どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2014年10月19日日曜日

2004年04月16日 「捨てたもんじゃない話」


こんな題名をつけると、バチがあたりそうな今回の話。

かつて銀行員時代の同期で現在ロンドン支店に勤務している友人が7年の勤めを果たし、この度帰国するということになりました。

彼とはかつてのラグビー仲間でもあり、新人研修以来の仲で、渡英以来もたまに会ったりして、「ああー同期って良いもんだ・・・」と銀行を辞めてしまったにもかかわらず懇意にしてもらい、心強く感じておりました。

そんな彼が今週火曜日イースター休暇明け、帰国直前に催した職場仲間の送別会に招いてくれて、学校が終わるやいなや、相変わらず自転車をかっ飛ばして金融街「シティー」にある飲み屋まで馳せ参じたのでした。

当然ながら皆してスーツ。

山登りみたいな格好をしているのは僕だけでしたが、それでも皆暖かく迎えてくれ楽しいひと時を過ごしたのでした。

「名刺交換」

この風習はサラリーマンを辞め、日本を離れた今はほとんど馴染みがなく、皆の様子を観察しているとなんとも不思議な風情でした。

僕も名刺は貰うものの、差し上げるような名刺などあるはずもなくちょっと肩身が狭い気がしました。

しかしそれにしましても、皆様「デキル」という顔立ち、立ち振る舞い、仕草、語り口で、「ハレー、オレもこの会社に数年前、本当に働いていたのか??」と首を傾げたくなります。

いずれにしても、普段の自分とは全く違う世界を垣間見た気がして、新鮮でした。

さて、ほろ酔い気分で自転車を走らせ気分良く帰宅する途中に、「オオ、そうそう、タマゴ、パン、牛乳を切らしていたのダ」と思い立ち、スーパーに寄りました。

なんだかんだと買って、合計額が9ポンド少々。

レジでカードを使うか、現金で払うか思案した結果、財布から10ポンド紙幣を取り出して現金払い。

レシートを受け取って、荷物をリュックに詰めてスーパーを後にしようとした時に、「アレっ?財布は?」。

全てのポケットに無く、リュックをひっくり返しても無い。

慌てて何度も同じ場所を探しても無い。

そんなバカな!だってつい今レジで財布開けて現金を出したんですよ。

その財布が消えるなんて。

レジのお兄ちゃんに聞いても知らないと言う。

想像するに、レジ台に置いたまんまで、次の客が「ラッキー」と持っていってしまったとしか考えられない訳です。

無いものは仕方が無いと消沈し自宅までたどり着き、冷静に財布に何が入っていたか考えました。

キャッシュカード、学生証、図書館会員カード、プールのメンバーカード、ナショナルトラストのメンバーカード、免許証、スーパーの会員カード。

幸い現金は紙幣無しのコインのみで約300円(幸いというか情けない気もしますが)。

早速銀行に電話するも深夜で繋がらず、翌日朝イチで被害の無いことを確認してストップしました。

気が重かったのは、全てのカードを再発行しなければならないことと、新しく財布を買わなくてはならないこと。

いずれもしなくていいものなら避けておきたい事柄です。

「どうすっかー、今日は新しい財布を買いに行くかぁー。おっと、300円しか無いんだった。買えないよぉ、なんにも。新しいカードが来るまで・・・」

なーんて脳天気なことを考えていたら、今朝の郵便配達が、「書留デース」(配達記録)とやってきました。

「また大家宛てだな」と思い受け取ると、なんと宛名はワタクシ。

ひょっとして!!と思って封を切ると中から出きました、財布が。

カードは全て無事。

コインはどこかへ失せていましたがそんなことは問題ではありません。

差出人の住所を見るとロンドン南東部。

僕が住んでいるのは南西部。

例えるなら、渋谷で失くした財布が足立区で拾われて送られてきたということでしょうか。

それにしても、この国でなくなった財布が出てくる、というか送られてくるなんてのは奇跡みたいなもんではないでしょうか。

そんなことを言うもんではないとは思いますが、なかなかどうしてこの国のモラルはさほど高くないと思われ、自動車のハンドルに盗難防止の鍵を掛けたり、自転車にも大袈裟な鍵をつけたり、家を空ける際のアラームなど、100%平和とは言い難い状況を知っていましたので。

