どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2014年12月23日火曜日

2004年05月15日 「浮沈」


日曜日、夜。

日本ではサザエさんやちびまる子ちゃんなどを見ながら、「そうかー明日からまた月曜日かぁ」などとスーツのズボンにアイロンなどをあてながら溜息のひとつでもついていたところです。

この週末は良く働きました。

土曜日は14:30~20:30まで。今日は09:00~12:00で一箇所、そして13:00~18:00まで別の場所で、2日間で計14時間。

疲れました。

確かに臨時収入にはなりますが、まあ哲学的に申しますと、これにはちょいとした訳があるのです。

庭仕事をしていると、それに没頭できて色んなことを忘れさせてくれます。

雑草取りも始めると、まさに夢中。

問 「忘れたいことがあんのか?」  答 「ハイ」

「なーんだぁタテバヤシのメール読んでるとなんかいつもバカやってて楽しそうじゃーん」って確かにそれは、努めて明るく振舞っているのであって、ワタクシも一人の人間として醜い(というか愚かな)部分を持っているのです。

それは何か?

うまくは言えないのですが、簡単に言うとクラスの人間関係となりましょうか。

授業期間に突入してかれこれ1ヵ月半。

朝から晩まで同じメンツで同じ教室でいると、だんだんストレスが溜まってくるわけです。

それは本当につまらない些細なことであってもだんだん蓄積され、しまいには耐えられない心境になってしまったりする訳です。

一人の人間の存在そのものが疎ましく感じたりします。

妬みであったり、怒りであったり、なんともネガティブな気分が自分を支配し、「なんだこんなことで」と思いつつも、コントロールを失いかけることが多くなりました。

正直にいうと今は毎日があまり面白くありません。

早くこの集中講義期間が終わらないか。

早くオレを外に解き放ってくれ、と願うばかりです。

明日からなんと一週間、泊りがけの研修に出掛けます。

「ウヘー、勘弁してくれぃ・・・」というの偽わざる心境です。

ま、言ってもしょうがないですが、たまにはネガティブな話もね。

「実はサー・・・」と酒でも飲みながら、フンフンと聞いてくれる人がいれば良いんですけどね。

大家も帰ってきましたよ。

お土産においしそうなフレンチワインを2本もらいました。

そして、またトイレの水洗に少々気を遣う日々に戻りました・・・。

季節も良くなりました。明るくいこー、と言い聞かせつつ。

少々へっこみのタテバヤシより

2014年12月11日木曜日

2004年05月15日 「大コーフン!」


前略

リッチモンドというのはキューの隣町。その近隣にはイングランドラグビーのメッカ「トウィッケナム」もあります。

今しがたリッチモンドにある例のリチャード・アッテンバラ邸の庭仕事を終えた後にリッチモンドにあるテスコというスーパーに寄って買物をしてレジに並んでおりましたら、僕の脇を大男が通り過ぎていきました。

見覚えのある顔。

それはイングランドラグビーの現キャプテン、ローレンス・デラーリオでした。

「おおおおっ!!!」と一人で興奮し、レジを済ませるやいなや彼の跡を追いました。

そしてスーパーから50メートルほど離れたところで発見。

ためらわずに「あのースミマセン。大ファンなんですけどサインください」というと193センチ109キロの巨漢は「いいッスよ」と気軽に応えてくれました。

慌ててリュックの中を探すもナントこんなときに限ってペンを持っていないことが判明。

「スミマセン、実は書くものがありません」というと、「オレはリッチモンドに住んでるからまた会うサ」と言って握手をして別れたのでした。

その手はゴツクてブアツクて、スゲー・・・と感動しました。

そんなこと言ってる一方で、「ケンカしたら勝てるかも。イヤ無理か。

でも一発くらいかまして逃げるってテもある・・・」などと大胆な夢想をしておりました。

庭仕事の帰りで自分の手はかなり汚れていましたが、今日は手を洗うのは控えようと思います。

良い一日でした。

以上
 

2014年11月19日水曜日

2004年05月04日 「プチ連休」



当地はゴールデンウィークというものはありませんが、本日月曜日はバンクホリデーといって3連休です。

先週は試験、レポートが集中し、かなり疲労したので「リフレッシュ」と「復習」に時間を割こうと「連休になすべきことアイティム」を紙に書き出したりしておりました。

まず復習は、普段大体こなしているものの、特定一科目だけ何となくやる気がおきずに放置してあり、試験直前になって慌てて「ウーム、こりゃキビシイー」と普段の行いを反省し、連休中に復習をしようと誓ったのでした。
(肝心のテストはもう先週済んでしまったのですけどね)

あとは
・例のリチャード・アッテンバラ氏の庭の手入れ
・友人担当の庭の手入れの手伝い
・我が家の芝刈り(大家の留守中頼まれている)
・学校の菜園
・庭探訪1
・庭探訪2
・友人の買物手伝い
・食料品など買出し
といったところが主なところで、あとは「リラックス」ということです。

しかし、神は試練をお与えくださいました。

天気が悪いのです。

いや悪かったと過去形で言うべきでしょう、もう月曜日の夜です
から。

「植木屋殺すにゃ刃物はいらぬ」などと申しますが、土曜と月曜が雨、または曇りの冴えない天気。

その代わり日曜日は「クソ」が付くくらいの好天。

結果的には、土曜日予定していた庭仕事はキャンセルし、友人が「デジカメ買うのに付き合ってくれ」というのに誘われ、半日以上彼女に付き合い、ついでに彼女の住んでいる学校の宿舎の洗濯機を借りて溜まっていた洗濯を済ませて帰ろうとした矢先、同じくその宿舎に住んでいるクラスメートから「今晩、カレー作るんだけど夕食食べていかない?」と誘われ、ホイホイとご馳走になり、そのままワインなど飲みながら夜な夜な話し込んだりして連休初日終了。

