お天気オタクのジョンによりますと明朝はなんでもマイナス3度まで気温が下がるとのことで、温室の換気用の小窓を全て閉めて帰ってきました。
お天気オタクと何やら個人的な趣味レベルのようですが、植物園としては彼の発言を重視していて、こうやって窓を閉めて帰れという指示が上のほうからくるあたり大したもののような気がします。
さて帰宅したあと何をするか、今日はちょっとした計画がありました。
名付けて「3枚のトンカツ作戦(豚汁付き)」です。
何度か申し上げているように最近は自分の畑で採れるネギ、ニラをはぼ毎日食べていているのですが、いい加減に体臭がニラっぽくなってきたような気がして少々の不安を感じておりました。
そんな中、寒くなってきたことだし何かカラダが暖まるものはと考えたところ「豚汁」というナイスなアイディアがひらめきました。
ネギも使えるし、他の野菜も摂取できる理想的な料理と申せましょう。
高速道路のサービスエリアの食堂などにも豚汁定食があるくらいですから、それだけで十分なおかずになりうるという気がしましたが、ここはひとつ豪華にトンカツも揚げてみようということに。
順調に支度は進み、初めて作るわりには豚汁なんて出色の出来です。
豚、ニンジン、サツマイモ、タマネギといったシンプルな具を加えて仕上げに刻みネギと七味を振って出来上がりです。
味見をしつつ「うーん、オレって天才かも」と悦に入り、いよいよメインディッシュのトンカツへ。
トンカツはこれまでも何回か作っているので手馴れたものです。
ただ問題は自分の部屋はそもそも料理をするという前提で設計されていないということです。
つまり換気扇というものがないわけです。
これまでの経験から部屋にある服は全てクローゼットに格納し、部屋にひとつだけある窓を全開にして料理開始。
僕の部屋は1階でその窓は往来に直に面しているので行きかう人々が覗いていくのですが、そんなことは気にしちゃいられません。
頭のなかはトンカツと豚汁のことで一杯です。
トンカツを揚げる鍋も小さいので、一枚づつまめまめしく揚げていきます。
一枚、また一枚と揚げていくうちに、かなりの煙が立ち込めて部屋のなかの視界がかなり下がってきました。
もうちょっとで3枚目のトンカツが揚がるというときに「ピピピピッッッ!!!」というけたたましい音が部屋のどこかからしました。
これは最近大家のおばちゃんが設置した火災報知機です。
とてもシンプルな報知機で「煙がでてまっせー」と知らせてくれるだけで、消防署に直結していたり、スプリンクラーが水を撒いたりするといった気の利いたことは一切してくれません。
やっとトンカツが揚がってこれから香ばしいサクサクの出来立てを食べようって時に。
音だけはイッチョ前に大きく、まったく鳴り止まないので「どうしよう」とオロオロしながら、まず大家に電話をしたところ留守。
次にアパートのメンテナンスをするおっちゃんのところに電話をすると奥さんがでて「今食事中だから30分したら掛けなおして」とつれない返事。
この国は車の盗難が多く、車に警報機をつけてある車が多いのですが誤作動も多く、警報機がなったところで「また鳴ってらぁ」という程度にしか思っていないことは承知していたので、チョットうるさいけどこのままでは折角のトンカツが冷めてしまうと思われ、警報を無視することにしました。
耳栓を両耳に突っ込んでトンカツを食べ始めました。
するとアパートの2階に住む、かの天才ホーキング博士の助手をかつてしていたというスチュワートが、まさにこの警報機の音で目が覚めたという寝起きの不愉快そうな顔で「どうした?」と訪ねてきました。
警報機を止められずに困っていると言うと、彼がゴニョゴニョと警報機をいじってやっと鳴り止んだというわけです。
食事中もまだ部屋の中は煙でかすんでいましたが、部屋の窓を開けたままでは明朝マイナス3度になるという冷気が入り込んできて、折角のトンカツを一気に冷却してしまいますので、窓を閉じて煙にややむせながら食事をしました。
3枚のトンカツは1.5枚は今晩のおかずに、0.5枚はカツサンドにして明日のお弁当に、最後の1枚は明日の夜にカツ丼にという割振りをして、トンカツを最大限に味わおうという男のロマン漂う壮大な作戦です。
トンカツ、豚汁とまさに本格的トンカツ屋の味に満足しつつ、煙とニオイが充満する自分の部屋で「オレは何をしているのだ?」という疑問もわかないでもありませんでした。
できればもうちょっと優雅に落ち着いて食べたいものです。
「トンカツを揚げて食べました。」といえばそれだけのお話ですが、劇的といえば劇的なトンカツ話でしたのであえてお知らせした次第です。
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