どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2016年2月9日火曜日

2004年10月11日 「秋~悲しき近況など」



つい昨日、忙しくなってきたけど調子は良いカンジです、なんてことをいったばかりですが・・・。

今朝は日曜日だってのに、6時半から起きて、月曜日にある植物名の試験に向け机に向かい、朝食もしっかりと作って食べて、「今日はやることが山ほどあるあるのだ。時間はムダには出来ん」と庭仕事のバイトに繰り出すべく我が愛車(自転車)で出掛けようとしました。

そこで見た光景を理解するのにしばらく時間が掛かりました。

というのは自転車が無いのです。

さらに地面にはチェーン錠が落ちています。

「アレ、酔ってパブに自転車を置いてきたっけかな・・・」などとつらつらと考えつつ、落ちていたチェーン錠を拾い上げて納得。

盗まれたのです。

どうやら犯人は昨晩僕が帰宅した21:00から今までの間に明らかに狙いをつけて僕の自転車を奪っていったようです。

というのは、自転車の盗難は結構頻繁にあることなので、かなりシッカリとした鍵をつけており、気まぐれで失敬、といったものではなく専用の鍵カッターを使った大胆なプロの犯行です。

無残に切られた鍵の残骸をみて力が抜けましたが、ここまでくると「あっぱれ!お見事!!」と褒めたくなってしまいますね。


これで盗られるのだったら何をしても無駄といったところです。

まあこんなことは英国ではよくあることなので、「超・高級自転車」には乗っておらず、かといってそれなりに遠出など快適に出来るものというコンセプトで自転車を選びましたので、そりゃショックですが、回復もまあまあ早いです。

困るのは、この自転車につけてあった前後のライトも自転車ごと消え失せたこと、鍵も壊されたこと。

自転車は必需品で無いと生活に支障をきたしますので、気持ちを入れ替え早速新車を買いましたが、これに合わせてライト前後と鍵をも新調せねばならず、かなりの痛手です。

自転車屋で店員の「×××ポンドです」という声を聞いて思わず「アウチっ!!」と言ってしまったほどです。

鍵は今度はまさにケチらず最高のものを買いましたが、これとてその気になったプロが狙えば赤子の首をひねるが如く、でしょう。

警察に知らせたところで出てくる確率はほぼゼロでしょう。

でも大家夫婦はかなり同情してくれて、警察に被害届を出して、それをもとに「大家の自転車だった」ということにして大家の「家財保険」を請求してくれるとのこと。

上手くいくかは分かりませんがいずれにしても有難いことではあります。

英国に来て、犯罪の憂き目にはこれまで遭ったことがなかったので、ちょっとショックです。

でもこれが自転車でよかったな、とも。

これがパソコンだったり、あるいは自分自身だったりして怪我はたまた命を落とすようなことでなくて良かったです。

おかげで今日の予定は狂いっぱなしで困ったモンです。

自転車を新調したってのにちっとも嬉しくないですよ。

アンニュイな日曜日の夕方でございます。

ではまた。ごきげんよう。


タテバヤシ

追伸)このアンニュイって今日の今日まで「日本語」だと思っていましたが違うんですね。
変換しようとしても全然ダメなので辞書を引いてみたらナント、ENNUI、フランス語だったとは知りませんでした。
知ってました?


