どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2013年10月25日金曜日

2003年04月13日 「守銭奴」



果たしてオレは守銭奴か?と悩まずにはいられないこの週末です。

今日、土曜日は例の隣村のおばあさんの庭の手入れの日です。

天気も良く、気分良く出掛け、いつもの如く芝刈り、植物の植え替え、切り戻しなど手入れ仕事をしました。

ミセス・テイラーというそのおばあさんは、「あなたの率直な意見、アイディアが聞きたい」というので、「もう少し冬に楽しめる植物を植えたらどうでしょう」などとアドバイス染みたことも話したりしました。

自分の仕事は正直に「手抜きなしの誠実仕事」と自負しています。

朝の9時半から始めて終わったのは13時近く。

最後におばあさんが、「ハイ、じゃあこれは今日の分。それとイースターが近いから、これチョコレートね」と手渡してくれましたが、そこには「TWIX」というこちらでは何処にでもあるチョコ菓子と「14ポンド」。

初日の話し合いでは「時給7ポンド」だったはず。

初めて話し合いに伺った日は約一時間半を費やし、「それじゃあ、来週からね」と言って報酬ゼロ。

「イヤ、これは世間で言うところの見積もり無料って奴だな」と納得しました。

その後これまで2回行ったときもどうも「30分切り捨て」みたいなカンジで、手取りが理不尽に少ないのです。

まあ、短時間ながら紅茶を出してくれたり、犬と遊んだりするからかな、と何とか納得しておりました。

しかし、今日はどうしたって3時間半マジメに汗を流し、ハイと14ポンドを手渡されてもね・・・・。

最低でも20ポンド、正確には24.50ポンドでは?と疑問に感じつつも、気の弱さなのか、「どうして14ポンドなんですか?」と今日も聞けませんでした。

でも、次回は絶対聞こう、もし少なかったら。

なんか、「お金の話ってどうもイヤだな」と思ってしまうのです。

そんな話をイギリス人の友人に話したら「言わなきゃダメよ」と諌められてしまいました。

気分良くやりたいじゃあないですか、お互いにね。

2013年10月21日月曜日

2003年04月11日 「サクラサク」



現在の学校が修了したらどうするのか?

これは自分にとって大いなる課題でした。

いつまでも学生身分ではおれず、帰国して庭に関する仕事を起こすことを考えてはいるものの、まだもう少し今学んでいることを揺るぎないものとすべく英国に留まりたいと考えていました。

王立植物園キュー・ガーデンをご存知でしょうか。

ロンドン郊外にある世界最大の植物園です。

ここに「キュー・ディプロマ」という園芸に関して、世界最高峰の園芸資格があります。

毎年12~3人を受け入れ、3年のコースで、1年12ヶ月の内、3ヶ月は教室での授業、残る9ヶ月は植物園内の各部署を回りながら実技を学ぶというもので、日本では認知度は低いものの、英国はもとより欧州各国、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどでは、垂涎の的でそれらの国では引く手数多の最強の資格で
す。

2001年の夏にケンブリッジからキューに派遣されて過ごした一週間の中で、ここに入れれば凄いなぁと漠然と思っていましたが、今回今後の身の振り方をつらつらと考えるに「これしかない」という決断に至り、昨年暮れに応募し、今年1月に書類選考に受かり、3月に試験と面接を受けた結果、本日合格通知の電話を貰いました。

正直言って非常に嬉しいです。

受話器を握る手は震え、電話を切った後は思わず雄叫びをあげてしまいました。

世界最高水準の園芸教育が受けれるのはいうには及ばず、ここでのヒューマン・ネットワークが今後の自分の財産になると思います。

実は園芸を取り巻く世界はとても小さく、主だったところは皆大なり小なり係わりを持っており、その係わりの中心のひとつが「キュー」なのです。

自分の中には、ある野望があり、この野望を達成するためにはこのネットワークが何にもまして必要となります。

そんな訳で、更にあと3年。コース修了時には41歳です・・・。

しかし、万事うまくいっているかというと、実はこのコース有り難いことに少々の給料が貰えるだけに、学生ビザではなく労働ビザの申請が必要で、このビザ次第です。

いうまでもなく労働ビザはかなり認可が厳しく、今は楽観は許せません。

そのときは、また別の人生を歩むべしと今は気楽に考えることにしています。

そんな訳で今日はこれから一人で祝杯をあげ喜びをかみしめる予定です。

取り急ぎご報告まで。