どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2015年11月25日水曜日

2004年10月04日 「邂逅」



10月に入り、当地はめっきり秋めいてきました。

紅葉も一部の木々では盛りになっていたりして秋深しといった風情です。

日本では台風の影響で一部では桜が満開になった場所もあるとか。

専門家の話で「葉っぱが台風で散ってしまい、その後気温があがり、桜が春と勘違いしてオーキシン、ジベレリンといった成長ホルモンに影響を及ぼしたのでしょう・・・」などというコメントを目にしましたが、私が現在学んでいることの一部はこういった成長ホルモンの役割だったりするので大変興味深く、是非この目で10月に満開の桜を見てみたいものだと思ったりしておりました。

さて、英国に渡りかれこれ丸5年、銀行員を辞めて約6年が経ちます。

しばらくの間は「勘定が合わない・・・」などと青くなる夢をたまに見ては寝ながらにして全身が硬直したりしていましたが、時間の経過とともにそんな夢も見なくなってきました。

昨日、あるプレゼンテーションをするために必要な写真が見つからず、「確かどっかのフロッピーにいれた気がする」と手持ちのフロッピーをかたっぱしから開いていきました。

最近は大容量のフラッシュ・メモリなんて便利なものがあるので、フロッピーを使う機会がガクッと減り、手持ちのフロッピーはまさにお蔵入り状態でした。

そしてある一枚を開いたとたん・・・、期せずして6年振りの邂逅を果たすことになりました。

そのフロッピーには退職時に引継ぎとしてつくった様々な資料が入っていたのです。

「事務体制計画」だとか、あとは諸々具体的に顧客別に対応方法、ペンディング事項、日程事務などが綿々と綴ってあります。

そこにある顧客名などを眺めていると一種の懐かしさがこみ上げてきて、毎日スーツを着て通勤していた自分の姿など想い出し、なんとも狂おしい気分になり、こんなメールを書いてしまっている訳です。

しかし、自分の書いた引継ぎ書類なのに、専門用語(銀行用語)などの部分で、もはや理解できない、というか覚えていないことがかなりあるのには驚きです。

失った記憶に対する一抹の寂しさはありますが、そのころは「成長ホルモン」が云々などとはいっていなかったでしょうから、その後得たものとでチャラかなとも思います。

その書類をしばらく眺めて「結構マジメな銀行員だったんだ・・・」と妙に感心してしまったのでした。

それにしてもたった一枚のフロッピーがかくも多くの記憶を鮮明に呼び起こすとは、とても不思議な気分です。

そんな、秋の郷愁を綴ってみました。
どうぞお元気で。

(追伸 : この発見したフロッピーは元・銀行員のモラルに則り、守秘義務の見地からフォーマットしました)

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