翌日は信じられないほどの快晴で学校の菜園に朝8時から午後3時過ぎまでおりました。

これは学校の実技科目のひとつで、植物園の一角に木製フェンスで囲まれた「一年生菜園」があり、そこで実際に野菜を育てて最終的に評価を受けるというもの。

育てる野菜は学校指定で決まっているものの、それだけではつまらないので、皆ちょっとだけ自分の好きな野菜やハーブを植えたりしています。

僕はお得意の「ニラ」「ネギ」「ダイコン」で、今からニラ尽くしの日々が楽しみです。

この「一年生菜園」はキューの名物となっており、かつ一般公開されている場所にあるので、来園者の中には毎年見るのを楽しみにしているという常連さんもいます。

その一般来園者との間は木製のフェンスで仕切ってあり、各々の畑には「顔写真、略歴、その他コメント」などが貼りだされます。

皆それを見ては「あなた日本からきたの」とか「そこに植えてあるのは何?」とか「うちでもタマネギ作ってるんだけどね、うまくいかなんだけど何でかしら」とかもうひっきりなしに色々聞かれます。

それはそれで有難いというか楽しいのですが、昨日の様に好天、連休となると来園者の数もハンパではなく、それに全部構っていると自分の仕事が全くはかどりません。

てなことで、あっという間に3時を過ぎ、「イカン、このままではせっかくの休みが・・・」と仕事を切り上げ、今度は2年生の友人の家の庭を見に。

これが庭探訪1です。

彼らはトムとグリンという2年生2人コンビでチズイックという隣町の豪邸に住み込んでいます。

家賃がなんと月1万円を切る安さ、しかも超がつく程の豪邸。

このからくりは、この邸宅の庭仕事をすることが条件になっているからです。

この庭は「ナショナル・ガーデンスキーム」といって年に一回一般に公開し、その入場料はチャリティーに寄付されるというもの。

彼ら二人はこの日の為に日々庭を手入れしているわけです。

そして先日がその一般公開日。

彼らの丹精こめて手入れした庭がどんなものなのか晴天のな
かサイクリングがてら見に行ってきました。

後で他にも見に来ていた2年生達とパブに繰り出し、「暗くなる前に帰らなくてはイカンのだ、きょうはっ!!」と使命感に駆られて帰宅したのは「芝刈り」の為。

現在、大家夫妻は一ヶ月以上フランスに行って不在なのですが、留守中の庭の芝刈りを頼まれているのです。

そして、彼らは火曜日に戻ってきます。

彼らが帰ってくるときには一応ピシッとしておこうと。

菜園仕事中聞いていたラジオで月曜はまた天気が悪いと知っていましたので、やるなら今日しかあるまい、という作戦です。

夕日を浴びながら芝刈りをこなし、大家がいる間にはちょっと遠慮しちゃう臭いのきついものを作ろうと、「タテバヤシ特製焼肉ライス」で連休2日目終了。

そして今日は目覚めた時にはまだ日が差していたものの、アッという間に厚い雲が覆ったかと思えば、シトシトとほぼ終日雨。

しかし、これにめげずに庭探訪2、を敢行。

これはなんてことはないのですが、キューガーデンは現在季節的にかなりいろんな花が咲き乱れて、ある意味見ごろなのです。

普段は授業で忙しく、ゆっくりは見れないので、時間があるときに腰を据えて見ようという作戦です。

雨はいただけませんが、写真を撮るにはあまり明るすぎるよりは逆に良かったりします。

そんな訳で雨の中を3時間以上フラフラしたでしょうか。

自宅に戻り、簡単に遅めの昼食を済ませ、ビールを飲みながら新聞などを読んでいるとウトウトしてきてちょっと横になったらなんと夜です。

連休最終日、終了目前。

まあ、それなりに平和で良い休みではありましたが、積み残しも多く達成感はさほど高くありません。

肝心の復習は・・・・、どうぞ武士の情けドントアスクミーでございます。

明日にはいよいよ大家が戻っていて「タテバヤシ天下」もあえなく終了です。

一抹の寂しさもありますが、そんなことは言ってられません。

やり残した庭仕事を放課後から日没までこなす忙しい一週間になりそうです。

添付写真は、雨に濡れながら歩いたキューの現在の一番の見所「ブルーベル」です。

これは5月上旬に咲く球根で、キューのブルーベルはそのおびただしい数で有名です。

写真では伝えにくいですが、青というか紫色の花が一面にカーペットのように広がる様は圧巻です。

では残りの休みを楽しくお過ごしください。

2014年11月6日木曜日

2004年04月29日 「庭仕事の愉しみ」



現在は申し上げているように、3ヶ月間の集中講義期間で朝から晩まで(ちょっと大袈裟で実際は9~5時)学校での授業、試験、レポートなどに追い立てられ、精神的に疲れています。

授業の中には「植物解剖学」なども含まれ、日によっては半日以上顕微鏡を覗き込み「これが××細胞で・・・」などとやっていて、眼精疲労もかなりのもの。

身体を動かす仕事からはこの期間離れるので、なまるというか、土が恋しくなる訳です。

そんな中、趣味と実益を兼ねて週末を中心にしているのが庭仕事のバイト。

現在、自分が専属で担当しているのが一軒、時折クラスメートの手伝いとして参加するのが一軒。

都合2軒を掛け持ちしています。

これは信じられないほど時給が良くて、ウハウハもののバイトで、本当に生活が助かっちゃう有り難いものです。

先週パブで3年生のアメリカ人、マーティンが「マサヤ、実はフランスに2週間遊びに行くんだけど、その間オレの担当している庭の面倒をみてくんない?」というので「お安い御用!」とばかりに引き受け、先日マーティンと二人で先方宛て挨拶と諸事項の説明を受けてきました。

場所はキューの隣町リッチモンドのなかの閑静な高級住宅街。

約100坪の庭の手入れについてマーティンが説明をしてくれました。

途中、ピンクのチェックのシャツを着た白髪の老人がニコニコ笑顔で近づいてきて、握手をして挨拶をしました。

彼の名は「リチャード」。

とても気さくでいいカンジのおじいさんですが、なんかどこかで見たことあるような、と思って後でマーティンに聞くと彼の名字は「アッテンバラ」すなわち「リチャード・アッテンバラ」。

