どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2013年6月21日金曜日

2002年12月15日 「ツイていない話」


試験が終わったから、という訳ではないのですがちょっと「書く」モードになっています。

ツイていない話。

こちらでは車の盗難(車両そのもの、車上荒し共々)が多いため、防衛策を各々が講じている様子。

一番一般的なのが「ハンドル・ロック」でハンドルにゴッツイつっかえ棒を通して鍵を掛けるというもの。

これには色んな形があるようで、ハンドルに鉄棒を通す一般的なものに加え、ハンドルごと大きな鉄の円盤で覆いハンドルを握れなくするもの、ギアとサイドブレーキを鉄棒で繋ぎ鍵を掛けるものなどマチマチです。

ハンドルを鉄の円盤で覆うのを最初に見たときにはその大袈裟さに、ひとり込み上げる笑いを禁じえなかったものです。

更に日本では駐車違反の際に最近見かけるようになったクランプ(タイヤに鉄の足かせをはめるもの)を自ら施す人もいます。

何もそこまでやらなくても・・・、と思う反面、そこまでやらないとダメなの?と不安になります。

造園業者や各種工事の作業車には工具が乗っているためコレを狙う輩も多いようで(工具をすぐにどこかに売っぱらうのでしょう)、そういったバンには通常の鍵に加え、外側に溶接した金具に南京錠を掛けていたりします。

僕も一番一般的なハンドルロックを施しています。

車上荒しで一番多いのが「カーステレオ」のようで、大きく分けて2つの防衛策があるようです。

①カーステレオの操作パネルだけがパコッと外れて持ち歩けるようになっている。

つまり駐車の度に自分の車のカーステレオを持ち歩くというもの。日本でこんなのは見たことも聞いたことも無かったので、初めてこれをみたときは感心するやら、あきれるやらでした。

②カーステレオを誤操作すると1000ボルトの高電圧が流れ撃退するというもの。

コレはウソです。

ホントの②は
②4桁の暗証番号を打ち込むようになっている。

これは普段必要ないのですが、仮に車上荒しがカーステレオを車から引き抜いた場合、一旦カーステレオに対してすべての電源供給はストップしますね、これで再度電源を入れたときに4桁の暗証番号を入れるというもの。

さて前置きが長くなりました。

先日、学校から颯爽と車で帰ろうとしたとこと、ウンともスンともいいません。

スモールランプをつけっぱなしにしたため、バッテリーがあがってしまった為と判明。

慌てずにAA(日本のJAFみたいなもの)に電話をして問題は速やかに解決されました。

しかし!!ここで問題が起きました。

バッテリーがあがって、一旦電源がストップしたカーステレオは「4桁の番号を入れたしっ」と生意気に点滅しています。



僕はこの車を中古車屋から買いましたが、そんな番号は聞いていません。

中古車屋のオヤジに電話をかけて聞くも知らぬとのこと。

後日「フォード」の工場に行って聞くと、番号は調査出来るが費用は「16ポンド」とのこと。

加えて、トランクの鍵が硬くなり、「硬いなー」と思っているうちに更に硬さを増し、ついには自分の鍵ではトランクが開かなくなってしまっていたので、コレも修理した場合幾ら掛かるのか聞いたところ最低65ポンドは掛かるとのこと。

ステレオが聞けなくても、トランクが開かなくても、「車は走る」わけですので、悩んだ結果現在は問題を放置したままとなっています。

しかし、自分の車の自分のカーステレオなのに、「ご主人様に対してその態度は何だっ!!」とカーステレオ君に怒鳴ってみても虚しいばかり。

スモールランプのつけっ放しはイカンですが、これも通常であれば「ライト点灯状態で鍵を抜くとピーーッと警告音が鳴る」のですが、気紛れな奴で鳴ったり、鳴らなかったりするのです。

この一大事には無言でご主人様が授業に繰り出すのを見守ってくれたという訳です。

ちぇっ。


2013年6月10日月曜日

2002年12月14日 「師走模様」


今日ひとつ試験がありました。そしてそれを終え今安らぎに浸っているところです。

そう、最近はもっぱら学業に専念する毎日でした。

今日の試験は「Plant Science」という科目で、内容としては植物の構造、受粉のメカニズム、各細胞の働きなど細かにやるのですが、これらは植物園にいた際に細切れに学んだことで、それが今回授業を通じて「体系化」されていくのが楽しくて、楽しみにしている授業です。

