碧い海、白い砂浜、抜けるような青空・・・・、そんな休暇を試験中から夢見ておりました。
先週月曜日がバンクホリデーといって休日で3連休だったため、これに4.5日の休暇をくっつけて7泊8日でポルトガル南部のアルガーべ地方に独りで出掛けてきました。
とはいっても相変わらずの貧乏旅行で、パソコンと向かい合うこと約3時間。
比較に比較を重ねた結果の最安飛行機、最安レンタカーを手配した以外はテント、寝袋持参で行先も決めずに気ままに海岸線をキャンプして過ごすというもの。
なんでこの半端な4.5日という休暇をくっつけたかといえば有給があとそれだけしか残っておらず、最安の飛行機がこの半端な日程にピッタリくるからでした。
帰りは朝8時のポルトガル発の飛行機に乗り、ロンドン・ガトイック空港に11時。
それで午後1時から仕事をしようってんですから我ながらチョッと無理かなと一抹の不安はありましたが、英国のいい加減な交通システムには珍しく万事うまく事が運び、その日の午後には元気に植物園で働いておりました。
まさに奇跡的。
銀行員時代にこんな休暇の取り方をしていたらアホか、と一喝されまず実現はしなかったと思います。
さて、ポルトガル。
初めて行きました。
そのアルガーベ地方を一週間しか見ていないので全てを語るのは僭越というもの。
でも全体の印象はまず天気が毎日よろしく(夏期の月間平均降水量は1ミリ以下らしい)、地元の人たちの生活はとても慎ましく、英国人、ドイツ人の観光客がドッと押し寄せる場所、といったところでしょうか。
レストランのメニューにはポルトガル語、英語、ドイツ語の表記がしてありますし、地元不動産屋の店頭に張り出してある物件の価格が英ポンド表示だったりします。
日本人を含め、東洋人の姿はほとんど見かけず、キャンプ場でパスポートの提示を求められたときには「日本のパスポート、初めて見た」と言っておりました。
到着日はファロ空港の近くの街のはずれにあるキャンプ場に泊まり、街そして海岸を散策しましたが8月後半とはいえシーズン中の観光地。
自分の夢に描いた「人気のない砂浜」からは程遠く、翌朝サッサと撤収し「西へ向かえ」という本能に従って一気に西海岸まででました。
ここで3泊。
確かに人気は少かったものの、大西洋の荒々しい海で、波は高く、水温が低い、というこれまた理想とは相当ギャップがあります。
内、一日はモンチークというこの近辺では一番高い山、標高約900メートルに登ったりしました。
しかし、本当に日差しが強すぎて「これは危険」と感じて日陰を探しつつ歩いたり、休憩を頻繁にとりましたが、「オレも年をとったってことかしらん・・」とかつては太陽を求めて日差しに進んで出ていったことを思うとチョッと寂しくもありました。
夢のビーチにはどうやったら出会えるのか・・・。
このアルガーべ地方のどこかには絶対ある筈。
そこで思いついた作戦が絵葉書です。
絵葉書には理想に近いビーチが幾つか写っており、これに撮影地が記載されているのでこれを地図で探し、実際に足を運ぶ作戦です。
幾らかはマシ、という程度でそれでも理想とはなんか違います。
残り3日になったところで、ハガキできれいだった海岸の内のひとつに行き、そこで洞窟巡りのボートに乗りました。
イタリアの青の洞窟じゃあ・・・と思える(行った事ないので想像ですが)場所で、そこで舟から人気のまばらな素晴らしいビーチを発見し、船頭に聞いたところ歩いていけるとのことで早速行ってみました。
途中の道は険しく、勾配もきつい斜面をヨロヨロと降りていくとそこには、碧い海、白い砂浜、抜けるような青空・・・と夢のビーチが展開しておりました。
「これだっ。これなんだよ、探してたのは・・・」と早足で水辺に向かい、着ていたシャツと短パンを脱いで険しい道中で火照った身体を冷やすべく、海に飛び込みました。
低めの水温が心地よく、透明度の高い水がなんともよろしいカンジです。
ひとしきり涼んだところで、のどが渇いていることに気付き海から上がってリュックの中から水を出し、飲みながらあたりを改めて見渡して妙な違和感が・・・・。