映画「ガンジー」でアカデミー監督賞を受賞した映画監督であるばかりか、本人は俳優としてもジェラシック・パークの「恐竜園」のオーナー役などでも銀幕に名を馳せたおじいさんです。

そうかー、道理でスゲー家だもの。

と一人で大納得した次第。

でも全く気取ったところがなくて優しいおじいさんでファンになりました。(単純)



そんな訳で今度の週末からマーティンがいない間、新たな庭の手入れをすることとなりました。

時間は全く僕の自由で、例えば今度の土曜日はクラスメートの手伝いを9時から14時まですることになっており、その後その足で15時から19時頃まで(最近は日が伸びて20時過ぎまで十分明るい)頑張っちゃおうか。

その場合時給が××ポンドとして・・・・、ウキーっ!!目の前をお札が舞っていき、これでなんかウマイもんでも食おう、そして欲しかった夏用の水筒を買おう、あまった場合は・・・と皮算用だけは着々と進みます。

オット、本業の勉強も頑張ってますよ、それなりに。

日本はゴールデンウイークですね。どうぞいい休暇をお過ごしください。

ではまた。

2014年10月19日日曜日

2004年04月16日 「捨てたもんじゃない話」


こんな題名をつけると、バチがあたりそうな今回の話。

かつて銀行員時代の同期で現在ロンドン支店に勤務している友人が7年の勤めを果たし、この度帰国するということになりました。

彼とはかつてのラグビー仲間でもあり、新人研修以来の仲で、渡英以来もたまに会ったりして、「ああー同期って良いもんだ・・・」と銀行を辞めてしまったにもかかわらず懇意にしてもらい、心強く感じておりました。

そんな彼が今週火曜日イースター休暇明け、帰国直前に催した職場仲間の送別会に招いてくれて、学校が終わるやいなや、相変わらず自転車をかっ飛ばして金融街「シティー」にある飲み屋まで馳せ参じたのでした。

当然ながら皆してスーツ。

山登りみたいな格好をしているのは僕だけでしたが、それでも皆暖かく迎えてくれ楽しいひと時を過ごしたのでした。

「名刺交換」

この風習はサラリーマンを辞め、日本を離れた今はほとんど馴染みがなく、皆の様子を観察しているとなんとも不思議な風情でした。

僕も名刺は貰うものの、差し上げるような名刺などあるはずもなくちょっと肩身が狭い気がしました。

しかしそれにしましても、皆様「デキル」という顔立ち、立ち振る舞い、仕草、語り口で、「ハレー、オレもこの会社に数年前、本当に働いていたのか??」と首を傾げたくなります。

いずれにしても、普段の自分とは全く違う世界を垣間見た気がして、新鮮でした。

さて、ほろ酔い気分で自転車を走らせ気分良く帰宅する途中に、「オオ、そうそう、タマゴ、パン、牛乳を切らしていたのダ」と思い立ち、スーパーに寄りました。

なんだかんだと買って、合計額が9ポンド少々。

レジでカードを使うか、現金で払うか思案した結果、財布から10ポンド紙幣を取り出して現金払い。

レシートを受け取って、荷物をリュックに詰めてスーパーを後にしようとした時に、「アレっ?財布は?」。

全てのポケットに無く、リュックをひっくり返しても無い。

慌てて何度も同じ場所を探しても無い。

そんなバカな!だってつい今レジで財布開けて現金を出したんですよ。

その財布が消えるなんて。

レジのお兄ちゃんに聞いても知らないと言う。

想像するに、レジ台に置いたまんまで、次の客が「ラッキー」と持っていってしまったとしか考えられない訳です。

無いものは仕方が無いと消沈し自宅までたどり着き、冷静に財布に何が入っていたか考えました。

キャッシュカード、学生証、図書館会員カード、プールのメンバーカード、ナショナルトラストのメンバーカード、免許証、スーパーの会員カード。

幸い現金は紙幣無しのコインのみで約300円(幸いというか情けない気もしますが)。

早速銀行に電話するも深夜で繋がらず、翌日朝イチで被害の無いことを確認してストップしました。

気が重かったのは、全てのカードを再発行しなければならないことと、新しく財布を買わなくてはならないこと。

いずれもしなくていいものなら避けておきたい事柄です。

「どうすっかー、今日は新しい財布を買いに行くかぁー。おっと、300円しか無いんだった。買えないよぉ、なんにも。新しいカードが来るまで・・・」

なーんて脳天気なことを考えていたら、今朝の郵便配達が、「書留デース」(配達記録)とやってきました。

「また大家宛てだな」と思い受け取ると、なんと宛名はワタクシ。

ひょっとして!!と思って封を切ると中から出きました、財布が。

カードは全て無事。

コインはどこかへ失せていましたがそんなことは問題ではありません。

差出人の住所を見るとロンドン南東部。

僕が住んでいるのは南西部。

例えるなら、渋谷で失くした財布が足立区で拾われて送られてきたということでしょうか。

それにしても、この国でなくなった財布が出てくる、というか送られてくるなんてのは奇跡みたいなもんではないでしょうか。

そんなことを言うもんではないとは思いますが、なかなかどうしてこの国のモラルはさほど高くないと思われ、自動車のハンドルに盗難防止の鍵を掛けたり、自転車にも大袈裟な鍵をつけたり、家を空ける際のアラームなど、100%平和とは言い難い状況を知っていましたので。

