前略
先週末に月、火とくっつけて3泊4日でパリに行ってきました。
実は一ヶ月ほど前に高校時代の後輩の女の子から「パリに行きますが会いませんか?」とメールが来て、かねがね「パリには行かねば」という気持ちがあったので、「OK!パリで逢いましょう」となりました。
その彼女は相当な歌舞伎ファンで現在パリで行われている市川海老蔵の襲名披露を見るためだけに遥々やってきた模様。
なんていったって土曜日の夜来て日曜日に歌舞伎を観て月曜日の昼過ぎには帰っちゃいましたから。
「時間が許せば一緒に見に行きませんか?」というので、時間は許すけどチケット代が許せばネ、とかえしたところマアマア手の届く範囲でしたのでパリにて歌舞伎初体験をいたしました。
そもそもミュージカルなどは必ず途中で寝てしまうタイプなので、「歌舞伎なんて大丈夫か?」という不安がありましたが、開演前に彼女の熱心な解説で予習をした結果、かなり楽しんでしまいました。
というか、面白かったですし、日本人であることを誇りに感じたりして。
つくづく自分の教養の無さに嫌気はさしましたが。
当たり前ですが、ホンモノの歌舞伎。
ホンモノの日本文化。舞台、流れてくる音楽など、日本で過ごした小さい頃をフト想い出してムショーに懐かしくなりました。
というのは僕の祖父がこういったのが好きでテープなどを流して聞いていたのでそれを想い出したこと。
さらに、小学生の頃見ていたNHKの「新・里見八犬伝」の舞台に
多少通づるところがあったこと、などで一気に胸がきゅーっとなってしまいました。
舞台の上にはフランス語で字幕が出る仕組みになっていてフランス人にも分かるようになっています。
日本語の字幕も出せばいいのに・・・。
演目は①鳥辺山心中②口上③鏡獅子で、口上はフランス語を交えてで、「にらみ」なども初めてナマで見ました。
隣に座った彼女が「ニラまれると良い事があるんですよ」なんて解説してくれて、「おおー、こっちニラまないかなぁー」とこぶしを固め
て期待したりしましたが、どうやら視線はあさっての方を向いていた気がします。
更にパリ在住のやはり高校時代の後輩(といっても全く面識無し)も合流し、中近東でよくあるシーシャという水タバコを体験したり、その後ベトナム料理屋でフォーという麺を食べたり、DIMEという日本の雑誌にある「前頭葉刺激地帯」という記事で見かけたことのあるミドリという和食屋で寿司を食べたり、「一体オレは何処にいるのだ?日本か、パリか、ベトナムか、はたまた中近東か??」ととても不思議な気分でした。
加えてこの高校時代の後輩の女の子たちは、確かに同時期に同じ学校、寮にいたことは事実ではありますが、それほどというか全く親しかった訳でもないのにこうやってフランスの空の下で時を越えて再会を果たすというのはとても不思議なものがありました。
さて、宿は相変わらず貧乏旅行でパリにてテントを張りキャンプしました。
初日は様子があまり分からず夜中にかなり寒い思いをしましたが、翌日以降は装備も整えてそれなりに快適なキャンピング・ライフでした。
因みに一泊11ユーロ也。
一方、その日本から来た後輩の女の子とは彼女のホテルのロビーで待ち合わせしましたが、それはそれは豪勢なホテルでたまげてしまいました。
因みに一泊300ユーロ也。
彼女が帰った後はかねてからの「やらねばリスト」に長期間登載してあった「モネの庭訪問」を果たすこととなりました。
これはジベルニーというパリから電車で約1時間いったところにあり、モネが創作活動をした家があり、併設の庭には彼が描いて有名になったハスが浮かぶ池のある庭があります。
この庭に対する期待があまりにも大きかったため、現物を見てかなりガッカリしてしまいました。
彼の絵でみるから良いのであって、庭としてのレベルはあまり高くないと感じました。
例えば鉢植えの鉢はテラコッタではなく、既成のプラスチックの鉢ばかりです。
更に日本人観光客のツアースポットになっているようで、次から次へと観光バスが日本人団体を連れてきます。
「スミマセーン、シャッター押してもらえますかぁ?」とおばさんに言われシャッターを押したのがキャノンのイクシーなるデジカメ。
液晶モニターがバカでかく、ボディーが驚くほど薄く、「いまどきのイクシーってこんななのかっ!?いいなー。欲しいなー」と自分のレンガ、もしくは豆腐一丁のようなデジカメを見て切に思いまし
た。
凄いですね、日本のテクノロジーって奴は。
家の中も見学できるようになっており、モネが収集した広重などの浮世絵のコレクションが圧巻です。
特に歌舞伎を観た直後で、妙に日本伝統文化鑑賞モードが異常に高くなっているときでしたので、庭そっちのけで浮世絵を堪能しました。
これ一枚をくすねて、テレビ東京のお宝鑑定にだしたら幾らつくだろうか・・・などと下世話なことを考えておりました。
最後に。
イギリス人はフランス人が嫌いで、フランス人はイギリス人が嫌い。というのは一般論ですが、やはりそうかな、と。
というのは英語で話しかけても本当に冷たいものでした。
道に迷ってもあまり親切には教えてくれません。
明らかに分かっているのに英語では答えてくれませんでした。
フランスなんだからフランス語で、というのは当然のスジではありますが、困ってるんだから答えてくれたっていいじゃんサ、とかなりカチンときました。
これは都会だからでしょうね。
田舎ではあまりこういう経験はしませんでした。
写真を2枚。
一枚はなにやら怪しげな、水タバコ喫茶で水タバコに耽るワタクシ。因みにワタクシは喫煙しませんが後輩が「私もタバコは吸いませんが水タバコは大丈夫です。絶対楽しめます」と説得され恐る恐る吸ってみたところこれが本当に楽しめました。
二枚目はパリの夕暮れ。セーヌ川沿いにエッフェル塔が見えます。ロンドンの方が庶民的で好きですね。
ではまた。