どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2013年9月28日土曜日

2003年04月08日 「4月」

さて、先週よりサマータイムに突入し時計を一時間進めた関係で日没が19:30過ぎ、とイッキにサマーになってしまいました。

とはいっても夜の最低気温はいまだにマイナス2度とかいっていますので、まだまだ油断は出来ません。

どういう訳かさわやかな好天が続いていて、こうなると俄然洗濯に力が入ります。

の際考えつくもの全て洗濯しまくって、外の洗濯ロープに午前中に乾せば夕方には「シャキーンッ!!」と仕上がっているという気分の良さ。

「おおっ、乾く、乾くぞぉっ、洗濯物ぐゎぁぁ!!」と誰かれとなく報告したくなります。

一方学校は今週から3週間のイースター休暇に突入しました。

旅行も計画していますが、前半は卒論も含め「勉学に勤しむ」こととしております。

そんな中、土、日、月と2泊3日でケンブリッジからジョンが泊りがけで遊びにきました。

彼の目的は今が最盛の「スイセン」をビデオに収めること。

ヨークという中世の趣を残す街は周囲を城壁が覆い、その城壁の斜面一面にスイセンが咲き乱れ、これはナカナカ圧巻なのですが、これを狙って彼は来ました。

予備の充電池をポケットに忍ばせ、スイセンから始まり、ヨーク大聖堂、鉄道博物館などの観光地を一通り制覇し楽しんでいったと思います。

日曜日の夜は当アパートの同居人「デイブ君」を混ぜて天ぷら(かき揚げ)を作り天丼を振る舞い、大好評。

自分も一人分だけ天ぷらを揚げるのは面倒なので滅多にしな
いのですが、久し振りに懐かしい味に触れ、大満足でした。

ジョンの床屋もしました。

彼は床屋は年に1~2回程度しか行かない主義なのですが、ヨーク駅で再会した時にはあまりのボウボウ振りに思わずこっちがひいてしまう程。



軽い気持ちで「オレが切ってやるよ」と言ったら、「ホントか?それは助かる、是非頼む」といわれ、風呂場に新聞紙を敷き詰め床屋の開催となりました。

まずは前髪を恐る恐る切ってみると、「横一文字」に揃ってしまい、「ウーン、コレは何か違うカンジ、まずいカンジ」と迷いつつも、徐々に気持ちが大胆になってきたことと、ハサミとクシの使い方のコツを掴んできたことにより、自分でも惚れ惚れする仕上がりに。


新たな自分の才能を発見しました。

ジョンもその後何度も鏡を覗き込んでは「ウーン、良いねぇ」とご満悦。

月曜日の朝食に「ホットケーキ」を作ってあげたときのこと。

普段、ちびちびと使っているメープルシロップをダバダバダバーっと景気良く振りかけているのを見て、ちょっとカチンときたのは事実。

結局、ボトルに半分以上あったハズのシロップはこの朝全てなくなってしまいました。フクザツな気分で皿を洗いつつ、「シロップは掛ける為にある」と唱え、気分を切り替えたのでした。

ジョンとヨーク大聖堂の展望台に登ると、あたりには高い建物がない為に天気次第でかなりの眺望が望めます。

吹き上げてくる冷たい風に吹かれながら、茶色のレンガの街並みや鮮やかな緑の芝などを見下ろしていると、「ヨーロッパみたい・・・」などとバカな思いが込み上げてきました。

ここはイギリス、立派なヨーロッパで、自分も旅行で訪れたときにはこういう感動があったハズなのに、普段これが当たり前だと思って暮らしていると、徐々にこういった感動が薄れてきていることに気が付いた次第です。

そう意味では、そろそろこういう生活も潮時なのかなと思ってしまいます。

ありきたりな言葉ではありますが、「初心」大切にしたいものです。

取り留めなくだらだらとなりましたが、いよいよ春本番、どうぞお元気で。

2013年9月21日土曜日

2003年03月17日 「春到来」


桜の開花予想も出て春本番でしょうか。

当地も最近はかなり春めいてきました。

春の使者、スノードロップ、クロッカスなどは既に終了し、今はスイセン、レンギョウなどが賑やかです。

日照時間もグングンと伸びてきて、今月末にはサマータイムになります。

長らく待った春到来といった趣です。

そんな中、最近アルバイト(?)を始めました。
隣村の一人暮らしのおばあさんの専属庭師です。

ある日学校の掲示板に「ガーデナー求む。2週間に1度程度。応相談。」とあり電話をして会ってみたところ、気のよさそうな庭好きのおばあさんで、先方も僕のことを気に入ってくれたようで採用となりました。

そもそも植物園を離れて学校に戻ってからというもの、座学ばかりで実技は皆無で、自分の手が自分の手とは信じ難いほどツルツル、スベスベになってしまい、これはイカンなぁと思っておりました。