2016年1月26日火曜日

2004年10月10日 「秋~多忙なる近況など」



秋深しといった風情です。

今月末にはサマータイムが終了し冬に向け一直線ですが、最近の朝の暗いこと。

植物園まで自転車をこいでいくのですがその間は前後共にライトを点けないと危ないほどです。

そして吐く息はどこなく白い。

「きこり」セクションに移り一週間が経ちました。

最近のトピックスを幾つか。

まず本日、かねてから念願だったボートクラブに加入しました。

これは近所にあるボートのクラブで「パットニータウン・ローイングクラブ」といって、テムズ川でボートを漕ぐというもの。

シングルスカル、ダブルスカルといったスカル、そしてフォア、エイトといったボートまであって今日は植物園の仲間であるアンディと二人で入会申し込みをしました。

という訳でこれから週末は二人して、初めて挑戦するボートなるもので汗を流し、新境地を開こうというのものです。

思えば最近は運動はサボリ気味でしたので何かしらこうやって強制的にでも身体を動かすというのはいいもんではないかと思います。

これから2回の新入向けのセッションを経て晴れてテムズ川にデビューします。

そしてキューガーデンで英国を代表する2名の有名女性にこの半年内で会いました。

というか目撃しました。

一人目は女王陛下、クイーンエリザベスです。

彼女はモノモノしい警備の中、御付をゾロゾロ引きつれ、キューガーデン名物のパームハウスを見に来ました。

そして二人目は元英国首相マーガレット・サッチャー。

これは昨日、やはりパームハウスを中心に来園した様で女王に比べれば格段に少人数の御連れとともに園内を歩く姿を目撃しました。

「これが鉄の女と呼ばれたサッチャーかぁ」と感心はしましたが、女王、サッチャーともにたんなる老婦人といった感じでさほど感動はしませんでした。

僕にとってはやはりイングランドラグビー「元」キャプテンのローレンス・デラーリオに近所のスーパーで遭遇した時のほうが100万倍コーフンしました。

トピックス最後としては再来週に3泊4日でパリに行ってきます。

特筆すべきは渡英以来貯めてきたスーパーでのポイントを今回は初めて使ってパリ=ロンドン往復をほぼタダでやってしまおうということです。

スーパーでポイントをコツコツ貯めるジョンを笑ってきましたがついに僕もスーパーのポイントで旅をするようになりました。

パリでは当然買物が目的ではなく、今月一杯開園のモネの庭を訪ねることです。

のモネの庭はワタクシの「やらねばリスト」にかなりの長期間に渡って登載してあったのもので、ついに念願かなうとったところです。でも蓮などの季節は過ぎているためちょっと寂しい庭だとは思いますが。

貧乏旅行は相変わらずで、パリという大都会でありながら宿泊はシャンゼリゼから15分という場所にあるキャンプサイトでキャンプです。

なんと一泊11ユーロ。

い。

パリでキャンプとは逆になかなか粋ではないかと、今から楽しみです。

課題、試験など最近はちょっと忙しくなってきました。

コレに加えてボート、さらには庭仕事のバイト・・・なんて大丈夫かしら、と一抹の不安はありますが、ともかくはやってみようと。

テムズ川にデビューしましたらば、また改めてご報告いたします。

写真は最近湖水地方に山歩きに行ったときのもの。

ちょっと気取っております。

では、また。

2015年11月25日水曜日

2004年10月04日 「邂逅」



10月に入り、当地はめっきり秋めいてきました。

紅葉も一部の木々では盛りになっていたりして秋深しといった風情です。

日本では台風の影響で一部では桜が満開になった場所もあるとか。

専門家の話で「葉っぱが台風で散ってしまい、その後気温があがり、桜が春と勘違いしてオーキシン、ジベレリンといった成長ホルモンに影響を及ぼしたのでしょう・・・」などというコメントを目にしましたが、私が現在学んでいることの一部はこういった成長ホルモンの役割だったりするので大変興味深く、是非この目で10月に満開の桜を見てみたいものだと思ったりしておりました。

さて、英国に渡りかれこれ丸5年、銀行員を辞めて約6年が経ちます。

しばらくの間は「勘定が合わない・・・」などと青くなる夢をたまに見ては寝ながらにして全身が硬直したりしていましたが、時間の経過とともにそんな夢も見なくなってきました。

昨日、あるプレゼンテーションをするために必要な写真が見つからず、「確かどっかのフロッピーにいれた気がする」と手持ちのフロッピーをかたっぱしから開いていきました。

最近は大容量のフラッシュ・メモリなんて便利なものがあるので、フロッピーを使う機会がガクッと減り、手持ちのフロッピーはまさにお蔵入り状態でした。

そしてある一枚を開いたとたん・・・、期せずして6年振りの邂逅を果たすことになりました。

そのフロッピーには退職時に引継ぎとしてつくった様々な資料が入っていたのです。

「事務体制計画」だとか、あとは諸々具体的に顧客別に対応方法、ペンディング事項、日程事務などが綿々と綴ってあります。

そこにある顧客名などを眺めていると一種の懐かしさがこみ上げてきて、毎日スーツを着て通勤していた自分の姿など想い出し、なんとも狂おしい気分になり、こんなメールを書いてしまっている訳です。

