どうして「スバラシキ英国園芸ノススメ」なのか

ちょっと読んで 「あんまり面白くないなぁ」 と思った方。
騙されたと思ってしばしお付き合い下さい。

7年間の英国留学中にしたためたメールは300を越えました。
そしてこれが 「尻上がり的」 に面白くなっていくのです。

当初の初々しい苦学生の姿から、徐々に英国に馴染んでいく様子は100%ノンフィクションのリアルストーリー。

「スバラシキ英国園芸ノススメ」の旅はまだ始まったばかりです。

2013年9月21日土曜日

2003年03月17日 「春到来」


桜の開花予想も出て春本番でしょうか。

当地も最近はかなり春めいてきました。

春の使者、スノードロップ、クロッカスなどは既に終了し、今はスイセン、レンギョウなどが賑やかです。

日照時間もグングンと伸びてきて、今月末にはサマータイムになります。

長らく待った春到来といった趣です。

そんな中、最近アルバイト(?)を始めました。
隣村の一人暮らしのおばあさんの専属庭師です。

ある日学校の掲示板に「ガーデナー求む。2週間に1度程度。応相談。」とあり電話をして会ってみたところ、気のよさそうな庭好きのおばあさんで、先方も僕のことを気に入ってくれたようで採用となりました。

そもそも植物園を離れて学校に戻ってからというもの、座学ばかりで実技は皆無で、自分の手が自分の手とは信じ難いほどツルツル、スベスベになってしまい、これはイカンなぁと思っておりました。

かといって勉強そっちのけで、実技に励んでいる場合でもないので、程良い働き口を求めていたところだったので、これはまさに渡りに舟。

初日はおばあさんの家の台所で紅茶をすすりながら、「私の庭はこうしたいの論」をトクトクと聞かされ、更にさまざまな質問を浴びせられました。

これは質問と称して僕のことを試していたフシがありますが。

年齢のため身体はシャキシャキとは動かないながらも、庭に対する情熱はかなりのもので、その知識の豊富さにも驚かされました。

これは下手は出来んっ!と力が入ってしまいます。

庭はおよそ30~40坪くらいでしょうか。

芝生が65%以上を占め、後は花壇、そしてリンゴ、モクレンなどの木が植えてあります。

手始めに庭の芝刈りを一時間ほどしてその日はオシマイ。

時給制、日払い、現金渡し(すなわち無税)で時給7ポンド(約1300円)。

まあまあでしょうか。

というか、スゴク嬉しいです、これは。

まず、幾らかでも収入があるというのは生活するのに助かってしまうこと。

そして、これは英国で「タテバヤシ」として初めて稼いだお金であること。

植物園ではいわば一職員としてサラリーマン的収入があった訳ですが、この時給7ポンドは100%タテバヤシの責任そして労働の対価。

将来独り立ちしたらこんなカンジかぁ、と感慨もひとしおでした。


僕は犬が大好きなのですが、このおばあさんはべスという名のゴールデンレトリバーを飼っていて、彼女と仕事の合間に遊べるのも楽しみのひとつです。

このおばあさんの庭に何回通えるでしょうか。

7月に学校が終わる頃にはヨークを離れ次のステップを考えねばなりません。

それまでに、このおばあさんと一緒に出来る限りのことをして「気持ちの良い庭」にしたいものだと思います。

そして、おばあさんが将来、「ああ、あのタテバヤシってのがウチの庭を手入れしていた事もあったのよ」とご近所に自慢できるように頑張らにゃぁイカンなぁ等と勝手に思う今日この頃です。

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