かといって勉強そっちのけで、実技に励んでいる場合でもないので、程良い働き口を求めていたところだったので、これはまさに渡りに舟。

初日はおばあさんの家の台所で紅茶をすすりながら、「私の庭はこうしたいの論」をトクトクと聞かされ、更にさまざまな質問を浴びせられました。

これは質問と称して僕のことを試していたフシがありますが。

年齢のため身体はシャキシャキとは動かないながらも、庭に対する情熱はかなりのもので、その知識の豊富さにも驚かされました。

これは下手は出来んっ!と力が入ってしまいます。

庭はおよそ30~40坪くらいでしょうか。

芝生が65%以上を占め、後は花壇、そしてリンゴ、モクレンなどの木が植えてあります。

手始めに庭の芝刈りを一時間ほどしてその日はオシマイ。

時給制、日払い、現金渡し(すなわち無税)で時給7ポンド(約1300円)。

まあまあでしょうか。

というか、スゴク嬉しいです、これは。

まず、幾らかでも収入があるというのは生活するのに助かってしまうこと。

そして、これは英国で「タテバヤシ」として初めて稼いだお金であること。

植物園ではいわば一職員としてサラリーマン的収入があった訳ですが、この時給7ポンドは100%タテバヤシの責任そして労働の対価。

将来独り立ちしたらこんなカンジかぁ、と感慨もひとしおでした。


僕は犬が大好きなのですが、このおばあさんはべスという名のゴールデンレトリバーを飼っていて、彼女と仕事の合間に遊べるのも楽しみのひとつです。

このおばあさんの庭に何回通えるでしょうか。

7月に学校が終わる頃にはヨークを離れ次のステップを考えねばなりません。

それまでに、このおばあさんと一緒に出来る限りのことをして「気持ちの良い庭」にしたいものだと思います。

そして、おばあさんが将来、「ああ、あのタテバヤシってのがウチの庭を手入れしていた事もあったのよ」とご近所に自慢できるように頑張らにゃぁイカンなぁ等と勝手に思う今日この頃です。

2013年9月8日日曜日

2003年02月16日 「週末」



まだまだ寒い毎日でしょうか。

こちらも朝は霜が降りてあたりが真っ白だったりするものの、スノードロップ、クロッカスなどは既に花を咲かせ、スイセンなども土からニョキニョキと顔を出し花をつけるのも時間の問題かと思われ、春間近、いや既に春到来ともいえる風情がここそこにうかがえたりします。

最近は試験、レポートに終われ、学生らしく忙しくしています。

金曜日には「土の構成」という試験があり、20年振りに化学記号なども思い出しつつ、土の酸化、酸性化、などについてやりました。

そもそも化学は中学、高校時より大の苦手で、当時は授業中に意識を失うこともしばしばでしたが、37歳になって17歳の時と同じことを言っていられませんので必死でした。

しかも英語なので、もう丸覚えするしかなく、こんなことなら20年前にちゃんとやっとけばよかったと後悔することしきり。

当然辞書もひいてはみるものの、「Ferric=第二鉄の」「Ferrous=第一鉄の」などとなっていて、何のことやらサッパリ分からんデスので、丸覚えですが、何度も復習しているうちに、単語それぞれは置いておいて、理屈は分かった気がします。

よって試験は会心の出来でございました。
ハッハッハ。

現在は「卒論」に追われております。

卒論は最終的にはまだまだ締め切りは先なのですが、「中間報告」が今月24日で、それまでにある程度仕上げねばならず、毎日ヒーヒー言っています。

タイトルは「英国における日本庭園の実際」みたいなもので、導入部として日本庭園の歴史、日本庭園の定義などに触れるのですが、ここでも中学高校以来、日本史を振り返ったりして、頭から湯気が出そうです。

そもそも中学・高校の時から日本史は大の苦手課目で(ってオマエに得意課目はあったのか??と突っ込まれそうですが。アッ、体育!)、「イイクニ作ろう鎌倉幕府」位しか知りません。

安土桃山時代、鎌倉時代、江戸時代など名前は聞いたことがあり
ますが、何となく江戸は最近だろうなくらいのモンで、どれが先で順番はどうなってるのかも怪しいというか知らない始末。

それを英語で論じようってんですから、我ながら太てぇ野郎だ、と感心します。

まず自分で理解せねばなりませんので、本を読むわけですが、これが「英語」で、よもや日本の歴史を英語で学ぶことになろうとは。

こんなことなら中学時代マジメにやってればよかったと後悔しっ放しです。

もし自分に子供がいたら、お父さんのこの体験を伝えマジメに勉強するよう説いて教えたいものだと思います。

2月1日~9日までの1週間は、前期終了に付休みだったのですが、どこにも出掛けず、自宅もしくは学校の図書館にこもりきりで、今何とか70%の仕上がりです。

度の週末はケンブリッジから友人が2人泊まりで遊びに来るので、それまでに仕上げるべく、この週末も篭りきりで、レポートに勤しんでいるという訳です。

しかし、昨日からラグビーの6カ国対抗戦が始まり、その初日ということで13:30から「イタリア対ウエールズ」、16:00から「イングランド対フランス」のTV中継があり、リビングのソファをTV前にレイアウトし直し、ビール、ポテトチップスなどをふんだんに準備し、一人で大いに盛り上がってしまいました。

息抜きも必要だ、ウムウム・・・と。

そして、今日日曜日は「やるぞ、やるぞ、仕上げるぞっ」と朝も早くから起き上がり机に向かうも、行き詰まるとこうやってメールなんか書いちゃったりする訳です。

オッ、そろそろレポートの世界に戻らねばなりませぬ。

ニースに行ったり、ジョンと遊んだり、「遊び」の部分を主体にお知らせしておりましたが、本業はかくの如く勤勉な学生であることを謹んでご報告申し上げる次第です。

写真は格闘中の散らかってる自室。

これは資料と、レポート構成・進行を管理している紙を床に広げているところで、計算された配置と申せましょう。