しかし、自分の書いた引継ぎ書類なのに、専門用語(銀行用語)などの部分で、もはや理解できない、というか覚えていないことがかなりあるのには驚きです。

失った記憶に対する一抹の寂しさはありますが、そのころは「成長ホルモン」が云々などとはいっていなかったでしょうから、その後得たものとでチャラかなとも思います。

その書類をしばらく眺めて「結構マジメな銀行員だったんだ・・・」と妙に感心してしまったのでした。

それにしてもたった一枚のフロッピーがかくも多くの記憶を鮮明に呼び起こすとは、とても不思議な気分です。

そんな、秋の郷愁を綴ってみました。
どうぞお元気で。

(追伸 : この発見したフロッピーは元・銀行員のモラルに則り、守秘義務の見地からフォーマットしました)

2015年10月21日水曜日

2004年09月26日 「暖房点火・・・」


早くも9月後半。

現在当地は日の出06:52、日の入18:51、最高気温15度、最低気温9度と数字の上でもメッキリ秋らしくなってきました。

特に天気が良くても涼しいというか、ちょっと肌寒い感じで、我が家にもいつの間にか暖房がはいり、冬に向け一直線です。

近所のパブには早くも暖炉に火がくべられて秋を通り越して冬の風情です。

短パンでこの数ヶ月過ごしてきましたがそろそろ潮時のようです。

一応、意地もあって9月一杯はなんとしても短パンで乗り切ろうとは思っていますが。

夏の間にロンドン市内に出た際、日本食材店で「そーめん」を買ったのですが、買って一安心して、生来の貧乏性が頭をもたげて、そのそーめんはもったいなくてなかなか食べれずについにこの秋に突入してしまいました。

身から出た錆です。

寒くてそうめん気分ではとてもありませんが賞味期限が切れる前にこのそーめんを胃袋に納めようと思います。

ついでに言えば「冷やし中華」も一袋あるんです。

しかも賞味期限が今年11月のものが。

来夏までは待てそうにないので、「夏の味・秋の陣」を一人寂しく展開する予定です。

暑い盛りに食っておけば良かった・・・。

今僕は植物園で、バラのパーゴラの手入れをしていて、約一年間所属してた「ハーディー・デョイスプレイ」といういわば花壇などの面倒をみていたセクションから今度は高木、潅木といった「木」の面倒をみるセクションに10月から変わります。

キューガーデン内のきこりみたいなものですね。

一年生の一ヶ月に渡る「導入期間」も今月一杯で終了し彼らも10月から各セクションに散っていき、僕もこれから本格的2年生の生活が始まります。

毎週金曜日の20:00よりBBCで「A YEAR AT KEW」というキュー・ガーデンを一年がかりで追った12回シリーズの番組が放映中で、その第7、第9シリーズに僕もチョイとでているとのことで、果たしてどんなカンジで出るのか今からちょっと楽しみでもあります。

主役ではありませんので相当カットされてせいぜい10秒程度の
ものだと思いますが。

このTVシリーズに合わせてBBCから本も出版され、そこにもホンの少々写真が載っています。

別に自分が出版した本でもないし、自分が大きく載っている訳でもないのに、街中の本屋にこの本が並んでいるとチョッとドキドキしたりしてしまうのは小市民の証といったところでしょうか。

