度差というか「遠い国同士なのね」と感じてしまいました。

今日土曜日は快晴なのですが明日は再び大雨の予報がでていて、イングランド北部は戦々恐々としています。

僕が現在いるケンブリッジはさほど深刻な被害はでておらず平和なものですが、もし洪水があったら僕の部屋は1階で、道路とほぼ同じ高さにあるので一発でアウトだと思われます。

日本は小春日和の平和な3連休かと思います。

僕は風邪を完治させるべくこの週末はおとなしくしているつもりです。

では、また。



2011年11月5日土曜日

2000年11月03日 「風邪をひきました」



風邪を引きました。

大したことはないのですが。

最近植物園でははやっていて、順番に風邪をひいているようなかんじです。

しかし、僕の場合は流行にながされたというよりも今週から本格的に通いだしたプールが原因ではないかと思っています。

先週ようやく「ケンブリッジ市民カード・学生版」というものをつくりました。
これによりプールが格安で利用できるというので一ヶ月の定期を購入して毎日通うことにしました。
定期は通常5000円しますが、このカードを使って購入すると1800円になります。

スバラシイ。

最近は暗くなるのも早くて夜間ジョギングするのは安全上やや問題もあるし寒さでケガのリスクも増えるのですが、プールはそれらの問題点をみごとにクリアしています。
植物園のスタッフには一時間の昼休みをつかって泳ぎに行く輩もいるほどです。

昨晩はケンブリッジ郊外に住む英国人の知人宅に招かれ夕食を御馳走になりました。
そこである決定的なことに気付きました。

彼の家はとても暖かいのです。

というか僕のアパートの部屋が異常に寒いのです。

以前書いたかもしれませんが当アパートにはセントラルヒーティングシステムがなくて電気ラジエーターで暖をとることになっています。電気代をケチるあまり、なかなかスイッチを入れないためいつも底冷えのする部屋となっています。

ささやかな自己防衛策として寝袋を買ってそれを膝掛けにしたりしていました。

この前スーパーマーケットで電子レンジで暖めるゴムの湯たんぽを発見して即購入しました。
英国人の友人によると通常3000円くらいするものらしく、1200円ほどで手に入れた僕は相当得意でした。

この湯たんぽは厚いゴムの密閉された容器のなかに謎の液体が入っていて、これを丸ごと電子レンジに入れて2分ほどチンすると出来上がりというシロモノです。

あとはやけどしないように専用のキルトの袋にいれて使います。

あるときは膝の上に、あるときは布団にしのばせ、「これでこの冬は乗り切ったも同然なのダ!」と高笑いしていたのに、他人様のおウチはこんなにも暖かいのか、と思うと自分のしょうもない苦労がとても虚しいものに思えてきてしまいました。

もうひとつの我が部屋の大きな欠陥があります。
それは換気扇がないことです。料理は大いに楽しむものの、キッチンがあるわけでもなくて部屋の隅にオーブンレンジがあるといった程度のもので本格的に料理をすることを前提としていません。

換気扇がなくて料理をすれば当然全てのニオイが部屋中に充満します。
布団も服も全て燻製になってしまいます。

仕方なく料理中窓を開けるのですが、冬の冷たい空気が容赦なく入り込んできてしまうので、そこそこの換気を終えると窓を閉めます。
また部屋の温度が下がります。

洗濯物は北向きである我が部屋の中に干しているのですが、脱水機のパワー不足なのかキッチリ絞れていないようで、ときおり一週間かけて部屋に干してあることもあります。

日中の外出時に窓を開け放していくわけにもいかず、かといって中庭にも天候が不順すぎてアテにならず安心して干していけません。

この前洗ったばかりのシャツの袖に手を通したところ「なんか臭うゾ」とクンクンとシャツのニオイを嗅いでみると、いろんな料理のニオイが混ざった不思議なニオイがしてガックリしてしまいました。

これにはちょっと悲しくなり、冬場のみ近所のコインランドリーの乾燥機を使おうと考え方を改めた次第です。

節約も過ぎて風邪を引いたり、燻製シャツを着たりというのは方向性を完全に見誤っており、今後は改善を図っていきたいと思っています。

そんな11月の日々です。
日本は文化の日でしょうか。
どうぞ3連休お楽しみください。