どうお礼したものかとも思いますが、まずはお礼の手紙でもしたためようと思っています。

でも、スーパーで使ったばかりの財布を置き忘れる自分が一番悪いと反省する次第。

これがボケの始まりでないことを祈るばかりです。

春爛漫で花がどうしてもキレイなので今回もちょっと。

シクラメンです。

日本ですと、どうしてもクリスマス時期に鉢植えで見かけるのが多
いですが、地植えのシクラメンは大木の袂(たもと)などの日陰の湿気の多い場所を好みます。

鉢植えと違って、ナチュラルで可憐なシクラメンです。

では、また。

2014年10月9日木曜日

2004年04月12日 「イースター」



前略。

現在当地はイースターの真っ只中で、金曜から月曜まで堂々の4連休です。

英国にはゴールデンウィークというものはありませんので、これがその代わりといったところでしょうか。

よっぽどテントと寝袋を抱えて何処かへ繰り出そうかとも思いましたが、なかなかやることが多く、フンギリがつかず大した遠出はしていません。

昨日は午後から自転車でロンドン観光大作戦を展開し、テートモダン美術館、バッキンガムパレス、ロイヤルアルバートホール、ロンドンアイ(大観覧車)、コベントガーデンなどを疾走し、仕上げはコベントガーデンの裏にある回転寿司で締めて、気分良く自転車で戻ってきたのでした。

回転寿司屋に行くのはまさに「初体験」で、その名も思いっきりの「くるくる寿司」。

ここは以前から目をつけていたところで、何かあった時にはここで・・・とアイディアを温存しておいた場所。おっかなびっくり暖簾をくぐると夕方6時半だってのに、客は僕のほかにイギリス人が一人だけ。

緊張した面持ちで着席し、店内を観察するとまあまあ「日本度」が高いお店のようで安心しました。

この「日本度」はとても大切で、日本度の低い「何となくアジア的雰囲気」を醸しているだけの店ではまともな寿司などは期待できるハズもありません。

着席して割り箸を割って臨戦体制にはいったものの、肝心の値段システムが分かりません。

日本人らしきウエイターのお姉さんに、「あのーぅ、初めてなんですけどぉ、お皿の値段はどうなってんでしょうか?」と聞くと、僕の真後ろにお皿のサンプルとそれに対するお値段が示してあります。

緊張していたのでしょう、気付きませんでした。

お姉さんは「全てのお寿司にはワサビが入っていませんので、お好みでご自分でつけてください」と説明してくれました。

箸で、ネタを持ち上げては自分でワサビをツメツメし、Do it yourself的回転寿司体験となりました。

一番安いのが1ポンド20ペンス(約240円)、高いのが3ポンド60ペンス(720円)。

当然ビビッちゃって一番高いのには手が出ませんでした。

朗報は、一番安いのに「サーモン」が含まれていたこと。

このサーモンはそこそこ脂がのっていて、「とろっぽい」という理由で数皿繰り返して食べました。

あとは、これでパブで一杯飲める、とか、これで普段のお昼のサンドイッチが軽く2回食える、とか、様々な思惑が錯綜し6皿でお腹が、イエ、胸が一杯になり箸を置きました。

料金はキリンビールの小ビンも込みで16ポンド60ペンス(約3200円)。

普段の自分の感覚から行くと高い気がしますが、冷静に日本での自分の所業を思い返すに25皿とか食べて生ビール2、3杯飲んで4000円前後使っていた頃を思えば、納得の範囲でしょうか。

店を出る段になってやや落ち着きを取り戻し、店内を観察しなおすと、一番肝心の板さんがインド人系であることに遅まきながら気付きました。

奥の厨房で揚げだし豆腐、トリのから揚げ、枝豆などを皿に盛っているのもインド・パキスタン系であることが判明。

でもサーモンにぎりがそこそこイケたのでヨシとしましょう。

何度か自転車でロンドンに繰り出すうちにだんだん道も分かってきて、最近は45分以内で街の中心地まで到達できるようになりました。

自転車は厳密に自動車と同じ扱いですので、車道を走ります。

英国名物のラウンド・アバウトも自動車に混じってバンバン右折、左折など思うままです。

かなりの速さで、我ながら「ウヒョー、マジ速っ!!」と、感動してしまいます。

自転車にこだわるのは「自転車でしか見えない景色があるのサ」とか「風を感じたいのサ」などというカッコいいものではなく、単に電車代が惜しいからに他ならないのですが・・・。

ロンドンの公害(排気ガス)はかなりのもので、自転車から降りると顔が黒っぽくなっていることもシバシバです。

まあ、東京で環七、環八、山手通りあたりを走っていたときと同じ、同じ、と言い聞かせて走っていますが、あまり気持ちの良いものではありません。

明日はイースター休暇の最終日。

天気が良ければ、また自転車で、ロンドンとは逆方向、ウィンブルドンあたりを流すか、などと思っていますがどうでしょうか。

遊びまくっているわけではなく、授業の復習、試験勉強、掃除、洗濯、庭の手入れなど、何かと忙しい4連休です。

久し振りに写真を添付いたします。

これは「フリティラリア」という春先に咲く球根で、ちょこんと頭を垂れた様がなかなかカワイイ花です。

英語名は「スネーク・ヘッド」で、花びらの模様がどこか蛇のうろこを想像させるからなのでしょうか。

田舎道を歩いていると見かける花で、目立たず、でもどこか主張があって僕は好きだなぁ・・・。

では、また。

2014年9月23日火曜日

2004年04月06日 「近況~2004年4月」

大変ご無沙汰をしておりました。

元気でお過ごしでしょうか。

申すまでもなく、今は4月。

春爛漫。

先週、時計の針を一時間進めて、サマータイムに突入して本格的に良い季節になってきました。

さて、何をしていたかというと、マア大したことはないのですが、それでも学生らしくレポート、試験などに追われてアッという間に数ヶ月が経っていたという次第。

レポートはpropagation(辞書をひくと植物の繁殖となりますが、ちょっとシックリこないカンジ)に関するプロジェクトで、ワタクシは「ヤドリギ」という風変わりな植物を研究しておりました。

これが始めてみるとナカナカ面白くて、本、インターネットなどで世間に普及している一般的な繁殖方法は分かっていたのですが、人づてに色んな情報を収集していると、ナントこれまでに全く前例のない方法で、しかもかなりの成功率で、繁殖を可能にしたオジサンに出会うことが出来て、この画期的な方法を織り込みつつヒーヒー言いながらレポートを仕上げたのでした。

自分が採取してきたヤドリギが発芽したところ

ヒーヒーというのは本当で、所詮ワタクシの英語表現力などはタカが知れていて、例えば「この画期的方法はコロンブスの卵的発見ナリ」などと言おうとしても、そんな表現は辞書になく、英国人に意味を説明して「で、このコロンブスの卵って何て言えばいいの?」と聞いてもそんなのはないと言われる始末。