試験終了後約3ヶ月ダラダラとノンビリしてきましたが、そろそろレポートの締め切りなど気になりだして、学生本来の現実へと戻らねばなりません。

これと、この秋→冬へと加速していく風情になんとなくブルーになってしまう今日この頃です。

日本はこれからが一年のうちで良い季節ですね。

食欲の秋、芸術の秋・・・、どうぞ楽しい秋でありますよう。

では、また。

2015年8月23日日曜日

2004年09月13日 「秋到来・・・最近の映画の話など」



前略

昨日3年生の卒業式があり、月曜日から新入生を迎え、ワタクシはめでたく2年生になります。

キューの3年間で一番シンドイのが2年生、と兼々聞かされているのでこの先一年間、とても不安ではあります。

日本では3月、4月の桜の咲く頃が出会い、別れの季節ではありますが、英国ではこの秋という季節が節目となります。

昨年ドキドキして初日を迎えてから早一年か、と思うと残り2年間もアッという間でしょうね。

さて、昨日今日と急激に秋めいてきました。

具体的にいうと特に日没後に気温がグッと下がり、上着を着ないと寒いカンジです。

加えて日没も日ごと2分づつ短くなってきているようで何か寂しい気がします。

差し迫ったレポート・試験からは現在解放されているため、毎日のほほんと過ごしています。

数週間前にハマースミスというキューから自転車で15分ほど離れた繁華街にある映画館の会員になりました。

会員は毎月9.99ポンド(約2000円)の会費を銀行引き落としにして、あとは好きな時に好きなだけ上映中の映画が見れるというもの。

月に3回ほど見れば元が取れる計算です。

これまで
1.「スパイダーマン2」
2.「ボーン・スープリマシー」
3.「モーターサイクル・ダイアリーズ」
4.「ターミナル」
5.「スーパーサイズ・ミー」
6.「オープン・ウオーター」
と6本を見て元は取りました。

定額なので駄作だろうが、傑作だろうが暇があれば見てやろうという作戦です。
(さすがにキャット・ウーマンを見るほどのヒマは無かったですが・・・)

1、2、4はハリウッドの定番という感じで、まあこんなもんかというカンジですが3は良かったですよ。

二人の医学生が南米大陸をオンボロバイクで縦断しそこで起こ
る様々な出来事のお話で、南米の景色がとてもキレイで、行ってみたいという気持ちに駆られました。

5は30日間マクドナルドのメニューを3食食べ続けたらどうなるのか、といういわばドキュメントですが、これもなかなか楽しめました。

日本版で3食「松屋」で30日過ごしたらどうなるかというのも作れそうな気がします。

お米、生卵ご飯などに飢えている僕としてはチャレンジしてみたい気もしないでもありません。

そして6。
フクザツな映画でした。というのは映画そのものはとてもシンプルでお金もどうやら日本円にして1000万円程度しか掛かっていない低予算映画らしいですが、終り方がとても切なく虚しくて、どうやってこの映画を受け止めたものかチョッと悩んでしまうからです。(駄作のような気もするし、傑作のような気もするし・・・)

物語は夫婦のダイバーがサメがウヨウヨいる大海原に取り残されるという古典的なもので、サメを扱ったジョーズなどの展開を予想してあまり期待せずに見に行ったのですが、低予算だけあって特殊効果などはなく、シンプルな分とてもリアルでした。

ワタクシは映画評論家ではありませんので、あくまでも独断ですが。

映画館からの帰り秋風に吹かれながらペダルをこいで家路に着いたのでした。

添付写真は昨日の卒業式直前のもの。

卒業式故、3年生が主役ですが、一年生も「総合の主席」「植物生理学のテストでの最高得点者」「ベスト・プレゼンテーション」などに賞が与えられ、一緒に写真に収まったジム君(40歳。バリバリのゲイ)は植物生理学の最高得点をとり、ワタクシ(39歳。バリバリのストレート)は僭越ながらベスト・プレゼンテーション賞を受
賞しました。