ナント、そこはいわゆる「ヌーディスト・ビーチ」だったのです。
隠れ家的なビーチをいいことに、皆開放感からかスッポンポンの老若男女が日光浴、海水浴を堪能しています。
イヤ、正確には老若男女ではなく老男女で、しかもいわゆるイケメン・ヌーディストはおらず、ちょっと目のやり場に困るカンジです。
これが、ヌーディスト・ビーチってやつかぁー。いやービックリだなぁ。
と感心するばかりです。
別にきまりがある訳ではないので僕が脱ぐ必要はありません。
僕はかたくなに水着を着用していましたが、あたりをブラブラさせて歩くおじさんなどには困ったものです。
これって日本の公衆浴場に似てるなぁと思いました。
でもセクシーさってのは隠れていて見えるか見えないか、きわどいのが良いのであって「どうだ」と見せられちゃうとどうにもこうにも興醒めですね。
そのヌーディスト・ビーチを後にして来た道を戻る際、その隠れ家的ビーチを取り囲むがけの茂みに、なんと双眼鏡を持って「のぞき」をしている輩を目撃しました。
分からんでもないけど、アレを見てうれしいかなぁ?と僕には理解できませんでした。
貧乏旅行の基本は宿代を削ることですが、食事だけは多少良いものをというのがポリシーです。
それも地元の人が行く、安くて美味しいレストランを探すのが前提で、これはもはや特技かもしれません。
ポルトガル、しかもこのアルガーべ地方は新鮮な魚介類が美味しいらしく、毎晩魚ばかり食べていました。
料理法はいたってシンプルで各種魚の塩焼きで、付け合せに
ジャガイモなどの温野菜と食べます。
やはりワタクシは生粋の日本人です・・・魚を食べていて、まず「オーイ、箸もってきてくれ」そして「オーイ、醤油ないのかぁ」
さらに「オーイご飯つけてよぉ」と切望することしきり。
鯛やいわしの塩焼きはナイフとフォークで温野菜で食べるより、お箸で醤油をかけてホカホカご飯でしょう、やっぱり。
朝は地元人がたむろする英語のさっぱり通じないカフェでコーヒーと豚肉のサンドイッチ(5ユーロ以内)、昼はビールとハンバーグなど(10ユーロ以内)、夕食は魚とワイン(20ユーロ以内)と一泊10ユーロのキャンプ場を泊まり歩く割にエンゲル係数の高い旅です。
それにしてもビールにしてもワインにしても安いので「呑まにゃソン」と使命感に燃えてしたたか呑みました。
飲み屋、レストランもイギリスとは異なり、夜遅くまで開いているので(英国のパブは23時で閉店です)、特に最終日は独りで1時過ぎまで飲んでいました。
これには理由があって、朝8時の飛行機ってことは朝6時には空港にチェックインせねばならず、レンタカーを返す手間などをふまえ5時起き。
そんなたった数時間眠るためだけにテントを張るのも面倒だし、かといってホテルに泊まるのももったいない、という結論に至り気分良く遅くまで飲んで車の中で仮眠し、朝5時に起き上がりガソリンスタンドで満タンにするついでに簡単な軽食をとり・・・、という完璧な作戦です。
コレ自分一人ゆえ可能な作戦なのであって、家族がいたり、彼女がいたりなんて場合「車で一泊ダ」は通じないでしょうね。
いや素晴らしきかな独り身。
そんな訳で久し振りに痛いほどの日差しを浴び、アッという間の一週間でした。
普段外仕事なのでそれなりに日焼けしていますが、それはいわゆる「ドカタ焼け」で顔、首、腕、足が黒く、お腹、背中などは真っ白でした。
こういったところに日光を当てるのはほぼ5年振りでしょうか。
日焼けしたお腹の皮を剥きながらこのメールを書いています。
早くも9月。
ポルトガルから戻るとオリンピックはもはや終っており、来週には3年生の卒業式、再来週には新入生が入ってきて、僕は2年生になります。
少しずつ、少しずつ現実へと帰っていきます・・・。
*写真一枚目はポルトガル版「青の洞窟」
*写真二枚目は理想とちょっと違う砂浜。これはヌーディスト・ビーチではありません。さすがにヌーディスト・ビーチで写真を撮る勇気はなかったです。