頭の中にナイスなアイディアが沸いてきて、「ヨシッ!!この線でいくゾ」とイザパソコンに向かうといきなり5歳児の感想文的になってしまうのにはホトホトイヤになりました。

平行して2週間毎にある、植物同定試験(全てラテン語)も準備が十分に出来ないこともシバシバで、慌てて試験前日に「ヨシッ!何事も気合ダ。気合が全てなのダ。」と机に向かい、デジカメで撮った植物の写真とその名札の写真を交互に見ながら指が折れるほど書いて書いて書きまくって、なんとか40個の植物名(科・属・種・品種)をラテン語で詰め込み試験に臨み、「今度からはもっと早くから準備しなきゃね・・・」と毎回同じ反省を繰り返すばかり。

学名は避けて通れない茨の道


この手の記憶モノは、不惑目前の硬くなった脳味噌にはかなりキビシイものがあります。

しかもラテン語はなんら普段の生活に接点がないので、もう理屈じゃなく語呂合わせなどを駆使したゴリ押し式です。

その一日で40個全てを詰め込んだ日は、頭から湯気が出ていた(多分)ですし、こぼれ落ちないように「禁酒」までしました。

このキュー・ディプロマというコースは1年=12ヶ月のうち9ヶ月は植物園で実習を通じ学び、3ヶ月は朝から晩まで学校で講義があるというもので、この4月からの3ヶ月がこの1年生の授業期間になります。

「土壌学」「植物分類学」「植物解剖学」「植物形態学」「植物構造学」「遺伝」「デザイン」・・・・などなどを学ぶのですが、見てのとおり「生物」の授業のような内容で、これまで英国に来てから学んできたものを更に詳しく、深く学ぶことになります。

毎度頭が痛いのが専門用語で、「分裂組織の細胞は小型で液胞がなく、核が大きく細胞壁が薄い」なんてのを全て英語で言われると、もはや訳すことは意味がなく、そのまんま理解するしかないですね。

だってそもそも高校時代からこの課目は避けて生きてきたわけですから日本語で言われたところでなんの助けにもなりません。

付け加えていうなら、ワタクシの人生で5段階評価で最低の「1」を取ったのは後にも先にも高校時代の「遺伝」でした。

それをこの年になって英語でやり直すとは、人生とは摩訶不思議なものです。

まあ、3ヶ月間は「忍」の一文字です。

でも本当に季節は良くなりました。

薄手の上着で大丈夫ですし、日照時間もグーンと伸びて何処かに繰り出したい気分です。

植物も、スイセン、クロッカスなどは既に終了し、今はコブシ、モクレン、レンギョウなどでしょうか。

春、春、春

冬の間は控えてある芝刈り作業もあちこちで始まり、刈り込んだ
ばかりの芝の匂いを嗅いでいると、「ウーン、いい季節じゃ」と腕を組んで大きく頷きたくなります。

テント、寝袋を担いでの遠出は3ヶ月後のお楽しみにしておいて、目下自転車で近場を見て回っています。

近場と言ってもどうして捨てたものではなく、例えばリッチモンドという街にはリッチモンド・パークという1000万㎡の広大な公園があり、ここはその昔王室の狩猟場だったということで、鹿なんかも見かけます。

天気が良ければ、その横を流れるテームズ川のほとりにあるパブなどのテラスで一杯やるのもイイもんです。

現在、大家夫婦はフランスの別宅に行ってしまい、留守を任されている僕としては気楽に一人暮らしをエンジョイしております。

留守中は何時にトイレを流そうが関係ないですし、揚げ物、ニンニク料理なども気にせずバンバン料理して極楽ですね。

因みに昨日、一昨日と2連チャンでトンカツを揚げて、あまりの美味しさに絶句していたところです。

そんなこんなの春到来、英国風情です。

それでは、また。

2014年9月15日月曜日

2004年01月18日 「困った身近な問題」


冴えない天気、上がらない気温。

そんな中にも確実に日が伸びていくのが感じられ、季節は間違いなく良い方向に向かっていると思われます。

くだらないながらも真剣に悩む、そんな困った問題の話。

現在の住居はいわゆる下宿形式で、大家夫婦との共同生活です。

個室を与えられ、キッチン、シャワーは大家さんと一緒に使います。

慣れてきたとはいいつつも、そこは何かと気を遣ってしまいます。

例えば、ニンニクなどを使った料理をするときには出来る限り換気を心がけたり、夜遅く帰るときには音をなるべく立てないように忍び足にて自室に滑り込んだり、とマア常識的な範囲で気を遣うわけです。

僕は基本的に早起きの生活パターンを貫いており、大体5時半から6時の間に起きて勉強したり、朝ご飯を食べたり、お弁当を作ったりするのですが、そんな早朝に大家夫妻は起きているはずもなく、なるべく音を立てずにとコソコソしているのです。

朝起きるとまず何をするか?

そうです、おトイレに向かいますね。

用を足して、当然にして流す。

そんな当たり前の行為を繰り返していたある日。

トイレを流して、自室に戻った際、カベの奥から「キュルキュル、シュシュシュー」となにやら異音がします。

どうやらカベの中に水道パイプがあるらしく、そんな音がするようです。

当初、「ははーん、セントラル・ヒーティングのお湯が家中を駆け巡る音だな、さては。」などと思っていたのですが、実はこれはトイレを流したあとにトイレのタンクに水をためるために起きる異音であるとある日気付いてしまいました。

この異音、かなりのボリュームで敏感な人なら安眠を妨げられるに値するものです。

早朝、用を足したあとトイレで独り考え込んでしまいました。

今(5時半)流すよりは家をでる直前(7時半頃)に流すほうがいいのかも。

イヤイヤそんな用を足したまま流さないなんてイヤだわん。

もう葛藤の嵐です。

かのシェークスピアは、「To be, or not to be. That is the question.(生きるべきか、死すべきか。それが問題だ。)」とのたまわったらしいですが、タテバヤシは言いたい「To flush, or not to flush. That is the question.(流すべきか、流さぬべきか。それが問題だ。)」と。