二人してちょっとおめかしして、式直前に近所のパブで祝杯をあげているところです。

因みに総合の主席はサラ(39歳。バリバリのこれまたゲイ)がと
り、くしくもクラス高齢者が賞を独占したカタチになりました。

ネクタイなぞするのは一年に一度あるかないかですので貴重な画像と申せましょう。

2015年7月29日水曜日

2004年09月08日 「ポルチョギース」



碧い海、白い砂浜、抜けるような青空・・・・、そんな休暇を試験中から夢見ておりました。

先週月曜日がバンクホリデーといって休日で3連休だったため、これに4.5日の休暇をくっつけて7泊8日でポルトガル南部のアルガーべ地方に独りで出掛けてきました。

とはいっても相変わらずの貧乏旅行で、パソコンと向かい合うこと約3時間。

比較に比較を重ねた結果の最安飛行機、最安レンタカーを手配した以外はテント、寝袋持参で行先も決めずに気ままに海岸線をキャンプして過ごすというもの。

なんでこの半端な4.5日という休暇をくっつけたかといえば有給があとそれだけしか残っておらず、最安飛行機がこの半端な日程にピッタリくるからでした。

帰りは朝8時のポルトガル発の飛行機に乗り、ロンドン・ガトイック空港に11時。

それで午後1時から仕事をしようってんですから我ながらチョッと無理かなと一抹の不安はありましたが、英国のいい加減な交通システムには珍しく万事うまく事が運び、その日の午後には元気に植物園で働いておりました。

まさに奇跡的。

銀行員時代にこんな休暇の取り方をしていたらアホか、と一喝されまず実現はしなかったと思います。

さて、ポルトガル。

初めて行きました。

そのアルガーベ地方を一週間しか見ていないので全てを語るのは僭越というもの。

でも全体の印象はまず天気が毎日よろしく(夏期の月間平均降水量は1ミリ以下らしい)、地元の人たちの生活はとても慎ましく、英国人、ドイツ人の観光客がドッと押し寄せる場所、といったところでしょうか。

レストランのメニューにはポルトガル語、英語、ドイツ語の表記がしてありますし、地元不動産屋の店頭に張り出してある物件の価格が英ポンド表示だったりします。

日本人を含め、東洋人の姿はほとんど見かけず、キャンプ場でパスポートの提示を求められたときには「日本のパスポート、初めて見た」と言っておりました。

到着日はファロ空港の近くの街のはずれにあるキャンプ場に泊まり、街そして海岸を散策しましたが8月後半とはいえシーズン中の観光地。

自分の夢に描いた「人気のない砂浜」からは程遠く、翌朝サッサと撤収し「西へ向かえ」という本能に従って一気に西海岸まででました。

ここで3泊。

確かに人気は少かったものの、大西洋の荒々しい海で、波は高く、水温が低い、というこれまた理想とは相当ギャップがあります。

内、一日はモンチークというこの近辺では一番高い山、標高約900メートルに登ったりしました。

しかし、本当に日差しが強すぎて「これは危険」と感じて日陰を探しつつ歩いたり、休憩を頻繁にとりましたが、「オレも年をとったってことかしらん・・」とかつては太陽を求めて日差しに進んで出ていったことを思うとチョッと寂しくもありました。

夢のビーチにはどうやったら出会えるのか・・・。

このアルガーべ地方のどこかには絶対ある筈。

そこで思いついた作戦が絵葉書です。

絵葉書には理想に近いビーチが幾つか写っており、これに撮影地が記載されているのでこれを地図で探し、実際に足を運ぶ作戦です。

幾らかはマシ、という程度でそれでも理想とはなんか違います。


残り3日になったところで、ハガキできれいだった海岸の内のひとつに行き、そこで洞窟巡りのボートに乗りました。

イタリアの青の洞窟じゃあ・・・と思える(行った事ないので想像ですが)場所で、そこで舟から人気のまばらな素晴らしいビーチを発見し、船頭に聞いたところ歩いていけるとのことで早速行ってみました。

