どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2013年4月12日金曜日

2002年08月21日 「2002年・夏」



残暑お見舞い申し上げます。

と書いておきながら、こちらは申し訳ないですが1年の内で一番良い季節です。

英国の夏は、日照時間が長く、湿度は低く、数々の花が次から次へと見頃を迎え、冬の鬱陶しさとは対照的に過ごしやすく、良い季節です。

湿度が低いというのがカギだと思いますが、街中でクーラーのある施設はスーパーか大型の本屋くらいのもんで、車に至ってはよほどの高級車でない限りエアコンはついていません。

朝晩は少々冷えこむこともあって、朝の通勤時間帯などにはダウンジャケットを羽織っている人を見かけたりもします。(これはちょっと着すぎ、と思って見ていますが)

実際、夜中には10度を切ることもあるので油断は出来ません。

今日は8月20日。
丁度3年前の今日、成田を発ったのですが、「丸3年かぁ」と思うと長いような、短いような、不思議な感覚にとらわれます。

とにかく自分の中では記念日。
密かに祝杯をあげます。

さて、8月。僕も少々夏休みらしいことを幾つかしてみました。

第一は「北海で泳いだ」こと。

北海と大袈裟に言ったって、そもそもイギリスの東部は北海に面しているのでそれほど鼻息を荒げて言うほどのことはありませんが。

でも「北海油田」なーんていってイメージで沸くのは寒々しくかつ荒々しい海で、ここで泳ぐというのは一生の記念になるのでは?と思って決断した次第。

アパートの隣の部屋のビル君の実家に誘われて遊びにいった際、海岸まで徒歩5分ということで夕方に散歩がてら出掛けました。

するとビル君が「泳ぐぞ」と言って、スルスルと着ているものを脱ぎ、短パンいっちょうで、「入水時には少々の気合と勢いが必要なのだ。後から付いて来い」と、ヨロヨロと走って海に入りました。

海の中から「来いヨー、気持ちイイぜっ!!」と手を振るので、ためらいつつも試したところ冷たい海水の返り討ちにあい、即引き返しガタガタと震えておりました。

「そうやって風にあたるから余計に寒いんだよ、慣れれば海の中の方が暖かいゾ」と ビルは言うし、夕方とはいっても既に19:30を回り、相当日が西に傾いた状況ではサッサと一泳ぎして、早々にここを引き上げた方が得策に思え、意を決し入水しました。

まあ、慣れれば少しはマシではありましたが、回りを見渡したって日中ならまだしもそんな時間に泳いでる人は1人も見当たらず、海岸ではコートを着て犬の散歩をしている人達がニヤニヤしてこちらを見ています。

海から上がって裸足で、短パンからポタポタと海水をしたたらせつつ家路についたのでした。

そんな訳で北海スイミングのデビューを飾りました。


第二は「フォーク・フェスティバル」。

これもビル君の企画で、ケンブリッジで毎年夏開かれる「フォーク・フェスティバル」にビル君の友人達と繰出しました。

これは木曜日~日曜日までの計4日間通して行われる、英国最大のフォークフェスティバルで、毎日昼頃から野外コンサートが始まり、深夜12時頃に終わり、その会期中は近所の大きな空地で4泊キャンプ生活をする、というもの。

これはかなりメジャーなイベントで、英国中ならずもアメリカやヨーロッパ各国から熱心なファンが来てのお祭り騒ぎの4日間です。



そういう人のためのキャンプ場なのですが、僕らはスグに帰れる場所に家がありながら敢えてテント生活を選択し、浮世離れした4日間を過ごしました。

会場には3つのテント・ステージがあり、そこに入れ替わりで色んなバンドが出てきます。

観客は見たいバンドを見れば良くて、あとの時間は会場内でビールを飲み、芝生でゴロゴロして過ごします。

ビル君の友人達と総勢7~10人のグループで、既に以前のビア・フェスティバルなどで知った顔も何人か含まれていました。

ビア・フェスティバルで見かけた・・・、という一抹の不安が的中し、初日は「フォーク・フェスティバル」なんだか「ビア・フェスティバル」なんだか分からない程飲んでしまい、何のバンドを見たのか皆目記憶に無く、その反省から2日目からは朝の内に見たいバンド、ステージなどを決めて、のんべえ達とは別行動を意識してとるようにしました。

事前に出演者リストを見たときは、知っているバンドはただの一つだけ(因みにチャンバワンバで、「果たしてこれはフォークなのかっ??」と疑問)で、「果たしてこれで楽しめるのか!?」と不安では有りましたが、ナンノナンノ実際に見て聞くとこれは良いモンでした。


「フォーク」というだけあって、基本的にはギター、バイオリン、バンジョー、アコーディオンなどの素朴なもので、「アイリッシュ風味」「スコティッシュ風味」「デキシーランド・ジャズ風味」「ゴスペル風味」・・・と色んな風味が混じった素朴な音楽をリラックスして楽しんだのでした。

今回の発見は「The Be Good Tanyas 」(カナダ、バンクーバー出)、「IndigoGirls」(アメリカ、アトランタ出)の2組で、「良い音楽に出会ったっ!!」と大満足して、その場でCDを購入し、以来毎日ズッと聞いています。

特に後者は僕が知らなかっただけで、アメリカなどでは相当メジャーらしく、植物園にいるアメリカ人のベンにその話をしたら、「ナニーッ!!インディゴ・ガールズを生で見たのか!!」と頭を抱えるほど興奮する始末。

この2組、オススメです。

丸4日間、屋台メシを食い、ビールを飲み、音楽に酔い、テントで寝る、そんな「食う、寝る、遊ぶ」の4日間でした。

そして、最近は我が菜園が収穫絶頂期を迎えており、ほぼ毎日ニラを使って健康的に過ごしております。

自分が育てた野菜はやはりウマイもの。毎日食べ続けても飽きません。

ニラは収穫しても後から後から新芽を吹くので、食べても食べても追いつきません。植物園の連中にもお裾分けして好評を頂戴しております。

更に、かぼちゃも収穫期で煮物、かぼちゃポタージュなどを作り、これも秀逸の出来。

煮物などは「煮崩れしないように面取りして・・・」等と主婦的テクニックも駆使し、マズマズなんじゃあないでしょうか。

そんな夏を過ごしています。

が、そんなケンブリッジ生活もいよいよ残り2週間を切りました。

引越しもボチボチ始めました。

この2年間で思いの他、所持品が増えたことは驚きに値します。

冷蔵庫、冷凍庫なども中を見つつ、8月31日の引越しまでに片付けるように計算をしつつ料理しております。

引越し、新居、などに付いては語ることが多く、またの機会にお知らせします。

暑い夏、どうぞ健康第一でお元気でお過ごし下さい。
それではまた。





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