どうです。

くだらない問題でしょ。

しかしかなり真面目な問題です。

タテバヤシ歳38にしてトイレについて悩んでおります。

2014年9月3日水曜日

2003年12月21日 「サクラ散る・・・」


英国では「HEALTH&SAFETY REGULATION」という規則があり、いわば安全衛生に関してかなりうるさくなっています。

園芸上は避けて通れない雑草駆除、病害虫駆除などの薬剤散布に関しても試験を受けて資格を持たなくては作業は出来ないことになっていて、この度、費用全て植物園持ちでこの資格の試験を受けました。

見よ、この真剣なまなざし



3日間の講義と実技を経て、半日掛かりで一人づつ試験を受けます。

よって試験は一日二人。

僕は3日目の午後。

それより前に受けた5人はことごとく合格し、準備も万端だった僕は自信満々で試験に臨みました。

試験とはいっても言わば運転免許のようなもので、常識的でさえあればマア問題なく受かるハズ。

前半は試験官が矢継ぎ早に理論についてアレコレと質問してきて、それをなんとかクリアし、今度は実際に長靴、専用のつなぎ、手袋をして擬似薬剤(水)の入ったタンクを背負って芝に薬剤を散布します。

これは与えられた場所の面積から、散布する薬剤の濃度、分量を正確に計算し、散布終了時にはタンクが「ほぼ」カラになってなくてはなりません。

芝には4本の細い竹が刺さって、散布するエリアを示しています。
例えば幅9メートルのエリアであれば1.5メートルの幅で散布しながら3往復すれば良いという訳。

問題は、散布し損ねた部分があったり、逆に2重散布する部分があってはならず、これを成し遂げるために1.5メートル間隔で竹の棒を目印に地面に刺していきます。

さて、実際にそのエリアに行ってみると・・・。

現在英国の日照時間は非常に短くなっており日没は16時前。
しかもあろうことか、当日は厚い霧が発生して目を凝らしても、25メートル先にある竹なんぞハッキリ見えやしないのです。

それでも我が良好なる視力(裸眼両目1.5)を信じ、霧の中をシューシューと薬剤散布の真似事をしつつ、突き進んだのでした。
おごれるもの久しからず。

最後の竹の棒を通過し、背中のタンクがほぼカラになり、勝利を確信した僕は得意満面で「終了しましたッ!!」と試験官に告げると、「ウーン、悪いが試験は不合格だよ」ですと。

「えっ?何でですか??」と尋ねると、竹の棒を一本見過ごして、一箇所に二重散布、その分一箇所には未散布という一番やってはいけないパターンをやらかしたとのこと。

がーーーーーーん。

「え、あの、その、霧でですね・・・。あの、そのもう一回やらせもらえませんでしょうか?是非、是非」

「良いけど同じ日の再受験は出来ないことになっているのだ」

ということで、ガックリし試験官と教室に戻り、事務的な書類のやり取りを済ませ、「理論合格。実技不合格。」という大して有難くもない書類を貰い家路に着いたのでした。

その晩はクラスメート全員が集まりクリスマス夕食会となっており、「不合格だった」と告げると「それウソでしょ、冗談でしょ」と取り合ってくれません。

でもホントに落ちたとようやく伝わったようで、笑う者、真剣に慰めてくれる者、など様々でしたが、僕としては笑ってもらったほうが有難かったかな。

3日間の講義期間中に教官が「この竹の棒を見誤って不合格になる人が毎年います」なんてのを聞いて「アホよのー。そんな大事なもん見誤るなっつーの」なーんてうそぶいていたのに。

そうです、そうなんです僕がそのアホなんですぅ。

日本で植木屋で修行をしていた頃。

この薬剤散布の手伝いをさせられたことがありますが、これはホントいい加減だったです。

今思えば。

僕がタンクを背負って親方がホースを持って梅の木などについたアブラムシなどに散布するのですが、風向き次第で目に入り「染みるなー」等と思っていたのですが、これは英国ではありえません。

着ていた紺色のティーシャツの薬剤が染みた部分だけ色が抜けていたりしましたから、かなり危ない橋を渡っていたのでしょう。

親方も、「時々気分が悪くなるんだよー」なんて言っていましたが、コレはいけません。

くだんの試験は再試験を翌週に受けて(快晴、霧なしの日)、合格しましたことを付け加えておきます。
では、また。

2014年8月11日月曜日

2003年12月07日 「クリスマス目前」 



9月にキューに引っ越してきて、ロンドンで銀行時代の元上司と元同期と3人で日本風居酒屋で飲んだときの事。

会計を済ませて店を出ようとした際、居酒屋の片隅にいたグループと元同期が親しげに話をしており、ついでに紹介をして貰いました。

それが、この度イラクでテロの犠牲になった奥審議官だったとは、その元同期からのメールで知りました。

元同期は慶大ラグビー部OB、奥さんは早大ラグビー部OBということで知り合いだったようで、僕もラグビーやってたんです、なんて話した気がします。

世の中の何と狭いことか。

それにしても、テロの犠牲になった奥さんの冥福を祈る次第です。

合掌。

現在当地は日の出07:51、日の入15:53と日照時間はザッと8時間ですか。

加えて英国独特の曇りがちな鬱陶しい天気が続き、なんともサエません。

今のところは、毎日植物園内で庭仕事に精を出す毎日で、かなりの「フィットネス」です。

毎晩飲まない日は無いと断言できるのも拘わらず、お蔭様でお腹も出ずに元気です。

週末の内一日は庭仕事のバイトも極力するようにしていますし、更に、来春のロンドンマラソンに申し込みをしたので、それに向けて一日置き位で走っております。
(毎日じゃあないところがなんともお気楽、極楽)

