どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2012年1月5日木曜日

2000年12月26日 「ボクサー」



本日は12月26日。
ボクシングデーという国民の休日で世の中はまだまだお休みです。


さすがボクシングの発祥の国イギリスだけあってこの日は国民全てがボクサーと化します。


新年を迎えるニューヨークで誰かれ構わずキスをするのと同様、今日は誰かれ構わず殴って良いということになっているようで、ヘッドギア、マウスピース、グローブといったいでたちの人が目立ちます。
僕も早速体格の良いおばさんから2発食らってしまいました・・・というのがボクシングデーかなと思ってしまいます。


ボクシングデーって何でしょう?


そもそもはクリスマスプレゼントの箱(box)を開ける日ということに由来するようですが、とにかく街はまだお休みモードです。


昨日のクリスマスにケンブリッジの街の様子を観察してきましたが、見事なほど閑散としていて廃墟のようでした。


歩いているのは東洋人の観光客程度で、店は軒並み閉まっていて、昼の2時間だけパブが時間限定で開店しビールが飲めるといった程度でしょうか。


街に出ても寂しいだけで、加えて今日の最高気温が4度などといっており、ひょっとするとホワイトクリスマスになるかもしれず自宅でノンビリするのが正しいと申せましょう。


ボクシングデーの今日はマクドナルド、スターバックス、バーガーキングなどのアメリカ資本のファストフード店と一握りの店が開いており、人出は昨日よりも多く活気がありました。


多くの人は明日からあちこちで始まるクリスマスセールの下見兼ウィンドウショッピングを楽しんでいるようでした。


僕はまったくの平常通り、植物園にて水をやっていました。


結構大きな温室があり熱帯植物の世話が欠かせないのです。


熱帯の環境により近づけるためにヒーターで15度くらいに保たれています。
水をやると湿度もあがり、熱帯のそれに近づくので寒さの厳しい外とは別世界でちょっとした海外旅行をしたような気になり楽しいものです。


温度をあと10度ほどあげたほうがより熱帯らしいのでしょうが、それにはコストとの兼ね合いがあります。


あまり植物にとって理想的な環境に近づけると育ち過ぎてしまって温室という限られたスペースで育てるにはその辺のコントロールも考慮せねばなりません。


生かさぬよう、殺さぬようといったかんじでしょうか。
ちょっと可愛そうな気もします。


動物園で飼育係がライオンに襲われたというニュースを時々耳にすることがありますが、植物園では植物に襲われることはなさそうで胸をなでおろしています。
しかし全く安全かといえば否で、鋭いトゲが突き出した植物もあれば、毒性の強い植物もあります。
芝刈機など機械を使っていてケガをすることもあえるでしょう。


安全のために植物園ではつま先に鉄板の入った安全靴の着用が義務付けられています。
日本の植木屋で素足感覚の地下足袋を履いていたというのは英国の安全基準に照らすととんでもないということになりますね。


確かに作業中に丸太が足に落ちるという経験を日本でも英国でもしましたが、コチラでは涼しい顔、アチラでは悶絶でした。


植木屋でキョウチクトウを剪定して、切ったものを担いでトラックに積む作業をしていて樹液のついた首周りがものすごくかぶれてニッチもサッチもいかなくなったことがありました。
植物園では一番初めにそういった毒性のある植物に関しての講義がきちんとあり安全に関する認識の違いを感じます。


そんなわけでクリスマスのつつがなく過ぎてあとは21世紀を迎えるのみといったところです。

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