「おおっ、アレはこれと結びつくのか。ナルホドっ!!」とこれまでの細切れの知識がひとつに繋がっていく喜びというのがあります。

しかし、試験となると事情は少々異なります。
点を取って結果をださにゃぁなりませんから。

当然にして全てが英語ですので、「花弁」「雄弁」「葉身」「托葉」「葉柄」「単葉」「主脈」「側脈」「頂小葉」「互生」「対生」「輪生」「頭状花序」「散形花序」「総状花序」「穂状花序」「集散花序」「円錐花序」「散房花序」「尾状花序」「雌雄異株」「虫媒花」「両性花」「鋸歯」「花冠」「奇数羽状複葉」・・・・といった日本語でも「?」なことを英語で覚えねばならず、これはチト大変です。

とは言ってもそもそも日本語でこういったことを知らないので、訳すことは無駄と悟り、これはこのまま憶えるようにしています。

上記の用語は日本の本を参考にしましたが「なるほどー、こう言うのかぁ・・・」とビックリあーんど溜息です。

まあ、そんな訳で学生らしく勉学にエネルギーを注いでおります。

最近の自分としてのグレートなニュースとしては「鍋を買った」でしょうか。

これまで自分の愛用していた鍋は直径が18センチ位のテフロン加工がしてあるフツーの鍋でした。

これでトンカツも揚げれば、ご飯も炊く、さらにチリ・コン・カルネも作る・・・と大活躍の必需品でした。

しかし、安物だけに最近は底のテフロンが剥がれて料理に混ざり、思わぬ隠し味を演出するようになり、これはイカンと思い切って鍋を新調することにしました。

また同様の鍋を買ったのでは、近々にまた底が剥がれてまた買い換え・・・となる気がして(コレを安物買いのゼニ失いとでも表現するのでしょうか)、今回は奮発して「おフランス製」のル・クルーゼという鍋を購入いたしました。



これは鋳物ホーローの鍋で、恐ろしく重たく持っているだけで筋肉トレーニングとなるようなシロモノですが、その分熱伝導に優れなんでも美味しく出来るのだとか。

この鍋の優れているもうひとつの点は、フタはそのままフライパンとして使える、ということです。

せいぜい18センチですから、たいしたことは出来ませんが、しかしそれは親子丼やカツ丼を作るにはピッタリのサイズ。

週末恒例のパンケーキも小ぶりの奴がバンバン焼けてしまいます。

思わず頬ずりしたくなる愛おしさです。

今日は「麻婆豆腐丼」を作って食べました。

この前、リーズというヨークから40キロくらい離れた大都市を散策した折に発見した「東洋食材店」で豆腐と豆板醤を購入して、この機会を伺っておりました。

そして以前、妹がこちらに来た際に持ってきた雑誌「オレンジページ 3/2号 男の大好きごはん」の25ページにあるこの麻婆豆腐丼を参考に自分なりにヒネリを加えながら作ってみたという訳。

「豆板醤のピリリとした辛味がクセになりそう。温かいご飯たっぷりかけてめしあがれ。」の宣伝文句通りにたっぷりと食べました。

因みに、たっぷり作りすぎ、とても独りで一晩で消費しきれず、クセになろうがなるまいが、明日の晩も「たっぷり」の麻婆豆腐丼です。

東京でも雪が降り、暮れらしく寒くなってきたことと思います。

当地も、毎年申し上げているように12月21日の冬至に向け日照時間が大変短くなってきております。

日の出08:18、日の入15:49とか言ってますので、これで天気が悪いとなればお天道様を拝めるのは一日の内数分程度といったところでしょうか。

学校は12月19日で終わり、それから約2週間の休暇です。

「クリスマスをいかに過ごすか」

これは毎年の大命題です。

基本的にイギリス人はクリスマスは家族でノンビリと過ごすということになっていますので、家族のいない僕としては独りで過ごすというのが自明の理ではありますが、有難いことに、「クリスマスはどうするの?よければウチにおいでよ」とアチコチから声を掛けてもらい、幸いなことに独りで過ごすことにはならなさそうです。

クリスマス頃からケンブリッジに下り(ケンブリッジはヨークからすると大分南にあります)、毎年恒例となったビル君の実家を皮切りに、寝袋を抱えてアチコチを泊まり歩いて、大晦日は植物園でこれも恒例となった焚き火をして年を越す予定です。

そんな暮れ模様です。

お忙しいでしょうが、どうぞ風邪などひかれずにお元気で。