このロンドンマラソンはかなり競争が激しく、出場するには抽選に通らなくてはならず、只今結果待ちです。

折角ロンドンに住んでるのだから、記念に、と。

キューの横にはテームズ川が横たわり、この河畔をワッセワッセと走っています。

キュー・ガーデンも現在は通常16:15閉園のところ、12月は金曜日と土曜日に限って20:00まで開園し、各所クリスマス用にライトアップされた園内を、多くの人達が訪れ、クリスマス気分が徐々に盛り上がってきています。

僕は実は年内に2つの旅を画策しています。

ひとつめは来週2泊3日で、例のケンブリッジのジョンと二人でウィーンに行きます。

これは、デイリーテレグラフという新聞紙上でキャンペーンと称して格安セットを発見し、二人迷わず申し込みました。

なんでもこの時期は「クリスマス・マーケット」というのが開催され楽しいのだそう。

またまた二人の珍道中となること請け合いで、今から楽しみです。

そして、ふたつめは年越しになりますが、12月28日から1月3日までドイツのハンブルグに。

これはクラスメートの女の子の実家がある為で、宿泊費無料!!というので飛びつきました。

他のクラスメートも含め3人での旅ですが、女の子同士好きにさせて、僕はマイペースで初ドイツをタンノーしようという計画。

ウィーン、ハンブルグ共にドイツ語ですので、早速本屋で「ドイツ語教本」を買い込み練習を始めました。

不明な点、そしてチャンと発音が聞きたい場合はそのドイツ人
のクラスメートに聞けばチャンと教えてくれるので、勉強するいい機会です。

以前のフランス語はどうしたって??どうぞ武士の情け、聞かないで下さいまし。

(でも明らかにとっつき易さはフランス語の方が上で、ドイツ語は全てが新しいカンジです)

そんな12月模様です。

添付写真は昨晩撮ったキュー・ガーデンの代名詞的建物「パーム・ハウス」の夜景。

なかなかクリスマスしています。

それでは、また。

2014年8月2日土曜日

2006年11月23日 「タテバヤシ1週間」



15日(土)
大家がフランスに行き不在中の為、朝から居間でラグビーワールドカップを観戦。

オーストラリアVSニュージーランド、特にオーストラリアのレベルの高いディフェンスに感動を覚える。

昼から3年生のオーストラリア人、マルセラの紹介で隣町CHISWICKの邸宅の庭の手入れを始める。

時給ベリーグッドで、思わずにやける。

夜、クラスメートと映画を見に街に繰り出すが、生憎先週上映終了とのことで、そもままパブでビールを飲んで帰宅。

16日(日)
昨日同様居間でラグビー観戦。

週末恒例のパンケーキを作り胸焼けがするほど一人で食う。

自転車をかっ飛ばしロンドン中心地へ。

ピカデリーサーカス、リージェント・ストリート、コベント・ガーデンなど人ごみでごった返すなか、買い物をする。

来週末、2年生のドイツ人クリスティーンが主催するインターナショナル・パーティに持っていく「ちらし寿司」のモトを買うのが主な目的。

ついでにテイクアウェイのにぎり寿司とキリン一番搾りを店内で食す。

ウマイ。

すっかり日本食モードになってしまい、納豆とお刺身用サーモンを買い、晩ゴハンは納豆、刺身、梅干、味噌汁、ご飯と望郷メニュー。

就寝までの間は明日の針葉樹分類テストに備え激勉。

17日(月)
午後から雨が降る冴えない一日。

針葉樹分類テストは激勉の甲斐あってマズマズの出来。

夜は毎週月曜日にあるKEW相互勉強会にて、約100人の聴衆を前に日本の植木屋について地下足袋、手拭いなどの植木屋スタイルで説明をする。

このパフォーマンス、バカウケで来週も別内容でやることとなる。

18日(火)
夜は明日に控えたクラス・ミーティング(クラスでの話し合いを一年生用の宿舎で皆が集まり話合うもので、隔週毎。毎回シェフが選出されミーティング前に腹ごしらえをするというもの)に備え、日本のカレーを作る。

ハウス・バーモンドカレーを鍋に投入する際に思わず西城ヒデキ風に「リンゴとハチミツとろーり溶けてる・・・」と歌ってしまう。

自分の作ったカレーは明日用で、その晩はクラスメート、ローリー君の作った豚肉のハチミツとマスタード和えをご馳走になる。

19日(水)
再来週の分別テストの御題は「竹」。

セクションの責任者の説明で竹を見て回るが、どれも似ていて気が狂いそうになる。

夜のクラス・ミーティングでは、カレーはなかなか好評であった。

ミーティング後、韓国人のジューンにバリカンで床屋をしてもらいサッパリ。

彼女は僕の専属ヘアードレッサーで、ほぼ2週間に一度の頻度で面倒を見てくれる有難い奇特なやつ。

因みにバリカンは僕の「マイ・バリカン」。

深夜、大家夫妻が約2週間のフランス滞在から戻り、「タテバヤシ2週間天下」が終了する。

20日(木)
クラスメートのドイツ人、イリーナのお姉さんが約1週間遊びに来て、食事を作るから食べに来て、というので他のクラスメート共々ご馳走にあずかる。

ニシンのマリネ、玉ねぎ、リンゴ、きゅうりのピックルスなどをヨーグルトで和えたものをジャガイモというドイツ料理はなかなかユニーク。

ニシンの生っぽい食感がまたしても望郷心をくすぐる。

21日(金)
毎週金曜日は三々五々パブに集うことになっており、普段は1~2時間でお開きになるのだが、どういう訳かこの日は皆のノリが良くついつい深酒をしてしまう。

22日(土)
ヨークの学校のガーデンデザインの先生がKEWで開かれるセミナーに来るので会おうではないの、となる。

待ち合わせは朝の8時半。

その足で先生を連れ、一年生用の宿舎の居間でラグビーワールドカップ決勝を観戦。

先生は当初、「前半を見たらセミナーに行かなくては」なんていっていたものの、前半が終わると「これを見ずしてどうする?!」と一旦、受付を済ませ再び戻ってきて最後まで観戦する。

