どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2015年1月27日火曜日

2004年05月30日 「5月ゆく」



5月も残り数日となりました。

来週の月曜日がバンクホリデーのため3連休です。季節も英国では一番良い頃。

どこかへ繰り出したいのはヤマヤマですが、6月に控えた期末試験、及び諸々のレポート、小試験などで家でおとなしくしています。

気はかなり重いです。

以前お話したクラスでストレスを感じているという件。

まあ、なんとなくストレスはいまだに感じているものの(そんなストレス・フリーの生活なんてありえませんものね)、「大ストレス」は当の本人と大いに議論した結果なんとなく落ち着きました。

議論なんてエラそうなものではなくて、ただ「お前のここが気に入らん!!」「それは誤解!」「それじゃあ、これはどう説明すんだ?」などと声を大にしてしばらく言いたいことを言い合ったら溜飲が下がり、憑き物がとれたようにスッキリして、「ハテ、何に頭にきていたのだ?」と不思議なカンジでした。

その程度のストレスってことでしょうかね。

ここ数年間平和に過ごしてきているので、こういったストレスに対する抵抗力が落ちてきたのかもしれません。

ご心配をおかけしました。

さて「5月」はワタクシにとっては特別な月。
何を隠そう誕生月なのです。

例の庭仕事のバイトを頑張ったりしたので懐も多少暖かく、ここは何か特別なことをしようと。

以前回転寿司にいった話を、現在ロンドンにいる銀行員時代の元上司に話したところ、「セントポール大聖堂近くのレストランで土曜日のランチにはこれでもかっと刺身がのったチラシ寿司がうまいゾ!」とのアドバイスを貰い、ロンドン市街に繰り出したときに試したことがあります。

「確かにっ!」
これでもかとヤケクソ気味に刺身がのったチラシ寿司12ポンド(約2400円)は価値がありました。(メロン、茶碗蒸し、サラダ、味噌汁付)

会計をする際にレジの横にあったチラシに目が留まりました。

「土曜ランチ寿司20ポンド食べ放題。要予約」

おおおっ。
食べ放題ってことは無制限に食えるのだな、しかも寿司が。

「何か特別なときに来よーっと」とそのチラシを数枚頂戴したのですが、こんなに早く「特別な時」が訪れるとは・・・。

しかもチラシ寿司を食べにいったときのチラシが役に立つとは江戸っ子もビックリの粋な筋書き。

金曜日の夜に緊張気味に電話をしました。

「あのー、チラシを見たんですけど、明日寿司食べ放題」
「エエ、一人で。」と予約を完了。

土曜日。

予約時間12時に遅れないように張り切って自転車で自宅を出発。

天気もよろしく、気分良くサイクリングをこなして店に入ると、そこには10人ほどが座れるカウンターが。

板さんが一人で黙々と握っています。

以前にも申し上げた「日本度」はまずまず高いと、前回来たときに感じたのですが、黙々と握る板さんが「ナニ、シマショカー」と聞いてきて思わず腰が砕けました。

黙っていればそういう日本人も居るよなぁ、という風貌なのですが、喋ってしまうとバレバレです。

でも反射的に「中トロ」と言うと通じたみたいで慣れた手つきで握ってくれます。

ここで問題が発生。

10人の客に対し、板さん一人。

中トロ2カンを2秒で胃袋に収めてしまった僕は次の寿司までしばらく待たねばなりません。

このままでは徐々に満腹中枢が刺激されて食い放題敗北の図式が成り立ってしまいます。

イライラしていると、板さんも僕の殺気立った視線を感じたのでしょう、厨房からヘルプ君を連れてきました。

しかしこのヘルプ君はまだまだ修行中の身のようで、なんとも手つきがぎこちなく、一旦握った寿司をまな板の上でああでもない、こうでもないとカタチを整えたりしています。

文句言うよりは楽しまなくては、誕生日なんだし。

そして何より食わねば、と気分を切り替え、冷静に考えた挙句ある妙案を思いつきました。

1.視線は常に板さんへ。(腹減ってるの、と猛烈アピール)
2.注文は常に2品ずつ。(例:トロとアジ、あるいはヒラメとホタテなど)
3.一定のペースを守る

これにより、板さんに「あの隅っこの客は出したらスグに平らげちゃうのね」という意識をうえつける事に成功し、途切れの無い注文が可能になったのでした。

メニューにはさほどひねったものは無くありきたりのシンプルなものでしたが、約1時間15分限界まで食べて食べまくりました。

板さんが「ミソシル、イカカテスカー」と聞いてくれましたが、「結構です」とお断りしました。

味噌汁が入る余裕があればそこに寿司を入れようという姿勢を貫いた結果です。

「やっぱり日本人、寿司だよ寿司」と大満足して帰路に着きました。

そんな訳でついに、とうとう30代最後を迎えてしまいました。

身分は学生、独身、と世間の39歳に比べてしまうとかなり違和感があります。

でもこうやって美味しく食べれて、飲めて、やりたいことをやっているという点ではナカナカの幸せモンです。

最近の写真を添付いたします。

田舎道をリンゴを頬張りながら歩いております。

あいだみつを的ではありますが、人生マイペースでノンビリ歩きたいものだと・・・。

では、また。