どうお礼したものかとも思いますが、まずはお礼の手紙でもしたためようと思っています。

でも、スーパーで使ったばかりの財布を置き忘れる自分が一番悪いと反省する次第。

これがボケの始まりでないことを祈るばかりです。

春爛漫で花がどうしてもキレイなので今回もちょっと。

シクラメンです。

日本ですと、どうしてもクリスマス時期に鉢植えで見かけるのが多
いですが、地植えのシクラメンは大木の袂(たもと)などの日陰の湿気の多い場所を好みます。

鉢植えと違って、ナチュラルで可憐なシクラメンです。

では、また。

2014年10月9日木曜日

2004年04月12日 「イースター」



前略。

現在当地はイースターの真っ只中で、金曜から月曜まで堂々の4連休です。

英国にはゴールデンウィークというものはありませんので、これがその代わりといったところでしょうか。

よっぽどテントと寝袋を抱えて何処かへ繰り出そうかとも思いましたが、なかなかやることが多く、フンギリがつかず大した遠出はしていません。

昨日は午後から自転車でロンドン観光大作戦を展開し、テートモダン美術館、バッキンガムパレス、ロイヤルアルバートホール、ロンドンアイ(大観覧車)、コベントガーデンなどを疾走し、仕上げはコベントガーデンの裏にある回転寿司で締めて、気分良く自転車で戻ってきたのでした。

回転寿司屋に行くのはまさに「初体験」で、その名も思いっきりの「くるくる寿司」。

ここは以前から目をつけていたところで、何かあった時にはここで・・・とアイディアを温存しておいた場所。おっかなびっくり暖簾をくぐると夕方6時半だってのに、客は僕のほかにイギリス人が一人だけ。

緊張した面持ちで着席し、店内を観察するとまあまあ「日本度」が高いお店のようで安心しました。

この「日本度」はとても大切で、日本度の低い「何となくアジア的雰囲気」を醸しているだけの店ではまともな寿司などは期待できるハズもありません。

着席して割り箸を割って臨戦体制にはいったものの、肝心の値段システムが分かりません。

日本人らしきウエイターのお姉さんに、「あのーぅ、初めてなんですけどぉ、お皿の値段はどうなってんでしょうか?」と聞くと、僕の真後ろにお皿のサンプルとそれに対するお値段が示してあります。

緊張していたのでしょう、気付きませんでした。

お姉さんは「全てのお寿司にはワサビが入っていませんので、お好みでご自分でつけてください」と説明してくれました。

箸で、ネタを持ち上げては自分でワサビをツメツメし、Do it yourself的回転寿司体験となりました。

一番安いのが1ポンド20ペンス(約240円)、高いのが3ポンド60ペンス(720円)。

当然ビビッちゃって一番高いのには手が出ませんでした。

朗報は、一番安いのに「サーモン」が含まれていたこと。

このサーモンはそこそこ脂がのっていて、「とろっぽい」という理由で数皿繰り返して食べました。

あとは、これでパブで一杯飲める、とか、これで普段のお昼のサンドイッチが軽く2回食える、とか、様々な思惑が錯綜し6皿でお腹が、イエ、胸が一杯になり箸を置きました。

料金はキリンビールの小ビンも込みで16ポンド60ペンス(約3200円)。

普段の自分の感覚から行くと高い気がしますが、冷静に日本での自分の所業を思い返すに25皿とか食べて生ビール2、3杯飲んで4000円前後使っていた頃を思えば、納得の範囲でしょうか。

店を出る段になってやや落ち着きを取り戻し、店内を観察しなおすと、一番肝心の板さんがインド人系であることに遅まきながら気付きました。

奥の厨房で揚げだし豆腐、トリのから揚げ、枝豆などを皿に盛っているのもインド・パキスタン系であることが判明。

でもサーモンにぎりがそこそこイケたのでヨシとしましょう。

何度か自転車でロンドンに繰り出すうちにだんだん道も分かってきて、最近は45分以内で街の中心地まで到達できるようになりました。

自転車は厳密に自動車と同じ扱いですので、車道を走ります。

英国名物のラウンド・アバウトも自動車に混じってバンバン右折、左折など思うままです。

かなりの速さで、我ながら「ウヒョー、マジ速っ!!」と、感動してしまいます。

自転車にこだわるのは「自転車でしか見えない景色があるのサ」とか「風を感じたいのサ」などというカッコいいものではなく、単に電車代が惜しいからに他ならないのですが・・・。

ロンドンの公害(排気ガス)はかなりのもので、自転車から降りると顔が黒っぽくなっていることもシバシバです。

まあ、東京で環七、環八、山手通りあたりを走っていたときと同じ、同じ、と言い聞かせて走っていますが、あまり気持ちの良いものではありません。

明日はイースター休暇の最終日。

天気が良ければ、また自転車で、ロンドンとは逆方向、ウィンブルドンあたりを流すか、などと思っていますがどうでしょうか。

遊びまくっているわけではなく、授業の復習、試験勉強、掃除、洗濯、庭の手入れなど、何かと忙しい4連休です。

久し振りに写真を添付いたします。

これは「フリティラリア」という春先に咲く球根で、ちょこんと頭を垂れた様がなかなかカワイイ花です。

英語名は「スネーク・ヘッド」で、花びらの模様がどこか蛇のうろこを想像させるからなのでしょうか。

田舎道を歩いていると見かける花で、目立たず、でもどこか主張があって僕は好きだなぁ・・・。

では、また。