イングランドの勝利に皆大興奮。

生はセミナーの参加費105ポンドを払い、「セミナーの目玉は午後だからいいのだ」と言って出掛ける。

帰宅し、夜のインターナショナル・パーティーに備えちらし寿司を作る。

金糸タマゴ、スモークサーモンで仕上げをする。

金糸タマゴはル・クーセットのフライパンで薄くタマゴを焼いて、細く切り、我ながら素晴らしい出来。

ホントにこれで縫い物ができるのでは?と。

そのインターナショナルパーティーはドイツ、オランダ、スペイン、イギリス、インドそして日本と様々で、ドイツ人、オランダ人は4~5カ国語を当たり前のように話すので、勉強しなければっ!!とまたしても単細胞が働く。

24日(日)
昨日からの雨。

珍しくまとまって降っている。

9時から先週の御宅の庭の手入れの予定ではあったが、この悪天候でキャンセルする。

お昼からは、妹の友人の弟(まだ会ったことも無い)というお医者さんが、この秋から東京からロンドンに引っ越してきたというので、会って食事でもして、ついでにキューガーデンを案内することに。

生憎の雨なのでどうするかは先方次第。

夜は、明日の植木屋講演第2弾の準備と、竹の勉強の予定。

そんな訳で、日は短くなり、気温も下がってきて、冬もすぐそこです。

では、また。

2014年7月23日水曜日

2006年11月10日 「きんと雲2号」



唐突ですが「きんと雲2号」を入手しました。

どうも、「オマエの話は作ってんじゃあないの?」と突っ込まれそうな、小説よりも奇なるホントのお話。

先週ボクは大枚はたいて購入した自転車で颯爽ときんと雲さながらのスムーズなサイクリングを楽しんでおりました。

ところが買ってからたった4日目に、こいでる最中に突然ペダルが異常に重くなったのです。

こりゃ何かペダルか車輪に絡まったかっ?と丹念に見てみるも何も発見できず、原因不明のまま重いペダルをこぎ続けたのでした。

キューという植物園は約300エーカーという広大な敷地を有し、園内の移動は職員に限って自転車が認めらています。(許可制)

例えば温室前の花壇で作業をしたとして、「じゃ、これから一時間の昼休み。またね。」といって、それからトボトボ歩いて戻っていたのでは歩いて往復して昼休みが終わりかねません。

そんな訳で自転車は必需品。

その重いペダルを「クソーっ」と懸命にこいで移動しているだけで、心臓にかなり付加が掛かり大汗をかき、たいそうな運動になりました。

これじゃ「きんと雲」どころか「鉄ゲタ君」です。

週末こそはなんとかせねばと爪を研ぎつつ迎えた今日、日曜日にまたしても車を片道40分も走らせ、自転車屋に行ったのでした。

「やあ、先週自転車を買ったんだけど、どうも調子が悪いので見て欲しいんだ。このペダルの重たさ、異常でしょ?」

「お預かりして調べます。一時間ほど経ったらまた戻ってきてください」
ということで、近所のパブで昼食を済ませて、戻ってみると、おニイさんが意気揚揚と
「シャフトの調子が悪かったようなんで、部品を交換して直しておきました」
と言うので、
「フムフム」
と頷きつつヨクヨク見てみると、元のものとは似ても似つかないペダルとギアが着いています。

「あのサ、直してもらったのは有り難いんだけどサ、これって元のとぜーんぜん違うじゃんサ」

「生憎、同じモノは無いもんですから。でもコレ元のよりも良いヤツですよ」

「あのサ、元のより良いか悪いかどうやってボクが分かるのサ。そもそもボクはね、安物買いの銭失い的な自転車に懲りて、遥々車を40分も飛ばして来ている訳よ。これじゃ、ここで、これを買う意味が無いじゃあない?あのサ、たった4日、買ってたった4日目にこんなことになるってのは、不良品を売ってるってことじゃない?部品交換でお茶を濁すんじゃなくて新しい自転車に替えるのが普通じゃあない?」

「生憎このフレームサイズ(L)は切らしていまして」

「またぁ、そこにあるじゃぁないLがサ」

「アラ、これは気付かなかった。でも新車に替えるのはオーナーに相談してからじゃあないと。替えるとしても今日はムリで、後日となると思いますよ」

アラ、気づかなかったじゃないよ、とムッとしつつも、
「相談でもなんでもしてよ。ついでに、後日取りに来るんだったら、車のガソリン代も出してもらいたいとオーナーに伝えてね」

なーんてやり取りがあって、結果新車に今日替えることに。

しかし、話はここで終わらないのでした。

新車のクセに横に割と大きな引っかきキズがあるのを発見し、普段なら「カタチあるものはいずれは壊れるもの」と割り切るのですが、今日はどうも割り切れない気分で、キズを指摘すると、

「お客さん、私は出来る最大限のことをしているのです。これ以上となると、お代をお返しして、この話は無かったことにさせてもらいます」

「結構。返してもらったお金で納得した自転車を買うから、お金、返してちょうだい」

現金を取りにレジに引き返したと思った担当者はまたオーナーにボソボソと電話で相談したようで、暫くしてボクのところに来て、

「このグレードの2つ上の自転車で手をうちませんか?」ですと。

それは同じくGIANTのアルミフレームのなかなかいいヤツで、コレまでのものより50ポンドほど割高のものでした。

「これってラッキーなんじゃぁない?」と思わずニヤけそうになるのを抑え、作ったしかめっ面で「ウーム、仕方が無い、それでいいや。でもまた調子悪いのはカンベンしてよ」・・・・

そんなこんなで、ボクはさらに滑らかなる「きんと雲2号」のオーナーになりました。

こうやって書いてみるとなんてことはないようですが、この類の交渉事を英語でするというのは、身も心も消耗します。

まずは、自分の主張を通すこと、理屈を通すこと、ナメられないこと、かといって激高しないこと、など注意を払い、身振り手振り、そして表情をつけて言葉の足りない部分を補います。

そうやって勝ち取った2グレード上の自転車は価値があると思われます。

盗難が多いので盗られないよう注意しつつ、これでロンドンを疾走する決意でございます。

では、また。