途中の道は険しく、勾配もきつい斜面をヨロヨロと降りていくとそこには、碧い海、白い砂浜、抜けるような青空・・・と夢のビーチが展開しておりました。

「これだっ。これなんだよ、探してたのは・・・」と早足で水辺に向かい、着ていたシャツと短パンを脱いで険しい道中で火照った身体を冷やすべく、海に飛び込みました。

低めの水温が心地よく、透明度の高い水がなんともよろしいカンジです。

ひとしきり涼んだところで、のどが渇いていることに気付き海から上がってリュックの中から水を出し、飲みながらあたりを改めて見渡して妙な違和感が・・・・。

ナント、そこはいわゆる「ヌーディスト・ビーチ」だったのです。

隠れ家的なビーチをいいことに、皆開放感からかスッポンポンの老若男女が日光浴、海水浴を堪能しています。

イヤ、正確には老若男女ではなく老男女で、しかもいわゆるイケメン・ヌーディストはおらず、ちょっと目のやり場に困るカンジです。

これが、ヌーディスト・ビーチってやつかぁー。いやービックリだなぁ。
と感心するばかりです。

別にきまりがある訳ではないので僕が脱ぐ必要はありません。

僕はかたくなに水着を着用していましたが、あたりをブラブラさせて歩くおじさんなどには困ったものです。

これって日本の公衆浴場に似てるなぁと思いました。

もセクシーさってのは隠れていて見えるか見えないか、きわどいのが良いのであって「どうだ」と見せられちゃうとどうにもこうにも興醒めですね。

そのヌーディスト・ビーチを後にして来た道を戻る際、その隠れ家的ビーチを取り囲むがけの茂みに、なんと双眼鏡を持って「のぞき」をしている輩を目撃しました。

分からんでもないけど、アレを見てうれしいかなぁ?と僕には理解できませんでした。

貧乏旅行の基本は宿代を削ることですが、食事だけは多少良いものをというのがポリシーです。

それも地元の人が行く、安くて美味しいレストランを探すのが前提で、これはもはや特技かもしれません。

ポルトガル、しかもこのアルガーべ地方は新鮮な魚介類が美味しいらしく、毎晩魚ばかり食べていました。

料理法はいたってシンプルで各種魚の塩焼きで、付け合せに
ジャガイモなどの温野菜と食べます。

やはりワタクシは生粋の日本人です・・・魚を食べていて、まず「オーイ、箸もってきてくれ」そして「オーイ、醤油ないのかぁ」
さらに「オーイご飯つけてよぉ」と切望することしきり。

鯛やいわしの塩焼きはナイフとフォークで温野菜で食べるより、お箸で醤油をかけてホカホカご飯でしょう、やっぱり。

朝は地元人がたむろする英語のさっぱり通じないカフェでコーヒーと豚肉のサンドイッチ(5ユーロ以内)、昼はビールとハンバーグなど(10ユーロ以内)、夕食は魚とワイン(20ユーロ以内)と一泊10ユーロのキャンプ場を泊まり歩く割にエンゲル係数の高い旅です。

それにしてもビールにしてもワインにしても安いので「呑まにゃソン」と使命感に燃えてしたたか呑みました。

飲み屋、レストランもイギリスとは異なり、夜遅くまで開いているので(英国のパブは23時で閉店です)、特に最終日は独りで1時過ぎまで飲んでいました。

これには理由があって、朝8時の飛行機ってことは朝6時には空港にチェックインせねばならず、レンタカーを返す手間などをふまえ5時起き。

そんなたった数時間眠るためだけにテントを張るのも面倒だし、かといってホテルに泊まるのももったいない、という結論に至り気分良く遅くまで飲んで車の中で仮眠し、朝5時に起き上がりガソリンスタンドで満タンにするついでに簡単な軽食をとり・・・、という完璧な作戦です。

コレ自分一人ゆえ可能な作戦なのであって、家族がいたり、彼女がいたりなんて場合「車で一泊ダ」は通じないでしょうね。

いや素晴らしきかな独り身。

そんな訳で久し振りに痛いほどの日差しを浴び、アッという間の一週間でした。

普段外仕事なのでそれなりに日焼けしていますが、それはいわゆる「ドカタ焼け」で顔、首、腕、足が黒く、お腹、背中などは真っ白でした。

こういったところに日光を当てるのはほぼ5年振りでしょうか。

日焼けしたお腹の皮を剥きながらこのメールを書いています。

早くも9月。

ポルトガルから戻るとオリンピックはもはや終っており、来週には3年生の卒業式、再来週には新入生が入ってきて、僕は2年生になります。

少しずつ、少しずつ現実へと帰っていきます・・・。


*写真一枚目はポルトガル版「青の洞窟」

*写真二枚目は理想とちょっと違う砂浜。これはヌーディスト・ビーチではありません。さすがにヌーディスト・ビーチで写真を撮る勇気はなかったです。



2015年6月10日水曜日

2004年08月21日 「5周年」


残暑お見舞い申し上げます。

日本はオリンピックのメダルラッシュに沸いている頃でしょうか。

ワタクシは現在テレビを所有していないため、インターネットの新聞上で「北島金2個め!」とか「長嶋ジャパン、格下の豪に敗れる!」てな記事を読んで結果だけは知っている、程度です。

