どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2012年8月20日月曜日

2001年12月22日 「暮れ模様」


12月21日は冬至。
日が短かくなるのは今日までで、明日からは夏に向けて日が少しづつ延びていくのかと思うとそれだけで喜ばしいものです。

因みに今日は日の出8:05、日の入15:54でした。

こうなると晴れていても日照時間はせいぜい5時間程度でしょうか。

夕暮れで手元が見えなくなるということもあり、植物園では冬の勤務時間が適用されて月曜から木曜は16:00、金曜は15:30に終ります。

早く終って何をするか。

最近とりつかれたように通っているのがプールです。

一ヶ月の定期券を購入し、ほぼ毎日1000~2000メートルをノンビリと泳いでシャワーを浴びて帰ってきます。

自分のボロアパートのショボいシャワーではなく、水圧も高め温度も高めのシャワーということも気に入ったことも通うことになった理由のひとつです。

植物園にては現在は温室の担当で、セントポーリア、トケイソウ、ラン、ヤシ、ベゴニアなどの面倒をみています。

受け持っている温室が3つあり、ふたつは最低気温18度と13度に設定されていてヌクヌクです。

こんなところに四六時中いる植物たちが羨ましくもあります。

このひとつの温室は主にシダ、コケなどがあるのですが、ここは湿度が高め、温度は低めと寒々しく、ジメジメした鬱陶しいところで、ここはさっさと済ませるようになってしまいます。

湿度を高めるためにわざと床に水をまいたりするのですが、水をまきながらジメジメした温室の窓ガラスを見ていてフト「ちょっと待てよ。これってアパートのオレの部屋と同じカンジじゃない?」と、かつて窓枠にキノコがはえたこともある自分の部屋とシダ・コケ温室が頭のなかで重なって悲しくなりました。

自分の部屋は相変わらず寒いのですが、この前購入したマイナス7度まで耐える寝袋に包まることで寝ている間に寒さを感じることはなくなりました。

しかしフト「なんで自分の部屋でキャンプ生活まがいの生活をしてるのだ?」という疑問がわいてきます。

この時期はクリスマス会、忘年会と忙しいのは万国共通のようで、多少のスタイルの違いはあれども忙しい毎日です。

21日はお昼から植物園内でほぼ全スタッフが集合してクリスマス昼食会がありました。

これが事実上の仕事納めになる人がほとんどで、「ではまた来年。メリークリスマス!」などと言って散っていきました。

その後近所のパブで何人かで飲み始め、気が付けば22時をまわっておりました。

同じパブで7時間も飲んでいたことになります。

千鳥足で帰宅し寝袋に滑り込みヌクヌクと快眠をむさぼったのでした。

皆はクリスマス休暇なれども、ワタクシは25日だけは休みますが、あとは大晦日も正月も通常通りに働きます。

別に一緒に過ごす家族がいるわけでもなく、寒い自宅にいるよりは元気一杯温室で働いたほうが快適というものです。

皆と同じ時期に有給休暇を使うよりは、ここはセーブして後でゆっくり旅行でもして過ごしたほうが賢明だという作戦です。

また、この時期は特別手当も出てお徳でもあります。

12月は大学ラグビー伝統の一戦であるオックスフォード大学対ケンブリッジ大学がイングランドラグビーの聖地トゥイケナムであり、休みをとって見にいきました。

現在オックスフォードのラグビー部には元関東学院大の渕上、元早稲田大の西岡の二人が在籍していて、二人の活躍を期待していたのですが生憎リザーブのまま出場機会はありませんでした。

この名門伝統校の各選手のプロフィールを見ていると、元アメリカ代表、元オーストラリア代表といったラグビーで名を馳せた人もいれば、思わず首をかしげてしまうような選手もいます。

皆エリート中のエリートだけあって「医学博士課程」「経済学修士課程」などの説明があるのですが、横に掲載されている顔写真は皆前科者のような人相でそのギャップが面白いです。

試合中は曇りときどき晴れといった具合でしたが、じっと座っていると寒いというのは昨年観戦して学習していましたので、今回はウイスキーのボトルを持ち込んでチビチビと舐めつつ暖をとる作戦をとりました。

「舐める」作戦であったのに気が付けばついつい飲んでしまい、気が付けばボトル半分を消費し身体は暖まったものの、帰り道はフラフラしてしまいました。

来年3月には関東学院、慶応、早稲田の3校が週ごとにケンブリッジ大学と対戦します。

日本からケンブリッジに週替わりで来て試合してくれるとは、自分にとっては夢のような企画で今からとても楽しみです。

先々週ジョンと行ったバードウオッチングも久々のヒットでした。

ケンブリッジから車で1時間ほどいったノーフォーク州のウェルニーという大湿地帯に集まる水鳥は一見の価値アリと聞いていましたので二人で出掛けました。

決まった時間に自然保護のレンジャーが餌付けをするのですが、そこに集まる白鳥などの水鳥たちの数に圧倒されました。

目の前で優雅に戯れる彼らの様子を双眼鏡越しに見ていても全く飽きることがなく、あっという間に時間が過ぎていきました。

外はかなり寒かったのですが、有難いことに観察小屋の中は暖房が効いていて助かりました。

水に首を突っ込んで逆立ちのような格好でエサを探すもの、体ごとかなりの長時間潜水してエサをとるものなど多種多様です。

もし野鳥のことを知っていて「あれは××でカナダから飛んできた」などと分かるとなお一層面白いのでしょうが、生憎現在は植物のことを覚えるのに精一杯です。

そういったわけで元気に働き、飲み、泳ぎ、学び、眠り、食べ・・・と特別なことは何もないながらも、まずまず楽しい暮れ模様です。



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