いかんせん映像を見ていないことと、周りで騒いで盛り上がる人がいないことなどもあって、静かなものです。

それでも今回の卓球の福原愛のコメントにはシビレました。
「オリンピックは楽しめましたか?」
「別に楽しむために来たわけじゃあないですから・・・」
カッコいいですねぇ。

「イギリス生活は楽しめましたか?」
と仮に、帰国した暁に誰かに聞かれたとして
「別に楽しむために行っていた訳ではありませんので・・・」
などと応えたらキマる、でしょうか、それともイヤミな奴と嫌われるでしょうか。

嫌われそうなので「ええ、それなりに・・・」程度にしておこうかなと思います。

それなりどころか、相当楽しんじゃっている気もしなくもないですが・・・。

でも当初日本を旅立つときはホントそれくらいの覚悟でおりました。

「死んだ気で勉強するのダ」と気合を入れつつ、荷造りの際「ウーム、ゴルフバックはどうしようか・・・。

本場のゴルフコースってものもたまの息抜きには回ってみたい気もするし、イヤイヤ、ゴルフなんてする余裕は時間的にも、金銭的にも無いハズ。

遊びに行くわけじゃぁないんだから」などと一人であれこれ思案した挙句、ヒースロー空港に降り立ったときにはしっかりゴルフバックを右手に持っておりました。

因みに左手にはラジカセ、リュックの中にはラグビーのスパイクといった具合でしたので、我ながら言ってることとやってることが違うのには呆れてしまいます。

そんな青雲の志をして成田を飛び立ったのが1999年の8月20日でした。

すなわち昨日、丸5年が経ったわけで、この8月20日というのは自分にとってちょっと特別な日なのです。

まずは一年のコースをとる。で、その後はなんとかなる。

と全く深く考えずに出発し、当然にして翌年コース修了後に即帰国というケースも大いにあり得た訳ですが、こうやって薄氷を踏みながらここまで来てしまいました。

そして、現在のキュー・ディプロマ修了まであと2年。

改めて人生は筋書きのないドラマよのー、と腕組をしつつ頷いたりしてしまいます。

まあ、基本線は「楽しく」「健康に」ですので、それが満たされている自分は幸せと申せましょう。

現在試験も終わり、9月半ばまでは夏休みムードでリラックスできて大変ヨロシイです。

試験は結果が出て、全体的には満足のいくものでしたが、科目によっては「あんなにやったのに、この点数かぁ」と溜息がでるものもあり、一方で「あいつ試験前に大してやっていなかったのに、こんなに出来ちゃうのかぁ」と底力の違いを見せつけられたりで、初心に戻って残りの2年は死に物狂いで学ばにゃぁイカンと思っております。

昨年ヨークからキューに引っ越す際に、またまた「ハテ、このゴルフバッグはどうしよう?キューの3年間は厳しいと聞くし、ゴルフどころじゃあないだろう」と、ケンブリッジの友人宅の屋根裏に預けてきたのです。

ワタクシという人間は懲りない性格のようです。

そんな訳で日本出発の際34歳の青年は現在39歳の中年となり日々勉学に励んでおりますことをご報告申し上げます。

それでは、また。
タテバヤシ

追伸)
日本を発ったのは確かに8月20日。
しかしヒースローに着いたのは9月6日。

何故か?

マルコポーロ、もしくは大航海時代でもあるまいに、イギリスまでなんで17日間も掛かるのか?

答は、シンガポール航空を使い、シンガポール経由にした結果、シンガポールで2週間ちょっと羽を伸ばしてしまったからでした。

うっうっ、青雲の志は・・・・